お勉強の時間が増えそうです
公爵夫妻が頭を抱えて悩んでいる頃、その原因となったユーリはというと・・・
自室にてウキウキとしながらその日の出来事を日記に綴っていた。
今まで魔法を使うことが出来ず、翌年にはデビュタントを控えていたが、婚約者候補どころか縁談の1つも来ていない状況なのだ。
『ユーミリアの百合』と言われる母
『ユーミリアの太陽』と言われる父
見目は抜群に良く、公爵家というこの上ない身分。
本来であれば引く手あまたであるはずが、魔法が使えないというだけで縁談が全く来なかったのだ。
その為、今までの日記に書かれた内容はというと・・・
『家族はみんな魔法が使えるのに・・・』とか
『翌年に迫ったデビュタントがイヤだなぁ~』とか
『結婚も出来ずにいかず後家になるのかしら?』等々かなりのネガティブっぷりを発揮していたのだ。
しかし、今日は一味違う。
『色々な属性魔法が使えるようになったので、いかず後家は回避できた』とか
『デビュタントのエスコートは兄様かしら?』とか
『これで私も結婚に夢を見て良いのね!?』等々かなり浮かれた内容になっているのだ。
そう・・・
『神殿が何か言ってくるかもしれない』と父が言っていた事をキレイさっぱりと忘れてしまう位には。
そんな風に浮かれている主を見ていたミーナは釘を刺す。
「ユーリ様、魔法が使えるようになって嬉しいのはわかりますが・・・まずは一旦落ち着いて下さい。今まではマナーやダンス等の貴族令嬢としての嗜みを学んで頂いておりましたが今後は違うのですよ?」
「??」
ユーリはミーナが言っている事がよく分からず首を傾げた。
ミーナは苦笑しつつ
「今後はユーリ様も魔法を学んで頂くようになると思いますよ?しかも、属性が多いのでユージーン様やジェラル様より多くを学び、反復練習もしなければなりません。」
「そうなの?」
とユーリは小首を傾げたが、直後満面の笑みで
「でもでも!!今日試した属性以外も使えるっぽいし!多属性ってきっととっても便利よ!!ミーナもそう思わない?」
「そうですね・・・これからは今まで以上にお勉強の時間が増えて、お出かけすら出来なくなりますからね。今くらいは楽しんでも良いと思いますよ?」
「えっ!?お出かけすら出来ないってどれだけ勉強しなきゃならないのよ!?」
「そうですねぇ・・・お食事とお茶の時間、マナーとダンスの時間以外で起きている間はほぼ魔法のお勉強になると思いますよ?」
そう言って腹心の侍女はそれはそれは良い笑顔で浮かれていた主に告げた。