モンスターテイマー アイリス
五話目です!
楽しんで読んでいただけると、幸いです!
「誰だ!」
突然現れた少年に、皆が警戒体制に入る。
「それはこっちの台詞だよ。誰?僕の下僕ちゃんたちを苛めたの」
少年は、氷付けにされたモンスターを見ながら、少し不機嫌そうにしている
なるほど、こいつがモンスターたちの主か。もう少し強そうなのを想像していたが、お世辞にも強そうには見えない。
「そこのモンスターを凍らせたのは俺だ」
「ふ~ん。君がやったんだ?そんなことが出来るようには見えないけど」
「試してみるか?」
「いいね!面白そうだ」
少年は楽しそうな表情で笑う。
こんな少年に負けることはないだろうが、一応「鑑定」で能力を見てみるか
名前
アイリス
種族
猫獣人
職業
モンスターテイマー
レベル
39
体力
6950
魔力
26800
力
5910
防御
1530
回避
1680
賢さ
790
スキル
剣術 レベル5
索敵 レベル8
爪術 レベル8
隠密行動 レベル9
獣化
魔術
なし
称号
モンスターを操りし者
男装女子
つよっ!てか、こいつ女だったのか!
流石に女を切るのは気が引けるな。だが、アイリスはやる気満々みたいだし、少々面倒だが、気絶させるか
取り敢えず、アイリスに向かって「スキル複製」を使う。よし、ちゃんと全部複製出来たな
さぁ、戦闘開始といこうか!
「攻撃してこないの?それなら、こっちからいくよ!」
次の瞬間、俺の視界からアイリスが消えた。予想外の速さに反応が遅れたが、背後からの殺気に気付き、ギリギリでアイリスの攻撃を回避した。
「よく今のを避けれたね!でも、まだまだこれからだよ!」
「ああ!そうこないと、面白くない!」
アイリスはだんだんスピードをあげながら、四方八方から俺を攻撃してくる。俺は、アイリスの攻撃をいなすか、ギリギリで回避する
そんなことを、五分程続けていると、アイリスが俺から距離をとった
「君、なかなかやるね。ここまで僕の攻撃に耐えられた人は初めてだよ!」
「お前も凄い速さだな。でもまだまだ本気じゃないんだろう?なぁ、アイリス?」
「っ!?何で僕の名前をっ!?」
「知りたいなら、力ずくで聞き出したらどうだ?」
「そうだね。悪いけど、少し本気を出させて貰うよ!『獣化』!」
アイリスの目が青く光り、猫耳と猫尻尾がはえてきた。
獣化と言っても、見た目はそんなに変わらないんだな。これなら俺も安心して使える
「じゃあ、俺も少し本気を出すとするか。『獣化』!」
俺が獣化を使うと、狐耳と、九つの狐の尻尾がはえてきた。九尾の狐か。なかなかカッコいいな
アイリスの方を見ると、アイリスは目を見開き、驚いていた
「九尾の狐!?あれは確か伝説の存在で、実在はしなかったはず!どういうことなの!?」
「さっきも言っただろ。知りたいなら、力ずくでこいよ。あとアイリス、口調が女に戻ってるぞ?」
「っ!?僕が女だって事も知ってるのか!?これは、本気で行くしか無さそうだね!」
「いいぞ、いつでもこい」
「その余裕、すぐに恐怖に変えてあげるよ!」
アイリスは、先程とは比べ物にならない速度で俺に攻撃してくる。普通の状態の俺であれば、この速度についていけず、一瞬で勝負がついていただろう。
だが、俺は今獣化を使っている。しかも、アイリス曰く伝説の存在らしい。その俺からしたら、この程度話にならない。
「おい、この程度で本気か?動きが止まって見えるぞ」
「ちっ!やっぱりこの程度じゃダメか!もっとスピード上げていくよ!あっさり殺られないでよね!」
「心配無用だ。こっちはまだまだ余裕だからな」
「それは良かった!」
またアイリスのスピードが上がる。アイリスのスピードはすでに音速をこえているんじゃないだろうか。
音の壁を突き破っているアイリスは、爆発音をあげながら、攻撃をしかけてくる。
さて、避けてばかりじゃ勝負は決しないので、反撃しますかね
背後からの攻撃をかわし、振り向きながら、相手の脇腹に蹴りを叩き込む。
「ぐふっ!」
アイリスが怯んでいる隙に、拳を放つ。凄い勢いで吹き飛ばされるアイリス。しかし、次の瞬間には吹っ飛んだ先に俺がいる。先回りした俺はアイリスを真上に蹴りあげる。
「これで終わりだ。世界を支えし雷の精霊よ。我が前に立ちはだかる敵を殲滅せよ!狂い咲け!『乱れ咲く雷光の紫陽花』!」
アイリスの体を、雷でできた幾千もの紫陽花がつつみこんでいく。見た目はかなり派手だが、ちゃんと手加減しているので、死んではいないはずだ。
数秒後、ようやくアイリスが落下してくる。俺は、アイリスを受け止め、地面に寝かしたあと、回復魔法をかけてやった。その際、俺の後ろで、リリィがこの世の終わりをみたような顔で、「私の存在意義が…」とか言っていたのは、見なかったことにしておく
しばらくすると、アイリスが目を覚ました。
「僕は一体…?」
「目が覚めたか」
俺が声をかけると、アイリスはビクッと体を跳ねさたあと、何故か俺に向かって敬礼してきた
「え~と…、アイリス、お前なにしてんだ?」
「僕はあなた様に敗北しました!」
「え~と、よく意味が分からないんだけど…」
「敗者は勝者の下僕となるのが義務ですので!」
「まて!話が飛躍しすぎたろ!?そんな義務はないはずだ!そうだろ皆!」
俺は皆に同意を求める。しかし
「そんな義務があるなら、私、リューキ様に敗北したいです…///」
「待てリリィ!それじゃあただの変態だぞ!ミリアもなんか言ってやってくれ!」
リリィは、思考が危ない方向に向かっていたので、ミリアに助けを求める。
だが、ミリアも頭がやられていた。「そうですよ姫様。そんなこと言ってはいけません」なんて、一見ちゃんと注意しているように聞こえるが、そのあと、小さな声で、「リューキに敗北していいのは、私だけですから…///」とか言っている。
俺なんかの下僕になりたいなんて、正常とは思えない。精神攻撃とかされていそうで心配になってきた
最後の砦である、カノンとイリスも顔を赤く染め、もじもじしている
「俺の周りには、まともなやつがおらんのかぁぁぁぁぁぁ!」
凍りついた村に俺の心からの叫びが響きわたった
ひとしきり騒いだあと、不意にアイリスが質問をしてきた。
「ところで主様、なぜ僕を生かしておいてくれたのですか?」
「その呼び方なんとかならないか?なんなら、敬語も使わなくていいぞ?」
「却下です!僕は主様の下僕ですから!」
「そうか…、好きにしてくれ…。で?何でアイリスを生かしておいたかの理由が知りたいんだったか?」
「はい。勿論無理にとは言いませんが」
「アイリスを生かしておいたのは、聞きたいことがあったからだ。今から幾つか質問をするから、答えてくれるか?」
「勿論です!僕に答えられることなら何でも答えます!」
アイリスはこう言っているが、本当に嘘偽りなく答えてくれるだろうか?少し試してみるか
「お前の名前は?」
「アイリスです!」
「何歳だ?」
「15歳です!」
「種族は?」
「猫獣人です!」
「スリーサイズは?」
「上から~」
「ちょっとまったぁぁぁぁ!」
まさか本当に答えようとするとは思わなかったよ!
でも、アイリスが俺の質問にちゃんと答えることが分かったから、結果オーライだ
「すまん、これからが本当の質問だ。何でこの村を襲ったりしたんだ?」
「私が襲った?この村を?」
アイリスは心底不思議そうな顔をしている。この村を襲ったのはアイリスじゃないのか?
「じゃあ、アイリスは何でこの村にいたんだ?」
「僕は、この村が襲われていたから、僕の下僕のモンスターたちに様子を見させていました」
「じゃあ、俺は勘違いでアイリスと戦っていた訳か?」
「そうなりますね」
「なんてことだ…」
「ちなみに、この村を襲った犯人は、主様の魔法で凍らされていたので、モンスターに破壊させてきました」
なんだと…。知らないうちに解決してたのか…。
まぁ、結果オーライだ。解決したことだし、アストレイス王国に出発するとしますか
「皆、この村はもう大丈夫そうだし、王国に出発するか」
「そうですね!はやくリューキ様にお礼を差し上げたいですし!ミリアとカノンもいいですね?」
「勿論です」
「…(コクッ)」
俺たちが馬車に乗ろうとすると、後ろから服の裾を引かれた。振り返ると、そこにはイリスがいた。
「リューキさん!私も連れていって下さい!」
流石にイリスを連れていくわけにはいかない。戦闘能力のないイリスを連っても、不用意にイリスを危険にさらすだけだ。
「ごめんな。イリスを連れていくわけにはいかない」
「そうですか…」
「その代わり、約束をしよう。一年後、またこの村にくるから、その時までに出来る限り強くなってくれ。その時にイリスの気持ちがかわっていなかったら、俺たちについてきてくれ」
そういって、イリスの頭を撫でてやる。
「はい!頑張ります!」
イリスは、顔を赤く染めながらも、笑顔で元気に返事をしてくれた
「いいこだ。じゃあ、また今度な」
「はい!」
俺たちは馬車に乗ると、満面の笑顔でてをふっているイリスに見送られながら、村を出発した
村での出来事が終わりました!
次回は、一年後のイリスの物語を書こうと思います。お楽しみに!
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