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ブリザードばお茶会 その3

ギルロイがカルディール国王からの親書の内容を暴露して、自分の本音を零してえもいわれぬ空気になった所で、嬉しそうな表情をしていたミレイが無表情になり問いかける。


「隣国からの親書の内容と、ユーリについての本音を聞きましたが、何故今までエルフリード王子について黙っていたのですか?」


ミレイの質問は、ギルロイ以外の全員が疑問に思っていた事だった。

まさか、エルフリード王子が滞在中にユーリが『全能者』と判明するとは思わず、またユーリがエルフリート王子に目を付けられるとは思っていなかったギルロイはどう答えようかと考える。

そもそも、ユーミリア王国の王宮へ貴族令嬢・夫人達が立ち入るのには、『王妃の招き』が必要になる。

そのため、エルフリード王子の目に令嬢・夫人達が留まる事はないと思っていたのだ。

だが、エドワードとユーリが一緒に庭園にいる所を見られるとは思いも寄らなかった。


「いや・・・王宮に令嬢達が立ち入るのはミレイの所に招待された場合のみだ。ミレイの使う庭園とエルフリード王子達が滞在している離宮までは距離があるから大丈夫かと・・・」


ギルロイは冷ややかな雰囲気に耐えられなくなりそうになりながらも、何とか答える。

次いでセリスから問いかけられる。ミレイと同じように無表情だ。


「・・・お兄様、確かに離宮からは距離がありますが、令嬢達が王妃専用の庭園以外の庭園への立ち入りを禁じている訳ではないのでしょう?もし、令嬢達がエルフリード王子の目に留まって万一の事があった場合はいかがするのですか?ユーリはアロルド様がお断りになる事が分かっていますから問題はなかったかもしれませんが、他の貴族家ではお断りできないかも知れなかったのですよ?それは分かっていたのですか?」


「・・・いや、それは・・・」


まさかそこまでは考えていなかったギルロイは言いよどんでしまう。

すると、今度はアロルドから問いかけられる。しかも、愛称呼び継続中である。


「ギル・・・まさか何の対策も考えず大丈夫だと思って、親書の内容を私にまで黙っていたのか?」


アロルド・セリス・ミレイが発する冷ややかな雰囲気はもはやブリザードと化してした。

そんな中、子供たちはというと・・・


「エド兄様、ユージーン兄様、ジェラル・・・私この場所にいるのが正直辛いのだけれど・・・」


「同感だな・・・殿下、私たちがこの席にいても仕方がないと思いますので、我々だけでも場所を移動しませんか?」


「そうだな。ユーリ、ジェラルそれでも良いかな?」


「「はい」」


ヒソヒソと小声で相談し、子供たちだけで席を外すことを決める。


「父上、母上。私たちは席を外させて頂いてもよろしいですか?久しぶりに従兄妹達とゆっくり過ごしたいのですが」


エドワードのその言葉にギルロイは慌ててしまう。

ブリザードの中、一人残されるのがイヤだったからだ。

しかし、ギルロイが答える前に、ミレイが許可を出してしまう。


「かまいませんよ。ただ、庭園だとエルフリード王子に遭遇してしまう可能性がありますからね。庭園ではなく、エドワード。あなたのお部屋へ案内しなさい。」


「わかりました。では皆行こうか?」

エドワードはさっさと席を立ち、ユーリをエスコートする。

ユージーンとジェラルも席を立ち、エドワードの後に続く。

その様子を涙目になったギルロイが見ている。

(・・・エドワード・・・父をこの中に一人残して行くとは・・・薄情だな・・・)




お茶会の席を立った子供たちは、親たちが見えない所まで移動するとホッと安堵の溜息をつく。

全員は同じ事を思った

『二度とブリザードな雰囲気のお茶会に参加したくない』

『母親達とハーバリー公爵アロルドを怒らせてはいけない』

と・・・


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