表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/448

探検終了

 その後、遺跡から戻ったフジヒロ達は、入口付近で倒れているロボラ達を見て驚いていた。バカップルは先住民を虐殺したブラッドデスの連中とボスであるロボラの討伐をハヤテとナギに伝えた。そして、フジヒロも遺跡探検で発見したことをバカップルやスタッフ達に伝えた。


 それから探検隊は帰路に付く事になった。その間、捕らえたブラッドデスの連中はクリムの魔法でしっかりと縛られ、身動きできないようになっていた。入口に到着したと同時に、クリムはキャニーとフィアットにブラッドデスを捕らえたことを連絡した。連絡を受けた二人はすぐに駆け付け、クリムが捕らえたブラッドデスを引き取った。


「では戻ろう。帰るまでが探検だ」


 フジヒロの言葉の後、シュウ達は返事をした。




 帰って来た時はすでに暗かったので、シュウ達はホテルで一晩過ごすことにしていた。今、バカップルは一緒の風呂に入っている。


「はぁ~……何だか安心します~」


「探検の間はドラム缶風呂だったからな。いつどこでモンスターが襲ってくるか分からないもんな」


 バカップルは互いに身を寄せながら体を癒していた。クリムがシュウの腕を見て、ある事を察した。


「先輩、日に焼けてますよ」


「え? あ、本当だ」


「もしかして私も……」


「多分焼けたな」


 クリムは鏡で自分の体を見て、声を上げた。


「変な風に焼けてしまいました……なんか恥ずかしいです」


「ずっと外にいたからなー。俺も紫外線クリーム持ってくればよかった」


 シュウはこう言って、湯船から出た。


「さて、髪でも洗うか」


「手伝いまーす」


 クリムはシュウに近付き、髪を濡らして手にシャンプーを付けていた。その時だった。


「ちょっと‼ 私も混ぜなさいよ‼」


 シュウと一緒に風呂に入ることをもくろんだナギが、浴室に乱入してきたのだ。


「帰ってください‼ あなたの裸を見たら先輩の目が腐るじゃありませんか!?」


「失礼なことを言うわね‼ シュウさん、いくら見ても構いませんので‼」


「シャンプー中だから見れない」


「チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼」


 ナギは悔しそうにその場に項垂れた。クリムはナギを追い返し、シュウとイチャイチャしながらシャンプーを始めた。




 その翌日、無事にシェラールのギルドに戻ってきたシュウ達は、部屋で休んでいた。長期の依頼のため、しばらく休むことにしているのだ。


「三日間のお休みですか。何します?」


「結構依頼料貰ったから、デートでも行くか?」


「はい‼ ぜひぜひ‼」


 会話を終え、バカップルはすぐに支度をして外に出て行った。その時、どこからか現れたマスコミが二人を取り囲んだ。


「お話を聞かせてください‼」


「アバジョンから生還したんですよね、一体何があったのか教えてください‼」


「奥地に何があったんですか!?」


 突如現れたマスコミに対し、クリムはため息とともにこう言った。


「いずれフジヒロ探検隊の番組でやると思います。それまで待ってください。プライベートなので、あまりマスコミに関わりたくありません」


 そう言うと、クリムは不機嫌な顔でシュウと歩いて去って行った。マスコミ共は後を追おうとしたのだが、クリムから察したこれ以上追ってきたら地獄を見せるぞと言わんばかりのオーラを察し、足を止めた。


「は~あ、どこで私達がアバジョンの探検をしたって聞きつけたんでしょうかね?」


「全くわからん。ギルドの情報網を把握してる奴がいるのかな」


 バカップルはカフェでパフェを食べながらこんな会話をしていた。しばらくすると、携帯を見ていたシュウが声を上げた。


「どうかしました?」


「俺達の事、もうネットニュースに乗ってるよ。ほれ」


「へー、もう記事にされてるんですね」


 シュウが見せたサイトには、アバジョンの探検を番組で流すという記事が載っていた。それを見て、クリムは少し悔しそうに呟いた。


「そう言えばテレビ関係の仕事だから、テレビに乗るんでしたよね。化粧でもすればよかった」


「俺ももうちょっといい仕事用の服にすればよかったなー」


「何言ってんだよお前ら‼」


 聞いたことのある声を聞き、バカップルは目を丸くして驚いた。後ろを見ると、そこにはティラが立っていた。


「師匠!? 何でここにいるんですか!?」


「プライベート。いい酒があるって聞いたからここに来たんだよ」


 ティラが手にする袋には、大量の酒瓶が入っていた。それを見て、二人は呆れていた。


「酒のために来たんですか?」


「まーな。これからホテルに戻って一杯やるところだよ」


「一杯どころか二杯も三杯もやりそうですね」


「いいじゃねーか、細かい事はよー‼」


 笑いながらティラがこう言うと、何かを思い出したのかバカップルにこう言った。


「そう言えばアバジョンの探検をしたんだって?」


「はい。フジヒロ探検隊の依頼で護衛に行ってました」


「途中で裏ギルドのブラッドデスと戦いましたが」


「護衛のはずが裏ギルドの討伐か。大変だったな」


「いえ、ブラッドデスの連中は大したことありませんでした」


 クリムはあの時の戦いを思い出しながらこう言った。


「流石賢者様だな。さて、私は戻るよ。放送楽しみにしてるからなー」


 と言って、ティラは上機嫌で去って行った。バカップルは去っていくティラを見て、少しほっとしていた。




 その後、フジヒロ探検隊にてアバジョン探検の事が放映された。未知の物が度々発見されたこと、虐殺されてしまったが先住民の存在がはっきりしたこと、そして奥地の遺跡にて需要な発見があった事、クリムとブラッドデスとの戦いの事がテレビを見ていたお茶の間の皆さんに伝わった。そのおかげもあってか、かなり高い視聴率を取れたという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ