王女リリィ達との出会い
三話目です!
楽しんでいただければ幸いです!
「おーい。出てきてくれませんか?」
声をかけても出てくる様子はない。
俺のことを敵だと思っているのだろうか?
仕方ない、俺が馬車に入るか
「お邪魔しまーす」
馬車の中には、三人の女性がいた。
三人のうち、一人はどこかのお姫様のような格好をしている。
なんと、「鑑定」で見てみると、本当にお姫様だった。
腰位までのびている水色の髪は、とても綺麗で、普段から手入れがいき届いていることを感じさせた。日本では見たこともないくらい美人だ。
残りの二人はお姫様直属の騎士だった。一人は、赤髪赤眼で、使いやすそうな長剣と盾を装備している。
もう一人は、銀髪銀眼、これまた使いやすそうな大剣を装備している。二人ともお姫様まではいかないけど、かなりの美人だ。多分、お姫様の護衛かなにかだろう。
俺が、三人を観察していると
「き、貴様!何が目的だ!」
長剣の女が剣を抜き、俺に向けてきた。
「馬車が盗賊に襲われているのを見つけたので、助けさせて頂きました。ご迷惑でしたか?」
俺がそう言うと、長剣の女は驚いた顔で俺を見た。
「それが本当ならとてもありがたいが、相手はこの辺りで一番強いと言われている盗賊だった筈だ。それを一人で片付けたというのか?」
今度は俺が驚いた
あれでこの辺りで一番強いのか。なら、俺の強さは隠した方がいいかもしれない
まぁ、とりあえずそれは後だ。
「ええ、何なら確認してきますか?」
「そうさせてもらう」
長剣の女は、馬車の外に確認しにいってしまった
程なくして、長剣の女が戻ってくる
長剣の女は、戻ってくるなり俺に頭を下げた
「外を確認してきたが、敵はいなかった。貴方は命の恩人だ。貴方に剣を向けたこと、許してほしい」
「頭を上げて下さい。俺は当然のことをしたまでです。」
俺がそう言って笑いかけると、長剣の女は顔を赤くして目をそらしてしまった
あれ?嫌われてしまったかな?
「じゃあ、俺はこれで」
そう言って立ち去ろうとすると、
「ちょっと待ってください!」
後ろからお姫様に呼び止められた。
「なんでしょう?」
「命の恩人に、何もお礼をしないまま帰って頂く訳にはいきません!一度私の国についてきて頂けませんか?」
お姫様はなにやら必死だった
二人の女も、お姫様の隣でウンウンと頷いている
「そう言う事なら、着いていかせて貰います」
「よかった!それでは早速出発しましょう」
お姫様の合図で、馬車は動き出した。
お姫様の国に向かっている途中、色々と話を聞こうと思ったが、まだ、お互いの名前を知らない|(まぁ、俺はステータスを見たのでしっているのだが)ので、自己紹介をすることにした。
お姫様の名前はリリィ·アストレイス。アストレイス王国の第二王女だそうだ
長剣の女はミリア、大剣の女はカノンと言うらしい。
「俺は龍騎 夜霧と言います。よろしくお願いします」
「リューキさんですか。珍しい名前ですね。何処の出身ですか?」
お姫様に質問されて、俺は焦った
さすがに、「異世界から来ました」とか言っても、信じてもらえる訳ないしなぁ
かといって、この世界にある国の名前なんて知らないから答えられない。
俺がどうしようか迷っていると
「あの、どうかされましたか?」
心配されてしまった
仕方ない、ここは適当に誤魔化しておくか
「いえ、なんでもありませんよ。ただ、記憶喪失で出身地が思い出せなかったので」
俺の言葉を聞いて、三人とも驚いた顔をした。
「記憶喪失でしたか…。どのくらい覚えてるんですか?」
「自分の名前以外はほとんど覚えてないですね」
「分かりました。では、私たちもリューキさんの記憶を戻すのを協力させてください!」
「いいんですか?」
「はい!リューキさんは私達の命の恩人ですから!このくらい当然です!」
そう言って微笑むお姫様
ミリアとカノンも頷いている。皆いい人たちだ。
「ありがとうございます」
そう言って微笑み返す
すると、三人はすぐに目をそらしてしまった
う~ん、なんか嫌われるようなことしたかなぁ?
まぁ、気にしてもしょうがないか
お姫様たちは俺から目をそらしたまま話してくれなかったので、俺は静かにアストレイス王国につくのを待つことにした
しばらく馬車に揺られていると、俺の常時発動している「気配察知」に、反応があった。その反応はこの馬車に向かってきているようだ
「この馬車に近づいてくる気配があるので、ちょっと様子を見てきます」
俺がそう言うと、ミリアが馬車を止めてくれる
「皆さんはここで待っていてください」
俺が馬車から出ようとすると、
「まて、私達も一緒に行く」
ミリアとカノンが呼び止めてきた
ちなみに、カノンは無口で、喋らないのが普通の事らしい。ミリアたちともあまり喋らないらしいので、俺が嫌われているわけでは無いようだ
「頼みます」
「ああ。あと、敬語で話さなくてもいいぞ?」
「わかった。じゃあ、行こうか。ミリア、カノン」
「了解した。お姫様は馬車に残ってて下さいね。あまり遠くには行かないので」
「はい」
俺たちは馬車をでて、反応の方へ向かっていく
反応の数は一つ。結構近くまできている。
さっさと正体を確かめるか
歩くこと数分、反応の正体が判明した
正体は、町娘のような姿の少女だ。少女は何かから逃げるように、必死に走っていた。そこらじゅうに切り傷があり、満身創痍だ
「おい!大丈夫か!?」
「はぁはぁ…、た、たすけ…て」
ミリアが少女に声をかけると、掠れた声で助けを求めてきた
緊急事態だと判断した俺たちは、少女を馬車まで連れていくことにした
少女を馬車まで連れ帰った俺たちは、少女が落ち着いたのを見計らって、事情を聞くことにした
「助けてくれてありがとうございます。私は、イリスと言います。お陰で少し落ち着いてきました。」
「気にするな。それより、一体どうしたんだ?説明してくれると助かる」
すると、イリスは辛そうな顔で説明をはじめた
「この近くに、私がすんでいる村があるんですが、少し前に村が襲われました。私はギリギリで逃げましたが、まだ、両親がいるんです!助けてくれませんか!?」
俺は、試したいスキルもあるし、助けてもいいんだが、リリィたちの予定とかもあるだろうと思い、リリィたちを見る
「私は協力します!」
「私達も協力しよう」
決まりだな
「よし、俺たちも協力する。村まで案内してくれるか?」
「はい!ありがとうございます!」
俺たちは、アストレイス王国までの進路をいったん逸れて、村への道を進んでいくのだった
なんと、ブックマークが少し増えていました!!
ブックマークしてくれた方々、ありがとうございます!
まだ、書き始めたばかりですが、これからもよろしくお願いします!