表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/448

未開の土地、アバジョン

 シュウ達を乗せた車は長い道のりを経て、未開の土地であるアバジョンの前に来ていた。


「うわー、結構物騒なとこなんだなー」


 シュウは目の前にある看板を見て呟いた。シュウが目にしている看板には、大きく目立つ文字で『危険‼生きて帰れることはないと思うから絶対入るな‼』と、書かれていた。


「それほど危険な場所なんですね」


「だからこそロマンがある」


 フジヒロがクリムにこう言った。クリムは心の中でロマンよりも命の方が大事なんじゃと呟いたが、言うのを止めた。


「さて、準備を終え次第行こう」


「その前にここの管理主に連絡をしてきます」


「大丈夫だお嬢さん。すでにテレビのロケがあるという事を伝えている」


 管理主がいる小屋に行こうとしたナギを止め、フジヒロは大きく深呼吸を始めた。すると、フジヒロの筋肉が大きく動き始めた。


「うえっ‼ 何ですかそれ!?」


「何十年と鍛えた結果だ。魔力を使って筋肉の量を自由に変えることを取得したんだ」


「ば……化け物……」


 思わずクリムはこう言ってしまった。だが、フジヒロはその言葉を聞いていなかった。


「では行こう‼ ロマンあふれる冒険の始まりだ‼」


 と、フジヒロはカメラ目線でこう言った。




 アバジョンの中はいたって普通のジャングルと変わらなかった。だが、一歩入った瞬間にクリムとナギは魔力を察していた。


「どうしたんだ魔力なんて開放して」


「何かあった時の為です。すぐに魔法を使えるようにしないと」


「最初から力を入れていたら、いざという時動けなくなるぞ」


 フジヒロは笑いながらこう言ったが、上から巨大な大蛇が彼に目がけて飛んできた。


「フジヒロさん‼」


 シュウはとっさに銃を構え、ハヤテは腰の二つの剣を取ろうとした。だが、フジヒロは右手のアッパーで大蛇を粉砕した。


「すげぇ……」


「一発で大蛇が粉々……」


「危なかったね。大丈夫かい?」


「はい」


 シュウとハヤテはフジヒロの余裕の表情を見て安堵した。この人の戦闘力なら大丈夫だと思った。それと同時に、この人の護衛いらなくねーかとも思った。


 歩き始めて数分が経過した。シュウ達の目の前に大きな川が現れたのだ。


「うえー、私濡れるの嫌よ」


 ナギはスカートをめくりあげて移動しようとしていた。だが、その時にナギのパンツが見えそうになった。それに気付いたナギは、ハヤテに一括していた。


「ちょっと、見ないでよね‼」


「大丈夫だ。オメーのパンツなんて見たら目が腐る」


「腐らせてやろうか、目の前の汚水でなァァァァァァァァァァァァァァ‼」


 怒り狂ったナギは、ハヤテを川に突き倒そうとしてた。その時、ハヤテは何かを察して後ろに下がった。


「ちょっと、急に暴れないでよ」


「馬鹿野郎‼ 何か来るって分かんねーのか!?」


 その直後、川の中から大きなワニが現れた。


「あれは凶暴なワニ型モンスター、スプラードダイル‼あいつは群れで動きます。もしかして……」


 クリムの言葉の後、最初の一匹を皮切りに続々と仲間のスプラードダイルが陸に上がってきた。


「やばいな。俺の銃で倒せるかな」


「奴の皮膚はそれぞれ硬さが違います。先輩の銃が通用するかどうか分かりません」


「やってみる」


 シュウは銃を構え、目の前の一匹に銃弾を撃ち込んだ。だが、銃弾は跳ね返り、近くにいた別の一匹に命中した。


「運よく一匹は倒したけど、倒すのに時間がかかりそうだな」


「私が行こうか?」


 フジヒロは構えをとってやる気をアピールしていた。しかし、ナギが彼を止めた。


「状況を考えてください。私達はあなたを護衛するために来たんですから。それに、他にもスタッフがいます。いちいち一匹ずつ相手にしてたらいずれ皆奴らの餌になってしまいます」


「ではどうする?」


「こうするんです‼」


 クリムは魔力を開放し、スプラードダイルの足元を凍らせた。そのおかげで、川から半分出ているスプラードダイルは身動きが取れなくなり、残りの連中は滑ってどこかへ行ってしまった。


「では、私達は別の道を通りましょう」


 クリムは大地魔法を使い、目の前の地面を操り、大きな橋を作った。


「おお‼ 素晴らしい‼ これならアバジョンを攻略する事が出来る‼ いやー、君達に頼んで正解だったよ‼」


 フジヒロは笑いながら橋を渡ったが、ナギは顔を真っ赤にしていた。


「こんな事になるんだったら、スカートなんて上げなければよかった……」


「大丈夫。俺もハヤテも見てないから」


 シュウはフォローのつもりでこう言ったのだが、ナギはシュウに抱き着いた。


「大丈夫です~。ハヤテの馬鹿には見せたくないんですが、シュウさんには好きなだけ私のセクシーな姿を見せてあげますから~」


「ああああああ‼ ちょっと離れてください‼先輩はあなたのセクシーな姿には興味ないんですから‼ いつも私とお風呂に入っているから他の女のセクシーな格好なんて興味ないんですよ」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 何? あんたシュウさんといっつもそんなことしてるの!? 羨ましい‼ 私も全裸のシュウ君を見たい‼」


 クリムとナギの言い争いが始まり、シュウはため息を吐いた。


「こんな状態で大丈夫かな……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ