ライフブレイカーとの全面対決‼
シュウ達は演説の現場となる駅前に来ていた。すでに他の立候補者たちが、液の前で演説を行っていた。
「チッ、どうせ落ちるのに張り切りおって」
他の候補者達を見ながらコンリはこう言った。そんな中、コンリはブランビの姿を見て、彼を睨んだ。
「あいつだけには負けたくないの」
「はいはい、テキトーに頑張ってくださーい」
運転手はゲームをしながらこう言った。この運転手を見て、コンリは私が当選したら消してやると思った。
その後、コンリも車の上に立って演説を始めた。武装したシュウは、遠くの駐車場にある車内で待機していた。いつどのタイミングでライフブレイカーが襲ってきてもいいように、シュウ達は別々の場所に待機していた。クリムは駅近くのカフェ、タルトは変装して駅前にある木の近く、リナサは演説を見ている人の群れに紛れ込んでいた。
タルトは小声で、マイクにこう言った。
「何かがあればすぐに動くように」
「了解」
「分かりました」
「はい」
タルトが耳にするイヤホンから、シュウ達の声が聞こえていた。いつでも連絡できるように、トランシーバーをつなげているのだ。
同時刻、シュウ達とは別の方にいるナフ達ライフブレイカーは、駅から離れた場所にある大型車に乗っていた。その中には無数の団員達や、銃や剣、ロケットランチャーなどの物騒な武器があった。
「人も集まって来た。そろそろ頃合いだねぇ」
ナフはそう言うと、団員の一人にロケットランチャーを持って外に出ろと伝えた。そして、ナルはこう話を続けた。
「コンリかその近くにいる連中に向けてぶっ放せ」
「了解‼」
団員は威勢のいい返事をし、ロケットランチャーを放った。その音を聞いたシュウはすぐに外に出て、銃を構えて飛んでくるロケットランチャーを打ち抜いた。この大爆発を聞いたのか、演説を見ていた人や取材をしていたメディアの連中が慌て始めた。
「きゃあああああああああ‼」
「何だ何だ!?」
「爆発がしたぞ」
「ガス爆発か?」
「違う、誰かが物騒なもんをぶっ放したんだ‼」
この騒動を察したコンリ達立候補者は、急いで車内に戻って逃げ始めた。そんな中、ブランビは車の中で舌打ちをしていた。
「あいつら、しくじりおって」
その時だった。突如車が急ブレーキで止まったのだ。
「何だ急に!?」
「目の前から巨大なトラックが……」
運転手の言葉を聞いて前を見ると、そこには巨大なトラックが立候補者の前に立ちふさがっていた。
「あいつらか……」
「何企んでるか知りませんけど、俺は抜けますんで」
と言って、運転手は去ってしまった。他の立候補者やその運転手も突如現れたトラックに恐怖し、外に出て逃げ始めた。だが、トラックから銃を構えたライフブレイカーの団員達が姿を見せた。そして、ナフが手を下ろしてこう言った。
「逃げた奴を全員撃ち殺せ」
その後、団員は命令通り銃を撃ち始めた。しかし、何者かがバリアを張ったせいで弾丸は途中で止まってしまった。
「誰だ……」
「あなた方がライフブレイカーですね」
そこにいたのはクリムだった。その後ろには騒動を聞きつけたタルトとリナサがいた。クリム達の姿を見て、ナフは舌打ちをした。
「どいつもこいつも邪魔をしやがって……ギルドの戦士がよー……調子に乗るんじゃねーぞ。こっちの仕事を邪魔するな‼ お前ら、あいつらを殺せ‼」
ナフの声を聞き、団員達は武器を持ってクリム達に襲い掛かった。タルトが団員達の前に移動し、剣を構えた。
「かかってこい。貴様らの相手なぞ、私一人で十分だ」
「ケッ‼ いい歳こいたおっさんが何言ってんだ!?」
「この数を一人で片付けるつもりかよ‼」
「そのつもりだ」
タルトは答えた後、目の前にいる五人ほどの団員を斬り飛ばした。
「たかが五人倒して調子に乗るなよ‼」
「こっちにはまだまだ仲間がいるんだぜェ?」
「関係ない。貴様たちのような雑魚、束になってかかって来ても同じことだ」
タルトは攻撃をしながら、団員にこう言った。その言葉を聞いた団員は怒り狂ったように叫んだ。
「お前ら‼ あのおっさんから片付けるぜ、上にいるガキは後で始末すればいい‼」
「君達みたいな非力な戦士が、私達を倒せるかな?」
「ふざけんなよ、クソ野郎‼」
団員は武器を振り回しながらタルトを襲ったが、タルトはその武器を剣で斬り捨てたり、蹴って飛ばしていた。圧倒的なタルトの力を見て、団員達はようやく自分達では相手にならないと察した。
「こいつ……つえぇ……」
「なんて奴だ」
「しかもよー……息切れしてねーぞ。どんなスタミナしてるんだよ」
「終わりか? ならどいてもらおう‼」
その後、タルトは剣に魔力を込め、振り払うと同時に解き放った。そのせいで大きな衝撃波が発生し、団員達を吹き飛ばした。
「さっすがお義父様‼」
「タルトさん、お疲れ様」
「ああ。出番を取ってしまって悪かったな」
タルトは近付いてきたクリムとリナサにこう言った。だが、その時に発砲音が聞こえた。
「……やってくれると信じてたよ。シュウ」
目の前でぶつかり合う弾丸を見て、タルトは呟いた。タルトが目にする光景には、ライフルを持ったスナイパーが立っていた。