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撃退戦開始

 ジャックから放たれる魔力を察し、侵入者はひるんでいた。侵入者は察していた。ジャックの戦闘能力が自分達よりも、はるかに上だという事を。


「おい、ここは逃げるぞ」


「おう‼」


 男達は銃をしまい、一斉に後ろに高く飛び上がった。ジャックは焦ることなく、男達の後を追って行った。しかし、男達はロープにしがみつき、そのまま下に降りようとしていた。


「おーい、悪いけど逃がさねーからなー」


 ジャックはそう言うと、ひっかけてあったロープを切断した。その直後、落下していく男達の悲鳴が響いた。その後、ジャックは欠伸をしながら落下した男達の所へ向かった。




 研究室入口。そこに立っていたシュウは、辺りの騒動を察していた。左手には、拳銃が握られていた。


「せんぱーい」


 しばらくすると、捕らえた侵入者を連れたクリムがやって来た。クリムは縛った侵入者を廊下の壁に置き、シュウに抱き着いた。


「無事でよかったですー」


「ああ。こっちは何ともなかった。で、こいつが侵入者か」


「はい。トイレで研究員に襲い掛かりました」


「向こうから変な魔力を察したから、もしやと思ったんだけどな。で、襲われた研究員は治療室に行ったのか?」


「はい。首を絞められただけですが、大事をとって治療室へ向かいました」


「それがいい」


 その時、バカップルの端末に着信音が鳴り響いた。ジャックからのメッセージが入っており、すぐにメッセージを確認した。


「ジャック先輩の方でも侵入者を撃退したようですね」


「かなり間抜けだったらしいけどな」


「ミゼリー先輩の方は無事でしょうか?」


「多分無事だと思うけど……」


 シュウはそう答え、端末をポケットにしまった。




 ビル3階。ミゼリーは怪しい気配を察し、辺りを歩いていた。通り過ぎる職員はミゼリーの目を見て、少し驚いていた。


「……はぁ……」


 ミゼリーはため息を吐き、人目が付かない場所へ向かった。しばらくし、彼女の後ろにいた二人の男が、その後を追って歩いて行った。二人組の男は、小声でこう会話をしていた。


「残り二グループの連絡が途絶えた。やられたと考えられる」


「俺達は俺達の仕事をするだけだ。ギルドの女を捕らえて、話を聞きだすぞ」


 会話を終えると、ミゼリーを捕らえるために武器を隠し持った。


「この先は行き止まりのはず。そこで決めるぞ」


「了解」


 その後、二人は行き止まりの所へ向かった。だが、そこにミゼリーの姿はなかった。


「なっ!?」


「どういうことだ……確かにここの角を曲がったはずだが……」


 二人は消えたミゼリーを探し、辺りを探し始めた。その時、一人が何かに気付いた。


「何か臭くないか?」


「そういえばそうだな……」


 謎の臭いを完治した直後、二人の意識は途切れた。しばらくした後、柱の隅に隠れていたミゼリーが姿を現した。


「魔法で作った睡眠ガスの威力はすごいわね……」


 ミゼリーは周囲に充満している魔法で作った睡眠ガスを消すと、魔法を使って二人を縛った。




 数時間後、ジャックは誰も使っていない部屋の中で、捕らえた侵入者から話を聞いていた。それとは別に、シュウ達は今後の事を話しあっていた。


「今のタイミングで侵入者が来るとなると、今後もっと大変になりそうね」


 ミゼリーはコーヒーを飲み、こう話をした。


「そうですね。特許申請まで何もない……と言うわけにはいかないと思います」


「俺もクリムと同じ意見です。それと、もし戦いが激しくなった時のことも考えた方がいいと思います」


「そうねぇ。ここで働いている人達が巻き添えになったら世間から何て言われるか……」


 その時、ジャックが息を吐きながらやって来た。


「あ、話は終わったんですか?」


「ああ。意外と早く話をしてくれたぜ」


 シュウにこう言うと、ジャックは侵入者から聞き出したことをクリム達に伝えた。


「侵入者共は皆キョーヒ製薬会社に雇われた窃盗犯だ。ナデモースの窃盗を依頼されたようだ」


「キョーヒ製薬会社……話には聞いたことがあります。ここと同じ製薬会社ですが、販売している薬はほとんど魔法に頼らず作っていると」


「科学だけで作ってるのね。だけど、何でこんな真似をしたのかしら?」


「それは分かりません」


「まー、特許申請まで戦いは続くってことだな」


 ジャックは机の上のクッキーを一枚食べた。


「しばらくは交代で研究室の護衛をしましょう。今日は私とジャックがするから、シュウとクリムは部屋で休んでて」


「はーい」


「分かりました」


 会話後、バカップルは用意された部屋へ向かった。シュウは背伸びをし、体に付けてあった銃などの装備をベッドの横の机に置いた。


「先輩、一緒にシャワー浴びましょうよ」


「ああ、そうだな」


 その後、バカップルはシャワー室へ向かった。シャワーで体を洗う中、クリムはシュウにこう話をした。


「あのタブレット、調べました?」


「いや。借り物だからあんまりいじったら悪いと思って、やってない」


「……これは私の勘ですが、あの中に盗聴器が仕掛けられてる恐れもあります」


 クリムのこの言葉を聞き、シュウの動きが止まった。


「じゃあ、もしかしてジャック先輩とミゼリー先輩が見張りをすることを……」


「それは問題ないと思います。あの二人はとんでもなく強いので」


「うし、明日ダスヤさんにあのタブレットの事を聞いてみるか」


「スパイが誰か分かると思いますね。まぁ、私の勘だから当たっているか分かりませんが」


「不安要素は確実に消そう」


 その後、シャワーを浴び終えたバカップルは着替えに向かった。

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