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早死に生徒達はチート生活を望む  作者: 鈴ヶ森あゆみ
21/24

第21話 昔のイギリスでは朝に人を起こすことが仕事になってたんだね

長い間サボっていてごめんなさい

 朝は心地が良いです。

 涼しい風、明るい光、落ち着く匂い……あれ?

 いや待っておかしいです、これ絶対おかしいです。

 だってこれ、嗅いだことのない匂いなんですから。

 千秋お姉ちゃんやあさ姉、フィリアちゃんやアイリスちゃんの匂いでもないんです。

 というか身動きが取れません、なにか柔らかいものに顔を埋められているような……。

 ……でもいいや、落ち着く匂い、このまま寝ちゃお……。

「ふふっ、かわいい寝顔ですね」

 ふぇ?

「お母さんが恋しかったんですね、もっと甘えてきてもいいんですよ」

 え?おかあ……え?!

「お、お母さん!?」

「お母さんですよー」

 僕は顔を上げ、目の前にいるお母さんの顔を認識しました。

 いつの間にか、僕はお母さんに抱きしめられていたようです。

「え、え?なんでいるの?」

「私の部屋は広いんです」

「うん」

「そして夜になると暗いんです」

「うん」

「そして部屋は私1人なんです」

「うん」

「怖いんです!」

「子供じゃないんだから……」

 いい歳した大人が何言ってるの……。

「お母さん、大人なんだからそういうのはそろそろ卒業しよ?」

「お母さんはいくつになっても、怖いものは怖いんです」

 まぁ、実は僕も怖いものはダメですけど。

「それだと僕より子供みたいだよ?」

「年齢は子供じゃないから大丈夫です」

 年齢の話をしているんじゃないんだけど……。

 ドアが開く音がすると、ドアから千秋お姉ちゃんが入ってきました。

「あ、千冬、起きてたんだ」

「うん、お母さんに抱き枕にされてたけど」

「あ、千秋さん、おはようございます」

「あ、はい、おはようございます」

 やはり僕の本当のお母さんとはいえ、一定の距離感はあるようです。

「朝ごはんは焼き鮭とおにぎりのようです」

「そうですか、それじゃあ行きましょ、千冬」

 ベッドから降りてリビングに向かうと、フィリアちゃんとアイリスちゃんが椅子に座って談笑していました、台所から良い匂いがして、今日もおいしい朝ごはんになることを教えてくれました。

「あ、おはようございます、お母様、千冬お兄様」

「おはようございます」

 二人からあいさつされたので、テーブルにあったお水で喉を潤してから僕も挨拶しました。

「うん、おはよう」

「おはようございます、昨日はよく眠れましたか?」

「はい、ぐっすりと」

「良いゆめを見れました」

「そうですか、それはよかったです」

 もうパジャマから着替えて、洋服になっていました。

 早起きなんですね。

「今日はやきじゃけとおにぎりと言う朝ごはんのようです」

「お母様、やきじゃけとは何ですか?」

 二人とも、焼き鮭を食べたこと無いのかな?

「焼き鮭というのは、その名の通り『さけ』と言うお魚を焼いたものです、地域によっては『さけ』ではなく『しゃけ』と言う所もあります」

「お魚なのですか!」

「えぇ、フィリアはお魚は好きでしたね」

「はい、大好きです!」

 僕も好きだよ、お魚。

「焼き鮭には塩おにぎりがいいよね」

「いいですね、前世での記憶が蘇ります」

「お母様、一つ聞きたいのですが」

「なにかしら?アイリス」

「お母様は、前世はどのような人物だったのですか?」

 あぁ、確かに気になるね。

 僕を産んですぐ死んじゃったから、人物像は僕も良く知らないし。

「どこにでもいる人物ですよ、言ってしまえば一般庶民の身でした」

 うん、それは分かってる、分かってるけど知りたいのはそういう事じゃない。

「あまり関係は無いですけど、私を産んだお母さんは実は安桜さんの家の者で、あなた達は安桜さんのお子さんの従姉弟にあたるんですよ」

「え?つまりあさ姉と僕達には、同じ血があるってこと?」

「えぇそうです、言ってしまえば千秋さん、あなたのご家族もそうですよ、お母様の旧姓は安桜と言う苗字ではありませんでしたか?」

「うーん、家族と生活していたのは3,4歳の頃なので分かりません、でも冬華さんが言うのであれば間違いはないかと思います」

 どうやら千秋お姉ちゃんも知らない情報だったらしく、真剣に思い出そうと眉を曲げています。

「皆さーん、朝ごはんができましたよー」

 この言葉に全員が反応すると、大きなお皿を1つと細長いお皿が6つ、お盆に乗せられやって来ました。

 僕と千秋お姉ちゃんとお母さんはお箸が、アイリスちゃんとフィリアちゃんはフォークとナイフが前に出されました。

 細長いお皿からは蒸気と共に良い匂いがしてきて、おいしそうなオレンジ色をしています。

「とてもおいしそうだね」

「ね」

 大きなお皿にはたくさんのおにぎりが積んであって、テーブルの真ん中だけ少し白っぽく見えます。

「熱々なので気を付けてねー」

「はい、それではいただきます」

 お母さんの後にいただきますと言って、僕達はおにぎりに手を伸ばしました。

 塩加減が最高で、焼き鮭と相性抜群です。

 お水が美味しいです。

「ご飯食べたら服を取りに行こうねー」

「あ、そうだったね、どんな感じに仕上がっているんだろ?」

「ちゃんと私の胸のサイズになっているといいけど」

 テーブルの上に乗っけてる胸を触りながら心配している目の前で、2人は親の仇を見つけたような目をしています。

「妬ましい」

「恨めしい」

 2人の後ろから禍々しいオーラと怪物みたいなものが見えますが、気のせいと自身に言い聞かせましょう。

 ナニモミテイナイナニモミエテイナイカイブツナンテモノハミナカッタ。

 よし、これでおけ。

「そして服を取りに行ったら日本へ向かおうねー」

「二ホン?ジパングじゃないんですか?」

「本当の名は日本ですよー、ジパングと言うのはそこに来た外国人がつけた名前ですよ」

「そうなんですか、ですけどその…二ホンでしたっけ?その国の特徴は何でしょうか?」

「アイリスちゃんは興味津々だね、日本はありとあらゆる面での技術が進んでいる国ですよー」

「ありとあらゆる…それって、ゲルマニー帝国よりも進んでいるという事ですか?」

「もちろーん、二人が使っているパソコンも日本製だよ」

「え?あれは別の世界の人達から買ったものですけど…」

「うん、でもその人たちはこの町じゃなくで、日本で転生したの、持ってたPCは私物じゃなくて商品だったってわけ」

「そうだったのですか」

「なんだか、裏切られた気分です」

「あ、そうだご主人様、フランセーズ共和国の召喚術師について分かったことはありましたか?」

 あさ姉が鮭の皮を剥がしながら尋ねました、最後にとっておくんだと思います。

「えぇ、どうやら国王の指示で動いていたようですよ、王にパソコンの画面越しに問いただしたところ、すぐにこれを認めました」

「ヨーロッパを支配するために、ということですか?お母様」

「いいえアイリス、あなたは知らないと思いますけど、フランセーズ共和国の今の国内はかなり荒れてて、いつ革命が起きてもおかしくは無かったのです」

「その革命を防ぐための神器回収だったのですね」

「そうですね、今頃はヴァレンヌ逃亡事件でも起きている頃でしょう」

「ナポレオンはもう少し先なのね」

「そうだね、千秋お姉ちゃん」

 鮭を一口、そしておにぎりを一口、一緒に食べるとおいひいです。

 朝ごはんを食べ終え、パジャマから着替えて僕達5人は外に出ました。

 洋服屋さんに服を取りに行かないとです。

 じゃなきゃ請求書に何個0がつくか分かりません。

「ここだねー」

 あさ姉を先頭に店に入りました。

 すると、店主がカウンターの方で前みたく読書していますが、なぜか頭に大きなたんこぶがいくつも積みあがっていました。

 積みあがりすぎて天井まで届きかけています。

「やぁ、営業時間外だけどいらっしゃい、随分早く取りに来たね」

「そうしなきゃ高い金払わされるんだから、仕方ないでしょ」

「まぁそうだけどね、でもいいの?千冬は恥ずかしい思いをすると思うけど」

「どんな服作ったんですか!」

 店主さんの1言で驚きました。

「依頼人のニーズに答えただけさ、文句ならフィリアに言ってもらいたい」

「フィリアちゃん!いつの間にどんなのを頼んだの!おにいちゃんはお怒りだよ!」

「千冬お兄様の可愛らしい姿が見てみたかったんですよね」

 あの悪戯心がある目が腹立ちますね、イライラしてきます。

 誰が生理前ですか!

「安心して千冬君、誰も言ってないから」

「あさ姉どうしたの?」

「なんでもないよ千秋ちゃん、ところで、肝心の服を見せてもらっていないけど?」

「あぁ、ちょっと待ってて、今持ってくる」

 カウンターの奥へ行って数秒して帰ってきました。

「とりあえずサイズは合っているはずだから着てみてよ」

 服を渡され、試着室誘導されました。

「フィリアちゃん、絶対に中は覗いちゃだめだよ」

「はい、千冬お兄様」

 信頼できないですけど、とりあえず中に入って着替えますか。

 中に入って数秒足元を見ましたが、フィリアちゃんの姿は見えません。

 逆になんか怪しいですね。

 僕は試着室のカーテンに警戒しながら畳まれた服を着てみて、フィリアちゃんの企みが理解できました。

 なんですかこの服、というかセーラー服ですけど、胸元から下が全然隠せてないじゃないですか。

 おまけにこのショートパンツって言うんですよね?ショートすぎて太ももにすら届いてないじゃないですか。

 ホントにパンツが見えちゃいそうですよ。

「なぁ、フィリア」

「何?」

「言っておくが、俺は客のニーズに応えただけで責任は無いからな」

「ここぞという所で逃げようとしても無駄よ、作った以上あなたにも責任はあるのよ?」

「誰かこの暴走した性欲の持ち主を止めてくれないか?」

 というか、どうしてこれを作るのをやめなかったのでしょうか?

「あ、あの、店主さん」

「どうした?千冬」

「このショートパンツがショートすぎてパンツが見えそうなんですけど、すごく恥ずかしいんですけど」

「それは思った、作っている過程でそう思わなかった時は無かった、そればっかりは依頼したフィリアに言ってくれ」

「フィリアちゃん!!どうしてお兄ちゃんを恥ずかしい目に遭わせるの!」

「千冬お兄様の恥ずかしがる姿を見たいんですよ」

 その時の僕は顔を真っ赤にしていました。

 2つの意味で。

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