証拠を探せ
セッツーナマンションの火災はすぐに大々的に全世界でニュースにされた。超有名マンションから突如火災が発生し、更にマンションを護衛するロボットが異変を起こして凶暴化したものだから、マスコミがここぞとばかりにニュースや新聞で情報を流している。このニュースは、ハリアの村にも伝わっていた。
「しっかし、物騒な世の中になったなー」
ジャックがニュースを見てこう呟いた。横にいるラックもコーヒーを飲んでこう言った。
「原因がまだ分からないらしいですよ。今、シェラールのギルドで調べてると思いますが」
「シェラールか。シュウとクリムがまだ向こうにいるし、知ってるかもな」
「それなら連絡してみる~?」
と、シュガーがこう言った。
「シュガーさん」
「連絡できるか? 向こうが忙しかったらすぐに返事は帰って来ないだろ」
「とりあえずメールだけしとくよ。そうすれば返事が返ってくるだろうし」
そう言いながら、シュガーはメールを使い始めた。ジャックはテレビの方を振り向き、再びニュースの映像を見始めた。
その頃、エイトガーディアンはタルトの病室にいた。
「手術が終わってホッとしたぜ……」
スネックは安心し、胸をなでおろしていた。
「あの時はどうなるかと思ったけど、命に別状はなくてよかった」
「ボロボロの姿を見た時、すげー焦ったんだぜ」
「いやー、心配かけてすまない」
心配していたリナサとボーノに対し、タルトは頭を下げた。
「気にしないでくださいよ」
「あんな爆発に巻き込まれたんですから。骨の一つや二つ折れてもしょうがないですよ」
キャニーとフィアットがこう言うと、ハヤテがこう聞いた。
「誰がやったか目星は点いたんですか?」
「分かるわけないでしょ。聞いてなかったの? パソコンから大爆発したって」
ナギが呆れてハヤテにこう言ったが、タルトがため息を吐いた。
「止めるんだナギ。パソコンから大爆発が発生するなんて思ってもいなかった」
「それより、あの二人はどうするんですか?」
ハヤテは病室の廊下にある椅子に座って、爆睡しているバカップルを見てこう言った。
「眠らせておこう。夜中から私の手術が終わるまで、ずっと起きていたようだし」
「ですね。しばらく眠らせておきましょう」
キャニーはこう言うと、毛布を持ってきて爆睡するバカップルにかけた。
その後、病院から出たエイトガーディアンの面々は、歩きながら話をしていた。
「私、今からセッツーナマンションへ向かってみるわ」
「私も行くわ」
キャニーとナギの言葉を聞き、ボーノは少し考えてこう言った。
「俺も行こう。女の子だけじゃあ何かあった時大変だろ」
「お願いします」
「じゃ、俺は武器を取りに行く。昨日、なんだかんだあって取りに行けなかったし」
スネックはそう言ってどこかへ行ってしまった。その時、リナサは大きな欠伸をした。
「私は帰って寝る……ちょっと疲れた」
「じゃあ、私とハヤテは戻って待機してるわ。ナギ、キャニー、何かあったら呼んで」
「分かった。気を付けてね」
会話を終え、ハヤテとリナサとフィアットはギルドに戻ることにした。
「私達も行きましょ。何かあるかもしれないし」
「そうね」
その後、ナギとキャニーはそのままセッツーナマンションへ向かって行った。
あの廃ビルの一角。あの男がにやけながらパソコンでネットニュースを見ていた。
「グフフフフフ。グフフフフフフ。いいねいいね。あの事件が世間をにぎわせている」
自分の起こした事件が、大々的に報道されていることを知り、彼はご満悦だった。しばらくニュースを見ていると、キャスターが呆れてこう言っていた。
『誰がこんなことをしたのやら。常識がありませんな全く。一部の情報では、ネット上の書き込みで神罰の代行者と名乗る人物が起こしたという情報が出回ってますが……何が神罰の代行者ですかねぇ。自分が偉いと勘違いしているんでしょうか?』
この一言を聞き、男は笑い声を止めた。そして、パソコンを操作し始め、先ほどのニュースを流しているテレビ局のパソコンをハッキングし、ある事をし始めた。
「ふざけたことを言うなよ三流キャスター。この僕の恐ろしさを教えてやる」
ブツブツ小言を言いながら、彼はパソコンを操作し続けた。そして、キーボードを押したと同時に、テレビから爆発音と悲鳴が聞こえた。今テレビで流れている映像は動物特集の会話らしい映像だが、すぐに映像がカラーバーに切り替わった。
「グヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ‼ 大成功‼」
爆発がうまく行ったことを察した彼は、大笑いで喜んだ。
セッツーナマンションに来ているナギとキャニーは、システム管理室へ向かった。
「うわー、これは酷い」
ナギは焼け焦げた部屋を見てこう言った。まだ異臭があるせいか、キャニーはハンカチで鼻を覆いながら周囲を見回した。
「タルトさんはパソコンが爆発したって言ってましたね」
「ええ。爆発でダメになったかもしれないけど……」
ナギがパソコンらしきものを見ると、光っている物を見つけた。
「何これ? 電源ランプ?」
「ランプが付いてる……もしかして、まだ中は生きてるかもしれない」
「とりあえずギルドにいるパソコンに詳しい人を呼ぼう」
その後、二人は急いで連絡を始めた。