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ブリザードなお茶会 その2

妹の追及にどうすれば良いのかと冷や汗を流しながらギルロイは思考を巡らせるが、何も思い浮かばすただただ焦る。

仕方なく話しをすり替えようと、ユーリに話しを振る。


「そ、そういえばユーリは王太子妃候補への復帰の話しは受けてくれるのか?」


急に話しを振られたユーリは、ビクッと身を震わせた。

その様子を見たエドワードは父国王へ冷たい視線を向ける。


「父上?急に如何されました?叔母上の質問の答えになっていませんよ?」


息子の冷ややかな視線を受け、ギルロイは目を泳がせる。

国王の問いについてはアロルドが答えた。


「昨日、ユーリとエドワード王太子の間にあった誤解が解けました。候補復帰についても、その際に直接お話しを伺ったようです。」


「左様か。で?ユーリの返事は?」


「よく考えてお返事すると答えたようです」


ギルロイは色よい返事が貰えたのかと期待したが、やはりそうそううまくはいかないものだと思った。


「陛下?セリスの質問の答えはどうなのです?隠し事をしているのでしょう?」


アロルドからも、答えづらい質問の追い討ちが来た。

アロルドは、とても良い笑顔で尋ねるが、その目は笑っていない。

ギルロイはカルディール国王からの親書の内容について話すべきか迷っていた。

ユージーンは昨日エドワード王太子と約束した

『ユーリを絶対に1人にしない事』をギルロイに伝えた。


「陛下。何かご存知なら教えて頂けませんか?ユーリが王宮にいる間は私とジェラル、それにエドワード王太子が傍にいて、1人にしないようにしますが何も知らないままではユーリを守る事ができません」


ギルロイは一気に血の気が引いた。

このまま秘密にしてユーリにもしもの事があった時が怖すぎたからだ。

これ以上、黙っている事はできないと判断したギルロイはようやく重い口を開いた。


「・・・実はエルフリード王子がこの国に来たのには理由がある」


「将来、王となった兄を支える為に見聞を広めるため諸国を巡っているとお聞きしましたが・・・違うのですか?」


中々、口を開かなかったギルロイの態度を訝しく感じたアロルドが問う。

王宮で見かけるエルフリート王子は、礼儀正しい青年だったからだ。


「それは表向きの理由だ。カルディール国王からの親書には、本当の理由が書かれていた。」


「「「「「「??」」」」」」


一同は揃って首を傾げる。

婚約者も妃候補もいない王子がこの国を訪れた本当の理由。


「エルフリード王子には婚約者も妃候補もいない。何故なら、カルディール王国の貴族令嬢が嫌がっているからだ・・・」


「?陛下・・・エルフリード王子は第2王子ですよね?王位継承権第2位の・・・何故、自国の貴族令嬢達は嫌がるのですか?」


アロルドが至極もっともな質問をする。

王太子とは違い、王を支える事になるため国内貴族と縁を結ぶのが当たり前である。

それなのに、婚約者・妃候補のなり手がいないとは・・・

ギルロイは更に続けた。


「エルフリード王子が自国で浮名を流しているからだな。カルディール国王も何度か注意はしたらしいのだが、一向に改善されないから王子としての自覚を促すために諸国を巡らせる事にしたと・・・」


あんまりな内容に一同は呆れ返ってしまった。

一同の中で、一番最初に再起動をはたしたのはジェラルだった。


「それでは陛下。姉様はエルフリード王子に目を付けられた可能性が高いということですか?」


「可能性がないとは言えないな。・・・アロルド仮にだが、エルフリード王子から、ユーリを自分の妃に迎えたいと申し入れて来たらいかがする?」


「・・・陛下、それは私がお断りしますと言ったら断れるものですか?違いますよね?国と国との問題になる。陛下はユーリが『全能者』である事をご存知のはず。・・・・・・まさかとは思うけど、ギルはユーリを外交の手札にしようと考えているのかな?」


アロルドがギルロイを愛称で呼ぶ時は本当に怒っている時だ。

本当に怒っているアロルドは、妹のセリスや王妃ミレイが怒った時に数倍怖い。

ギルロイは慌てて否定する。


「待て待て待て!仮にだと言っただろう!それにユーリにはエドワードの妃になって貰いたいと思ってるんだぞ!?ワシ1人の独断で断るのではなく、父であるそなたも一緒に断らねば外交問題に発展してしまうではないか!!そうならない為にもユーリには早急に王太子妃候補に復帰してもらいたい。できれば婚約という形を取りたい位なのだぞ!?」


話しが変な方向に向き始めてしまいユーリは1人遠い目をした。

ギルロイの言葉にセリスとミレイとエドワードは嬉しそうな表情を隠すことがなかった。

アロルドは苦虫を噛み潰したような表情で、ユージーンとジェラルは何とも言えない表情をしていた。

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