表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/448

戦場になった街

 ハリアの村の戦士達が合流した翌日。シェラールの駅前や繁華街、ビル街などには大量に警察官やギルドの戦士達がいた。通行しているサラリーマンや、登校中の学生はそれらを見て少し緊張していた。裏ギルドの連中が脱走したことはすでにニュースで放映されている。その為、警察官やギルドの戦士達が見回りをしているのだ。


「異常はないか?」


「はい。異常なしです」


 一部の警察官とギルドの戦士がこんな会話をしていた。いつ、どのタイミングで爆破事件が起きるか、そして裏ギルドの連中が襲ってくるか分からないので、常に連絡を行うようにしているのだ。


「しっかし、何でこんなことになったんだか」


「全部神罰の代行者って奴のせいだ。こんなことを考えた奴は絶対頭のねじがぶっ飛んでるぜ」


「本当、そうだよな。早く捕まってくれないかなー」


 そんな話をしていると、後ろのビルが大爆発を起こした。会話をしていた警察官とギルドの戦士はすぐに身構え、武器を構えたり魔力を解放した。


「爆発だ‼」


「周りの人は警察やギルドの戦士達の指示に従って避難してください‼」


 そんな声が周囲に響いた。その声に交じり、獣のような下品な声が聞こえた。


「あっはっはー‼ ぶっ殺してやるよ、俺達をこんな目に合わせた奴らに復讐だ‼」


「ギルドの戦士はぶっ殺せ‼ それに味方する奴もぶっ殺せ‼ 何でもかんでもぶっ殺せ‼」


 現れたのは脱走した裏ギルドの戦士や、名の無い犯罪者だった。奴らは武器や魔法を使い、警察官やギルドの戦士、罪もない人を攻撃していった。非道な連中に対抗するため、警察官やギルドの戦士達も攻撃を始めたが、周りに人がいるため、本気の力を出すことは出来なかった。それを知ってか、脱走者共は猛攻撃を始めた。


「始末してやる‼」


「死んじまいな‼」


「いい気味だぜ、ゲーッヘッヘ‼」


 非道共の攻撃を防御しながら、ギルドの戦士は呟いた。


「応援が……くれば……」


 その時だった。上から何者かが弾丸の雨を降らせたのだ。そのおかげで、脱走者共はやられて行った。


「くっそ……誰だ!?」


 肩を抑えながら、脱走者の一人が立ち上がった。


「私だよ」


 答えたのはティラだった。右手には大きなアサルトライフルを持っていた。


「あんたらは下がってな。ここからは私達の仕事さ」


 ティラの姿を見て、ギルドの戦士は安堵した表情になった。


「後ろががら空きだぜ‼」


 ティラの背後から別の脱走者が襲い掛かった。だが、エイトガーディアンの猛攻撃を受けてすぐに散ってしまった。


「派手にやるねー」


「タルトさんの分まで暴れないと」


 リナサは魔力を開放し、ティラにこう言った。


「やる気あるねー」


「もちろん、私もやる気満々だよ‼」


 フィアットは周りにいる脱走者を倒しながらこう答えた。キャニーは呆れてため息を吐き、フィアットにこう言った。


「無茶しないでよ。まだ裏ギルドのボスがいるかもしれないから」


「いたらいたで、ぶっとばーす‼」


 腕を振り回しながら、フィアットは叫んだ。




 ボスであるグルザーク、ナフ、ロボラは裏からこの様子を見ていた。


「やってるじゃねーか」


「まだ俺達の出番じゃないよ。奴らが弱った時に襲うんだよ」


「暴れるだけか、簡単な仕事で楽だ」


 こんな話を手いていると、グルザークに向かって弾丸が飛んできた。


「誰だ?」


「よー、久しぶりだな」


 グルザークの視線には、新たな銃剣を構えたスネックの姿が映っていた。


「確か武器を壊されて戦えなくなった馬鹿か。ハッ、リベンジで来たのか?」


「その通りだ」


「たった一人で来るなんて、大馬鹿だね」


 ナフはこう言ってスネックに襲い掛かったが、前にバカップルが現れ、スネックの前にバリアを張った。


「私達もいますよ。残念でしたね」


「テメーらも脱走してたのか。また倒されるかもしれないのに」


「次はそうはいかない」


「今度死ぬのはお前らだよ」


 ナフとロボラは魔力を開放し、バカップルに襲い掛かった。だが、ナフに対し弾丸が雨あられのように飛んできた。


「んなっ!?」


「活きの良い奴がいるじゃん。相手になってよ」


「師匠!?」


 ティラの姿を見て、シュウは驚いた。ティラは地面に降りた後、シュウにこう言った。


「別にいいじゃん。私も大物と戦わせてよ。雑魚は大半片付いたから暇なんだよ」


「雑魚を倒したからと言って、調子に乗るなよ? おばさん‼」


 ナフの言葉を聞き、ティラの額に青筋が浮かんだ。


「あいつは私が血祭りにあげる。邪魔をするなよ」


「は……はい」


 バカップルは呆れ、スネックは少しビビりながらティラの言うとおりにした。




 これから始まる戦いを、神罰の代行者は遠くから見ていた。


「グヒヒヒヒヒヒ……いよいよ始まる。カオスに染まる激しい戦いが……」


 この戦いにより、事態がもっと混迷化すると予測している神罰の代行者は、笑いながらパソコンの映像を見ていた。


「さぁ、楽しませてくれ‼ 心が躍るような血祭を‼ 心臓の鼓動が高鳴る怒号を‼ 僕に見せてくれ、この世界が混沌に染まるその様を‼」


 部屋の中で、神罰の代行者の気持ち悪い叫び声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「おばさん」の一言で彼らの命すらも終わる。 そんな光景が見えてきました……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ