初めてのモンスター討伐
「これは酷いな…」
イリスの村にたどり着いた俺たちは、目の前に広がる光景に愕然としていた
村は焼かれ、原型をとどめていないし、村の住人は殺され、モンスターたちに食い荒らされている。
そう言えば、モンスターを見るのは初めてだ。「鑑定」で見てみるか
名前
ウルフ
レベル
6
スキル
牙術 レベル3
疾走 レベル4
魔術
なし
なるほど、モンスターは名前、レベル、スキル、魔術しか見れないみたいだな
よし、こいつに試してみるか。さっき盗賊と戦った時に使うのを忘れていたスキル「スキル複製」を
ウルフに向かって、スキル複製と念じる。何も起きない。失敗か?そう思い、ステータスを見てみると
名前
夜霧 龍騎
種族
人間
職業
なし
レベル
23
体力
15630
魔力
162250
力
94000
防御
3560
回避
4970
賢さ
730
スキル
索敵 レベル6
隠密行動 レベル2
アイテムボックス レベル1
剣術 レベル9
棒術 レベル5
拳術 レベル8
槍術 レベル6
牙術 レベル3
疾走 レベル4
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闇魔術
光魔術
称号
異邦人
神の寵愛を受けしもの
武術の達人
魔術の達人
となっていた
どうやら成功したみたいだな。早速手に入れたスキルを使って見ますか
「ミリア、ウルフは俺に任せてくれないか?少し試したいことがある」
「わかった」
許可を得て、俺はウルフから複製した、「疾走」を使う。その瞬間、俺の体は人間では到底出せない速度で加速した。しかし、ちゃんと思考はついていくので、思い通りに体を動かすことができる。このスキルは便利だな。
一瞬でウルフの目の前まで距離を詰めた俺は、もう一つの新スキル「牙術」を発動する。すると、俺の犬歯が、30センチ位まで伸びる。
「ガルゥゥ!」
伸びた牙で、ウルフの首に噛みつく。
ウルフの首は、驚くほどあっさりと切れてしまった。
俺は「牙術」を解除する。すると、伸びていた牙は、元の長さまで戻った。
「一丁あがりだな」
俺は、倒したウルフに向かって、「アイテムボックス」と念じる。ウルフの死体はは一瞬にして消えた
皆のところに戻ると、イリスが興奮しながら俺に詰めよってきた
「凄い!凄いです!ウルフを一瞬でやっつけてしまうなんて!」
「いやいや、たいしたことじゃないよ」
「そんなことないです!かっこよかったです!」
「ありがとう」
俺が微笑むと、イリスも顔を赤くしながら笑顔を返してくれた。イリスはいい子だ。
俺たちが、少しの間見つめあっていると
「おい、二人でいちゃつくのもいいが、ちゃんと警戒してくれ」
ミリアに注意されしまった。
なんとなく、拗ねているような表情だ。ミリアだけでなく、カノンとリリィも同じような表情をしている
「すまない。それじゃあ、いこうか」
俺の言葉に皆が頷き、俺たちは生存者を探しに歩き出した
生存者を探しながら歩くこと5分。生存者を見つけることができた
瓦礫に埋もれているが、まだ辛うじて生きている。
「そこの瓦礫の下に生存者がいる。俺が瓦礫を動かすから、皆は生存者の救出を頼む」
「分かりました!回復は任せて下さい!」
やけに張り切っているリリィが杖を構える
リリィは回復魔法が得意らしい。イリスの傷もリリィが治していた。ちなみに、みんなのステータスはこんな感じだ
名前
リリィ·アストレイス
種族
人間
職業
王女
レベル
8
体力
340
魔力
2950
力
145
防御
183
回避
162
賢さ
680
スキル
杖術 レベル3
短剣術 レベル2
魔術
光魔術
称号
アストレイス王国の王女
光魔術の達人
名前
ミリア
種族
人間
職業
騎士
レベル
9
体力
1600
魔力
230
力
1860
防御
763
回避
380
賢さ
240
スキル
剣術 レベル3
乗馬術 レベル5
盾術 レベル3
拳術 レベル2
魔術
火魔術
称号
王女直属騎士
名前
カノン
種族
人間
職業
騎士
レベル
9
体力
2400
魔力
540
力
1876
防御
529
回避
158
賢さ
439
スキル
剣術 レベル5
乗馬術 レベル4
限界突破
魔術
風魔術
氷魔術
称号
王女直属騎士
皆結構強いんじゃないだろうか?特に、カノンのステータスが結構高いな。これなら、盗賊くらい圧倒できるとおもうんだが。ちなみに、イリスはただの一般人だったため、省略
そんなことを考えながら、瓦礫を撤去していく。瓦礫の下から出てきたのは、一人の老人だった。
「村長!」
イリスが老人に向かって走る。
この人が村長か。回復が終わったら、話を聞いてみよう。この中の誰よりもこの村の状況に詳しいはずだしな
村長から聞いた話は、衝撃的なものだった。
この村は、人間とモンスターによって襲撃されたそうだ。普通、人間とモンスターは一緒に行動することは無いらしい。この世界にも、昔はモンスターテイマーという職業の人たちがいたみたいだが、二百年前くらい前から、モンスターテイマーは確認されていないらしい。
この話が本当なら、この村は、二百年ぶりに現れたモンスターテイマーによって襲撃されたことになる。
しかも、このモンスターテイマーはかなりの数のモンスターを使役していたらしい。
「これは厄介な事になりそうですね」
リリィが真剣な顔で呟く
俺も、これからの行動方針を考えていると、「気配察知」に反応があった。なんと、その数五十四。
物凄い速度でこちらに向かってくる。この感じは、モンスターだな
「皆!モンスターの群れが物凄い速度でこっちに向かってきている!戦う準備をしてくれ!」
「っ!?わかった!」
「……(コクッ)」
「分かりました!」
皆、自分の武器を取りだし構える。ちなみに、俺は盗賊から奪ったボロボロの剣だ。もう一降りしたら、折れそうだ。アストレイス王国に着いたら、武器を買わないとな
「来るぞ!3、2、1、戦闘開始だ!」
「「おう!」」
皆一斉に、周りに現れたモンスターに向かって攻撃を始める。
ミリアとカノンは、剣でモンスターを切っていく。リリィは回復役だ。
全てのモンスターから、「スキル複製」をしたかったが、贅沢言ってる場合じゃないな
俺の前にいるモンスターは、先ほど戦ったウルフの群れと、棍棒を持った、小さな鬼のようなモンスターたちだった。あれは絶対ゴブリンだな。鑑定で見てみる
名前
ゴブリン
レベル
15
スキル
棒術 レベル2
魔術
なし
やっぱりゴブリンだったか。取り敢えず全てのモンスターから「スキル複製」をする。新しいスキルは手に入って居ないが、「疾走」と「牙術」のレベルが一ずつ上がった。
よし、今回は魔術を練習してみるか。魔術の使い方は、馬車のなかで教えて貰った。魔術はイメージが大切なんだそうだ。
俺は、氷魔術の練習の為、モンスターが凍りつくのをイメージしながら、詠唱をはじめる。ちなみに、詠唱は絶対しなければいけない訳ではないようだ。じゃあ、何で詠唱してるのかって?気分だよ!気分!カッコいい詠唱で魔術をうつのは、男なら誰でも憧れるだろ?
「世界を支えし氷の精霊よ、我が前に立ちはだかる敵を殲滅せよ。凍りつけ!『凍てつく蒼氷の大地』!」
俺が魔術を発動すると、辺りは静寂に包まれた。モンスターの鳴き声も、炎が燃える音も、何も聞こえない。
周りを見渡すと、そこは一面氷だらけだった。ミリアやカノン、リリィ、イリスたちは無事だが、それ以外は全て凍ってしまった。あれだけ激しく燃えていた炎でさえも、凍ってしまっている
「り、リューキ、一体、何をした?」
ミリアが、寒さでガタガタと震えながら聞いてきた。
他の皆も俺の方を見ている。
「いや、氷魔術を使っただけなんだけど…」
そう答えると、ミリアはこっちに走ってきて、俺の肩を揺さぶりはじめた
「嘘をつくな!氷魔術で炎を凍らせるなんて聞いたことないぞ!」
「ま、待て!そんなに激しく動いたらあぶなっ、うわぁ!」
つるんっ!どんっ!
俺とミリアは氷で足が滑り、転んでしまった。俺は、地面に強く頭を打ち付けた。
頭の痛みが収まってきて、目を開けると、目の前にはミリアの顔がある。そう言えば、さっきから唇に柔らかい感触が…
リリィたちは、顔を赤くして俺たちから目をそらしている。俺は咄嗟に自分の唇をみる。
すると、俺の唇は、ミリアの唇と接触していた。つまり、キスしていた。
ミリアもこの状況に気付いたらしく、
「!?%%#?¥¿?€!?」
顔を真っ赤にし、奇声をあげながら、俺の上から飛び退いた
ミリアは一度深呼吸をして、少し落ち着いたあと、俺を睨み付けてきた
「き、きさま!いきなり、き、きききき、キスするなど、一体どういうことだ!?」
「すまん。でも、今のはミリアが悪いと思うんだが…」
「うるさい!うるさい!うるさーい!」
「誰かたすけてくれ!」
俺は皆に助けを求めるが、リリィは
「先を越されてしまいましたか…。ミリア、侮れません」
などと、意味のわからないことを呟いているし、カノンはいつも通り何も喋らない
イリスは、思考停止しているみたいだ。くそっ!俺の味方はいないのか!?
「あれー?僕の可愛い下僕ちゃんたちが凍ってる?これやったの誰?」
俺たちの争い|(?)は、突然現れた金髪碧眼の少年により終わりをつげたのだった
読んでいただきありがとうございます!
今更ですが、主人公はかなりのイケメンです(本人は気付いていないようですが)
美人の女の子とキスできるなんて羨ましいですw
誤字脱字等ありましたら、感想等で指摘して頂けると有り難いです!
それでは、また次回お会いしましよう!