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モテる女になるためのレッスン

作者: 夕凪 もぐら




 あのさ、あたしが教えてるのがさ、いい女になるコツじゃないことをよく理解してね。ゴリ美、あんたが目指すべきはいい女なんかじゃない。そう悪い女。ねぇ、ちゃんと聞いてる? モテる女イコールいい女じゃないことは、前回のレッスンできちんと教えたよね? 出されたお酒に手を付けないなんてあんたヤる気あんの? 呑んで酔ってメンズにしなだれかかるのは鉄則だよ。ほら、呑んで! もう一回あたしと乾杯。


 ったくさぁ、ゴリ美、あんた自分がちょっとこの中では可愛い(マシ)と思って油断してるでしょ。まずは今アニソンを歌ってるあの子を見て頂戴な。エントリーナンバー1番、メガネショートボクっ娘オタク女子のオタ子。正直に言いなよ。今あんた、自分の方がカースト上位であんなの相手にならないとでも思ったでしょ。莫迦(ばか)だよねー。それは違うんだよねー。すでにあの子の術中(イリュージョン)にかかってるの。そもそもオタ子のやつ、実は普段アニメなんか観ないし、メガネも掛けてない。あの一人称もオタク発言も全部全部演技だよ。一見メンズにドン引きされているかのように見えるでしょ? でもね、きっとこのままいったらこの場にいる全員の連絡先はあの子の総取りだよ。男性の多くが求めているのはね、ゆるふわでディ●ニーとか好きな女子じゃないんだ。一風変わった子に興味をもつの。わかる? あいつらは「変わった女子と付き合う俺かっこいい」願望を心のどこかに孕んませているんだな。


 やだっ! ちょっ、この程度でそんな顔しないでよ。これはまだ序の口。今オタ子のアニソンそっちのけで、男とイチャイチャしてるあの子を見て。エントリーナンバー2番、肉食系女子アケミ。あの距離感に注目してみて。オタ子のアニソンで話声が聞こえないことを大義名分にして、わずか数センチでチューできちゃう距離。しかも片乳を男の肩に当ててる。あれが一番厄介なタイプだわ。ん? あんまガツガツしていると、相手に見透かされるんじゃないかって? それは半分正解。男たちも完全な莫迦(ばか)じゃない。たしかに学校や会社だったりしたら単純にモテるのはオタ子の方。でもさ、ここはクローズドサークル。地の利はアケミに有るんだよ。閉鎖空間に於いての絶対的な力……それはすなわちエロスだよゴリ美。エロを極めし者は合コンを制す。エロのみがこの場の真理でありルール。だからこの閉ざされた個室の中でだけならばド淫乱のアケミは無敵。なす術もなくオタ子は敗れ去ると思うよ。


 さて、まあ、レッスンはこんなところにして、そろそろあたしもこの飲み会を楽しもうかな。あの二人もいい線いってるけどさ、真打ちに比べたらまだまだアマチュアだよね。真打ちにして第三の刺客。それはねゴリ美、今あなたの目の前にいるあたしだよ。

 話変わるけどさ、世界中の異性からモテる究極の方法を教えてあげよっか。原理としてはとっても簡単。それは分母を減らすこと。ほらグループの中の紅一点って絶対的にモテるじゃない? 意図的に紅一点の環境を作り上げる。つまりはさ、世界中の同性を皆殺しにすればいいの。たった一人残った者こそが勝者。百獣の王は全ての同性を淘汰して自らのハーレムを築くものだよ。この派手な付け爪は相手の喉笛を掻っ切るためにあり。なんちゃってー。もちろん今あんたが飲んだドリンクにも、ちょーーーー強力なやつを仕込んでおいたんだー。睡眠薬か下剤か致死性の猛毒かは後のお楽しみ。どう? 勉強になった? モテるのはどう考えても悪い女でしょ?









 



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― 新着の感想 ―
[良い点] ☆読みやすい語り口調 ☆落としどころ [一言] よく女性作家は同性の悪いところを描写したがります。異性に夢見る殿方に「そんな可愛いもんじゃない」って知らしめたい心理が働くのだと私は勝手に…
2019/07/30 23:13 サトミッチ
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