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吾輩は靴である  作者: 天かいみ
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船出前編

 吾輩は靴である。名前は忘れた。有ったのかさえ、もう覚えていない。たぶん無いのであろう。

 私が捨てられてから、もうかれこれ三、四百年程経つ。

 良ければ吾輩の、いや、このおんぼろ靴の暇つぶしに付き合ってもらいたい。

 賢い読者諸君は、なぜ靴が喋っているのか、なぜ、三、四百年も生き、いや、現存しているのか、不思議に思った事だろう。そのことを説明するために、このおんぼろの身の上について、少しばかりお時間をいただきたい。

 吾輩は英国に生まれた。その時、その美しさに人々が涙した、わけでもなく、そのまま腹の膨らんだ店主に棚に運ばれた。肌は茶色という色に近く、サイズは兄弟たち比べるとやや大きかった。どうやら腹の膨らんだ創造主は吾輩を気に入っていないらしく、吾輩は兄弟たちが生まれるにつれて、どんどんどんどんと奥へ奥へと押し込まれていった。そんなわけで、吾輩は不服にも、兄弟たちの間では不名誉とされている、「安売りコーナー」という場所へ行かなければならなくなってしまった。ちなみにこの「安売りコーナー」という場所は、頭のおかしい「履かれたい党」の連中にとっては名誉の場所らしい。連中はありもしない使命とやらに支配されている、意味が分からない。

 話を戻そう。私はその後「ガリバー」と名乗る男に買われた。どうやらこの我が新たな主は「医者」、という職に就いているらしく、兄弟たちの間では良い暮らしが出来ると評判の職だったので、かなり安心し、新たな主様は輝いて見えた。

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