ブリザードなお茶会 その後(親視点)
子供たちがお茶会の席を外すと、アロルド達の追及はより一層厳しくなった。
ギルロイはいかにしてこの局面を乗り切ろうかとそればかりを考える。
しかし、3対1では分が悪い。
顔色を無くし、冷や汗を流すギルロイを見て、3人はそろそろ許してやろうと思った。
「・・・お兄様。今回は許して差し上げますわ。アロルド様もミレイ様もそれでよろしいですか?」
「あぁ。セリスが構わないなら」
「えぇ。・・・ですが、陛下?後でエドワードと共にゆっくりと今回の件についてお聞かせいただきますからね?」
ミレイの否やは言わせぬ雰囲気に、アロルドとセリスをちょっと引いた。
そして、話しはユーリとエドワードの事になる。
7年前の誤解は解けたものの、進展は全くなし。
アロルド以外の親は2人が婚約して欲しいと考えている。
隣国に嫁ぐ位なら、国内の誰かに嫁ぐ方が遥かにマシとはいえ、アロルドとしては中々納得出来ない事だった。
できれば、ユーリには嫁にはいかず、ずっと傍にいて欲しいという気持ちに変わりはないからだ。
「アロルドよ。ユーリはエドワードとの婚約について、考えさせて欲しいと言っていたそうだが、エルフリード王子のことを考えると、早急に返事をして貰いたい。そなたからユーリに婚約に応じてくれるよう説得してくれぬか?」
「・・・その件についてはすぐにはお返事できません。エルフリード王子の件を考えるならば、陛下が仰る通り、エドワード王太子の婚約者となれば角を立てずにお断りできましょう。ですが、私はユーリが嫌がるのであればエドワード王太子との婚約についてもお断りさせていただきたいと考えております。」
明確な返事をしなかった事にセリスとミレイは眉を顰める。
2人は結婚前に、お互いの子供たちを結婚させようと約束し、エドワードもユーリに好意を寄せている。
7年前であれば、ユーリも喜んでこの話しを受けただろう。
しかし、現段階では誤解が解けたとはいえユーリはエドワード王太子との婚約に対して腰が引けている。
ミレイはエドワードの恋心を後押しするべく、アロルドに話しかける。
「アロルド殿。ユーリとエドワードの間にあった誤解はすでに解けています。7年前の事に関しては陛下が悪かったとは言え、エドワードの態度も良くなかったと思います。ですが、エドワードは一途にユーリだけをずっと想っています。私は王妃としてではなく、母としてエドワードの妃になれるのはユーリだけだと考えています。ですから、一度ユーリにこの話しを受けてくれないかと話して頂きたいのです。」
アロルドは驚いた。
ギルロイのみならず、ミレイまでもユーリを王太子妃になって欲しいと考えている事をはっきりと言葉にしたからだ。
返事を出来ずにいると、セリスがアロルドに圧力をかける。
「あなた?子供たちの幸せを見守るのも親の務めですわよ?・・・それともアロルド様はユーリに幸せになって欲しくないのですか?このままの状態では、カルディール王国から正式に婚姻の申し込みが来てしまいますわよ?もしも、婚姻の申し入れを断れなくてユーリがカルディール王国へ嫁ぐ事になってしまったらいかがいたしますの?」
アロルドは、最悪な展開を想像して青ざめた。
国外に嫁ぐが、国内の誰かに嫁ぐか・・・究極の選択を迫られていた。
「・・・・・・わかりました。本日、屋敷に戻ってから、ユーリに一度話します。」
苦渋の決断をしたアロルドに、ギルロイ・セリス・ミレイは満面の笑顔で頷いた。
まさか、自分たちの親がそんな話しをしているとは露知らず、子供たちはエドワード王太子の部屋で談笑していた。




