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ブリザードなお茶会 その1

国王一家とハーバリー公爵一家のお茶会が始まった。

ユーリの隣にはもちろんエドワード王太子が席を陣取っている。

満面の笑みを浮かべるエドワードを直視できず、ユーリは席に着いてからずっと俯いたままだった。

和やかに進むと思われたお茶会だが、アロルドの一言で場が凍りつく。


「そういえば陛下。本日、王宮に到着した際に、隣国のエルフリード王子にお会いしました。」


「は?エルフリード王子に?どこで会ったのだ?」


「馬車から降りたらいましたよ?何でもユーリを王宮の庭園で見かけて、一度ゆっくりと話してみたかったとか」


『王宮の庭園』と『ゆっくりと話してみたかった』の言葉にエドワードの表情が凍りつく。

ギルロイに到っては、顔を青ざめさせた。

その様子を見逃さなかったセリスとミレイは、何かあったなと視線を交わす。

口火を切ったのは公爵夫人セリスだ。


「そういえば、馬車の中でききましたが昨日、エドワード王太子とユーリが庭園にいるところをエルフリード王子が見ていたのを、ユージーンとジェラルがお見かけしたとか?」


「まぁ。そうなのですか?ユージーン?」


「はい。昨日、王妃陛下のお茶会の席を辞した後、ユーリと王太子殿下の所へ案内して頂いていた所、途中の回廊にて側近の方と何やら話し合われている所をお見掛けしました。殿下には、黒髪の青年が回廊から見ていたとお話しした所、隣国の第2王子であると教えていただきました。」


「・・・そう。エルフリード王子がユーリとゆっくり話してみたいと・・・他に何か言ってましたか?」


「いえ。本日は王妃陛下からご招待を受けているため、エルフリード王子からの王宮庭園の散歩についてはお断りしております。ですが、『またの機会に』とおっしゃっておりましたので・・・」


ユージーンとミレイのやり取りにギルロイは気まずさから視線を彷徨わせた。

(・・・まずい・・・隣国の国王からの書状の内容を伝えていない・・・ここで話すのはまずいな・・・)


ギルロイは挙動不審になってしまっている事を気づけずにいた。

そんな状態の兄をセリスが問い詰め始めた。

国王に対してではなく、兄妹としてだ。

黒いオーラを纏いながらも、ニッコリと笑みを浮かべて。


「お兄様?何か隠し事をしていませんか?」


「ななな何を隠していると?」


この状態のセリスには誤魔化しが利かない事を、身をもって知っているギルロイだが、エドワードとミレイが同席しているこの場では絶対に言えないと、更に挙動不審になるギルロイ。

セリスは更に問い詰める。


「お兄様?挙動不審になっているのをご自分でわかっていらっしゃる?何か隠し事があると視線を彷徨わせるのを、一緒に育った私がわからないとでも?」


「隠し事などないぞ?・・・そうだ!そろそろ仕事に戻らねば!!」


「あら?書類仕事は昨夜の内にある程度は片付けていろのではなかったのですか?だからこの席にいらっしゃるのでしょう?」


国王兄妹のやり取りを、周囲の面子はただ黙って見ていた。

下手に口を挟むと、別の事に飛び火する事をわかっていたからだ。

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