明日にゃ明日の風が吹く
掲載日:2018/08/27
大嵐が湿風を連れてって
空っ風にも追われた日に、
壁の蔦の葉が萎れた陰から
騒いでいた奴らの抜け殻が現る。
昼間は暑い明りに覆われて
残暑の見舞いが往き交う頃に、
暗くなれば送南風の中で御盆の灯りに照らされて居る。
もう用事が無くなったその存在は、
ぼくらに無言で語りかけてくる…
ここで生まれて、ここで育って、
ここから旅立った証となる。
ここに居たんだよ、
ここを離れたんだよ、と。
この場所から、何処へ行ったか
誰も知りはしないけど、
きっと何年後かは、
同じ様に必ずこの辺りで、
湿風の中に現れて、暗いうちに動き出し
誰にも気付かれずに旅立って、
きっと近くで騒ぎ出すだろう。
そしてまた…
暑くて眩しい風が
南の空っ風に変わる時
淋しい季節の始まりだよと、
枯れた蔦にしがみつく
抜け殻を眺めるて居るぼくは
想いの記憶と昔の古傷が柔になる。
小さい頃からこの境目の風を
毎年毎回気にして居ては、
今ぼくは生きてるんだなと想う時。
明日はまた、違う風が吹くだろう…
今日とは違う、
淋しく乾いた季節に近づいて。




