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第二話「面接だよな...」

~大学の就職支援課にて~

『まだ説明会あります!』

『採用活動を続けています』

正直、10月までに内定が貰えてると思ってた俺がこうして採用告知を見るために大学に来るとは思ってもいなかった。しかし、こうしてみるとまだ採用活動を続けている企業も多いんだな... 業種もたくさんあるが中々大手企業と言われる企業の募集はないな。地方の企業、工場、事務員、販売員... こうしてみると意外とあるな。

採用告知をチラチラ見てると身に覚えのある声が聞こえてた。

「おう、翔!なんだ?お前まだ就活してるのか?」

今、俺を呼んだのは「斎藤(さいとう) (ふう)」。大学からの友人で、大学生活の中では一番の仲が良い奴だ。

「なんだ風。俺をバカにしに来たのか?」

「半分はそう。もう半分は心配しに来た。」

半分は...って。こいつは既に内定が決まってて、なんと我が国を代表する大手企業に内定が決まってる。羨ましい反面、ずっと共にしてきた俺とこいつでどこに差が生まれてしまったのか気になってしまう。ちくしょお、ほんと悲しいな

「せめて全部心配してくれよ。」

「マジでごめんって。で、いいところあった?」

「や、あんまないな。」

何にしろもう1時間はこうして採用告知を眺めてる訳だし。何度も何度も見ててそれでも良いところがない。

「俺は翔がこのままニート一直線になりそうな気がして怖いんだが。」

「ニートにはならん。なるとしたらフリーターだ。」

「何が違うんだが...」

ニートとフリーターってかなり違うだろ!と心の中でツッコミをしつつ、このままだと風の言う通りになってしまうと考えてしまう。

「そういや翔ってパソコン操作上手いよな。確か、プログラミングの講義の評価高かったよな。」

「まぁそれなりには得意の方だと思う。」

実家から離れ、一緒に持ってきたパソコンと共に時間潰しのためにやってみたプログラミングだがこれが面白く趣味になってしまった。そのせいか、風が言った通り大学のプログラミングの講義の評価は高かった。

「ならエンジニアとかどうだ?ほら、ここにエンジニアの採用告知があるぞ!」

「エンジニアか..でも辛いって聞くしな。」

以前、エンジニアについて調べてみたところ辛いと言う単語を多く見つけてしまった。いくら、プログラミングのことを少し知ってる俺でも職としてやってける自信はない。まして辛いならなおさらだ。

「もう辛いとか言ってる時期ではないと思うぜ。せめて説明会でも受けてきたらどうだ?今週あるらしいし。」

「でもな...」

「ならお前はこのまま職もなく来年ニートのままで過ごすのか?」と風がいつにも増して大きな声で俺に問いかけてきた。

しかし、場所は就職支援課。周りの学生たちが『なんだ?あいつ?』という視線で俺たちを見てきた。俺はたまらず風を外に連れ出した。

「ばか!お前室内で大声出すなって!」

「はっ!すまない」

風は自分がやったことを思い出したのかのように黙りこんでしまった。でも、風は俺のことを思ってあそこまで大きな声を出してくれたと思うと感謝しかない。

「...そうだな。辛いとか言ってなれないな!わかった。説明会行ってみるわ。」

俺は吹っ切れた。説明会行くのと行かないのでは大きく違う。今後の俺の人生に必要になるかもしれない。そう思うと考え方を前にしてみた。


----------------------

そして説明会当日。会場には俺の他に何人かリクルートスーツを着たのがいた。こうしてみると改めて就活の大変さと厳しさ、そしてこの時期まで採用活動をする企業のありがたさなどを感じた。

説明会としてありふれた「初心者でも出来る」、「休日休暇について」、「給料について」と言ったことを聞かされた。説明を受けて、そのまま筆記テストを受ける流れになってしまった。説明会後、このまま帰っても言いということになってたが、時期も時期で学生も焦りからか帰る人はいなく俺もそのまま筆記テストを受けてしまった、と言うわけだ。まぁ俺も内定はまずは一つは欲しいからな。筆記テストの結果は1週間以内に合格者には連絡する、というアナウンスを聞きその日の説明会は終わった。

そして1週間たった日に履歴書に書いてある電子メールの受信フォルダに「面接にお越しください」という題目のメールが届いていた。そう、前に受けたエンジニアの企業からのメールだ。嬉しい反面、『エンジニアの面接って何をするんだ?』と考えてしまう。直ぐ様、『エンジニア 面接』で検索サイトで検索をし自分なりの志望動機や今後やりたいことを考えた。

そして面接当日。俺はとてつもない緊張をしていた。そもそも、俺は面接というものがとても苦手で今まで受けてきた企業でも面接でしっかりと答えることが出来ず、落とされまた落とされという負の連鎖が続いていた。今でも体から心臓が飛び出そうな位、鼓動は早くなってきた。

「井上翔さん。こちらでお待ちください。」と採用担当らしき人が声をかけてきた。

「は、ヒャイ!!」

ヒャイ!ってなんだよ... ここまで緊張してるのか俺は。しかし面接はなんどやっても緊張するな。

俺は扉の前にたつ。ドアを叩く。ドアの向こうから「どうぞ」という声が聞こえる。息を一回はき、覚悟を決めてドアを開ける。

「失礼します。」一礼してから入室しドアを閉める。緊張から面接官の顔を見ることはできなかった。ドアを閉め顔をあげた。

「...え?」

顔をあげ目の前を見てみると面接官らしき人はいない。面接官らしき人はいないが目の前には豪華なドレスを身にまとっている少し年老いた女性の方、そのとなりには王冠を被った昔話に出てきそうな王様のかっこをしている年老いた男性の方がいた。『この企業はコスプレ面接官が面接をするのか?少し変わった企業だな』と思ってたしまった。

「よくぞ参った!勇者殿よ!」

王様のかっこをしたおっさんが言い出した。は?勇者?エンジニアの面接に来たよな。勇者ってなんだ?

「すみません。私はエンジニアの面接を受けに来たのですが。勇者ってなんでしょうか。」

「エンジニア..という言葉は何か知らんが、お主は異世界より召喚された勇者ではないか!何を言ってるのだ!」

ダメだ。理解が追い付かん。勇者?異世界?召喚?わけがわからん。

俺は手に持ってた就活のためのカバンを地面に落としてしまった...

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