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バナナを愛した男の話。

作者: 味噌煮込み

思い付きで書きました。

後悔はしていない。

俺の名前は 芭蕉 実。

通称 バナナだ。

頭はバナナのヘタを意識して緑、

豹柄のパーカー、黄色に緑色のラインの入ったズボンを着て完熟のバナナとまだ熟していない青いバナナのコントラストを表現している。

靴はもちろん茶色だ。


俺は生まれた時からバナナを愛していた、全てをバナナに捧げてきたと言っても過言ではない。

朝食はバナナ、昼もバナナ、夜ももちろんバナナ、そんな食生活をずっと続けてきた。

この世に生を受け、産声をあげると同時に己はバナナの為に生まれてきたのだと自覚したその瞬間から俺はそういきてきたのだ。

大学生になりもはや俺こそがバナナだと思い上がっていたその矢先に、俺の前にとある二人が飛び込んできた。




そう、バナナマンだ。


バナナマン、バナナの男、つまりこの世で最もバナナの中のバナナな男に送られるその称号を、あの2人はさも当たり前の様に有していた。

俺が生まれてから今まで手にする事が出来なかったその名を。


それから俺は芸人の世界に飛び込んだ、バナナマンを越える為に、バナナマンの中のバナナマン、バナナ of バナナ、THE バナナになる為に。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


あれから早10年俺はバナナを使った独特な芸風と全てをバナナに捧げるほどの愛、そのストイックさが世間にハマり大分テレビに出させてもらえる様になっていた。


日本バナナ大使や、世界のバナナ男代表にもなったが……ついぞ俺は『バナナマン』の名を手にする事は出来なかった。

それよりも今俺の胸に飛来するのはただただどうしようもない程の虚しさだった。


この10年間自分は一体何をしていた?


芸人になる為の時間をバナナに捧げていればもっと上に登れたのではないか?


そもそもバナナマンを越えるって何だ?


そんな思いが頭の中をグルグルと巡っていた。

自分を見失い、バナナに対する思いすらも揺らぎかけ、ただ意味もなく街を彷徨っていた時少し先から女性の甲高い悲鳴が聞こえた。


「キャアアアア!パナップくんが!」


ふと、顔を上げて前を見ると俺が数年前にデザインした世界公認バナナ・マスコットキャラ『パナップくん』がバナナを積んだトラックに轢かれそうになっていた。


先の女性からは離れているが俺の方からは割と近い。

そう思った瞬間俺は地面を強く蹴りパナップくんを突き飛ばしていた。


突き飛ばしたパナップくんが歩道の方に飛ばされるのを見て直ぐに真横から強い衝撃を受けた。

痛みを感じよりも、ああ自分は死ぬのだなという感覚が先に巡る。


少し長い浮遊感が、過ぎ続けて首に『ゴギャッ!』っという音と共に電撃が駆け巡る。

おそらく着地と同時に首をやったのだろう。


付き添いのスタッフに駆け寄られているパナップくんの無事を確認し、そういえば今日はパナップくんの握手会の日だったなと思いながら視界が真っ暗になった。

生まれて今までの思いほぼバナナが走馬灯の様に過ぎ去る。


嗚呼、何の悔いもない、何の未練のないバナナ生(人生)だったけれど。

あと一つ、あと一つだけ許されるのならば……。


また生まれ変わっても、もう一度…バナナの……ために………。



20××年 ◼️月◼️日 ××:×× ◼️◼️駅周辺にて

世界で最もバナナを愛した男の、その一生の幕が閉じた。
















【そなたの願い、聞き届けた】



「ここは…………?」




To be continued……?


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