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もう一つの問題

 ラック達はコンリの事務所近くにあるビジネスホテルに泊まっていた。話し合いが終わった後、ホテルの自室に戻っていた。部屋はラック一人と、シュガーとティラという組み合わせになっている。


「意外とめんどい依頼になったなー」


 ティラは大きな欠伸をして、冷蔵庫に入れてあった缶ビールを開けながらこう言った。シュガーはこの言葉を聞き、テレビを見て答えた。


「はい。あの人が選挙に当選しなければいいんですけど……それと、あの人を狙う悪人もいるみたいですし」


「はぁ? あんな奴を狙う馬鹿がいるのか?」


「いるんですよ。ニュース見てください」


 と、ティラは缶ビールを飲みながらテレビを見た。


「あらー、あいつが街頭演説してたところでドンパチ騒ぎがあったのか」


「シュウ君とクリムちゃんはこの事を言ってなかったけど。あの二人が解決したって」


「ほんとだ。あいつらの顔がテレビに映ってるし、戦ってる映像も流れてるよ」


 ティラはライフブレイカーのスナイパーと戦うバカップルの姿を見て、にやりと微笑んでいた。


「事件に巻き込まれてあのロリコン野郎がぽっくり逝くってことになんねーかな」


「ティラさん、シュウ君達はあの人を守るのが依頼なんですよ。あのロリコンじーさんが死んだらギルド全体の評価が下がります」


「そうか。いずれにせよ……めんどい依頼だな」


 ティラは缶ビールを飲み干した後、缶をゴミ箱へ捨てた。




 ブランビの事務所。コンリの始末を失敗したライフブレイカーに対し、ブランビは起こりそうになっていた。


「ったく、あんな大口を叩いて失敗するとは……クソ‼ 大金を払って役立たず共を雇わなければよかった‼」


「役立たずで申し訳ないねぇ」


 と、ナフが欠伸をしながらブランビの部屋に入ってきた。


「な……何だ急に? 驚かすな」


「すまんすまん。別にそう言うつもりじゃないんだけどね」


 ナフはそう言うと、ブランビに近付いてこう聞いた。


「明日、選挙の前日だからどこもかしこも派手に宣伝するんだろ?」


「ああ。最後の最後まで宣伝しないと、票に響く」


「ま、あんたの場合は企業による組織票があるから一定の数は越えてると思うが……そんな事より、明日の予定表を貸してくれ。チェックはしているが、念のために最終チェックをしたい」


 その問いに対し、ブランビは待ってくれと言った後、机の上に会った資料をナフに渡した。


「こいつが明日の予定表だ。駅前で大勢の候補者が街頭演説をする。もちろん私もするし、コンリの奴もするだろう」


「ククククク……そうかいそうかい。明日は楽しい楽しい街頭演説になるだろうねぇ……」


 ナフは気味の悪い声で笑いながら、部屋から去って行った。その姿を見て、ブランビの背中に悪寒が走っていた。




 コンリの事務所の客用寝室でシュウ達は寝泊まりしていた。バカップルは同じ部屋なのだが、二人と一緒にいたいという要望でリナサも同じ部屋にいた。シュウ達は資料を見ながら、明日の最終演説に向けて話をしていた。


「コンリを狙う奴も明日は絶対動くだろうな」


「ですね。命を狙うとしたら、ここがラストチャンスですから」


 バカップルは明日、必ず騒動が起きることを確信していた。そんな中、リナサは電話で話をしていた。


「うん。分かった。タルトさんやお兄ちゃん、クリムお姉ちゃんにも伝えるね。じゃ、また明日」


 そう言って電話を切ると、リナサは先程の電話の事をバカップルに伝え始めた。


「お兄ちゃん、クリムお姉ちゃん。今さっきこの前捕まえた奴らが口を割ったってナギから連絡が入った」


「あの人の正体は何だったんですか?」


 クリムがこう聞くと、リナサは咳ばらいをして話始めた。


「殺人専門の裏ギルド、ライフブレイカー。奴らはコンリと同じ立候補者のブランビから依頼を受け、コンリを殺害するように頼まれてた」


「ブランビね。ついでにそいつも捕まえよう」


 話を聞いたシュウの言葉を聞き、クリムとリナサは頷いた。その後、リナサは話を続けた。


「明日はハヤテとナギも応援に来るの。奴らは最後の手段として、投票日前日に大規模な攻撃を仕掛けるって予定をしてたって」


「無差別に人を殺すつもりか……」


「殺人専門の裏ギルドが考えそうなことですね。絶対に許されない行為です」


 クリムは少し怒りが湧き出ているのか、声のトーンが少し低かった。クリムの声を聞いた後、シュウがクリムを抱き寄せた。


「クリム、怒りをぶつけるのは今じゃない。明日だ」


「そうですね、先輩」


「そろそろ寝よう。明日は忙しくなりそうだ」


「うん」


 その後、バカップルとリナサは布団の中に入って眠り始めた。




 翌日。リナサが昨晩の事をタルトに伝えに部屋に行き、シュウは銃の整備や弾丸の補充を行っていた。


「先輩、今日はたくさん装備してますね」


「ああ。何があるか分からないし、保険としてたくさん持ってかないとな」


 シュウの腰にはリボルバー用の弾丸、それに魔力で補充できるマガジンがいくつも装着されていた。そして、背中にはライフルと、狙撃と突撃を備えたアサルトライフルが携えられていた。そして、愛用のハンドガンも左腰付近に装着されていた。


「準備は出来た」


「私もオッケーです」


 クリムの服装は白いローブだが、動きやすいように加工してあり、更に物理と魔法防御も兼ね備え、更に更に防弾加工もしてある。


 バカップルが準備を終えた後、タルトとリナサが部屋に入ってきた。


「二人とも、準備は出来たようだな」


「うん。いつでも行けるよ」


「よし、行こう」


 その後、シュウ達は宣伝車に乗り込み、人が集まる場所へ向かって行った。

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