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家族に相談します

王宮からハーバリー公爵一家が屋敷へと戻ってくると、使用人達が出迎える。

しかし、その顔色は一様に悪い。疲れが滲み出ているのだ。

常にない使用人達の状況にアロルドは首を傾げたが、屋敷に入るとその理由が分かった。

使用人しかいないと分かっていても、縁談を申し込む使者がひっきりなしに公爵邸へ訪れていたのだ。

有能な使用人達だが、使者達の対応に追われ、ユーリが王宮へ行っていていないのに是非ともユーリに会わせて欲しいと粘る使者に対処していたためたった1日で精神的疲労が蓄積してしまっていた。


「・・・これは凄いな。昨日の倍はあるか?」

アロルドは感嘆の溜息を漏らす。

公爵邸のエントランスはユーリへの贈り物と姿絵で山が出来ていた。

今日、公爵邸を訪れた使者のリストも前日よりも格段に分厚くなっていた。


「あらあら。これは凄いわねぇ~。今日のミレイ様のお茶会に出席なさっていた夫人や令嬢のご子息やご兄弟も混じっていそうね~」


セリスは何やら楽しそうに呟いた。

子供達が席を外してからの出来事をユーリ達は教えて貰っていないのだ。


「ユーリ。今日来た縁談の申し入れも全て断るが良いか?」


「えぇ。構わないわ父様。・・・それと晩餐の後でみんなに相談があるのだけど良い?」


「私は構わないが。セリス、ユージーン、ジェラルはどうだ?」


「構いませんわ」


「「大丈夫です父様」」


各自、自室へと戻って行くなかユージーンは父アロルドを呼び止めた。


「父様。ちょっとお話しがあるのですが」


「どうした?ユージーン」


ユージーンは今日、王宮で隣国の王子を見かけた事、その時に感じた事を話した。

そして、ユーリとエドワードの間にあった誤解が解けた事も。

ユージーンの話しを聞いてアロルドは翌日、ギルロイにエルフリード王子について詰問しようと決めた。




晩餐後、サロンに集まった家族にユーリは今日あった事を話した。

「今日、エド兄様とお話しをしたの。7年前の事を謝ってくれて・・・それで私を王太子妃候補にしたいって・・・でも、私どうしたらいいのか分からなくって・・・」


「ユーリはエドワードの事をどう思っているのかしら?」


「母様?・・・正直分からないの・・・あの日から7年かけて諦めたの・・・エド兄様の気持ちは嬉しかったけど、今日のお茶会で他のご令嬢達の視線を思い出すとちょっと怖いなって・・・エド兄様の隣に立つって事はたくさんの令嬢達から敵意のこもった目で見られるって事でしょう?それはちょっと・・・」


そこまで言うとユーリは俯いてしまった。

ユージーンとジェラルはユーリに対する令嬢達の態度を見ている。

セリスはユージーン達が席を外してからの出来事を子供達に伝える。


「それなら気にすることはないわよ?ユージーン達がユーリの所に向かった後にミレイ様と夫人達と一緒に令嬢達に注意をしておきましたからね。それに、今日お茶会に出席した貴族家からは明日以降、縁談は来ないと思うわ」


令嬢達に注意したのは分かったが何故、縁談が来なくなるのか分からなかった。

しかし、セリスがそう言うのだから明日以降は縁談の申し入れは減るのだろう。

アロルドは理由を聞きたいが怖くて聞くことが出来なかった。


「でも、暫くの間は使者が来るでしょうから当面はユーリは私達と一緒に王妃様の所へ参りましょうね」


「はい母様。でもエド兄様へのお返事はどうしましょう?なるべく早くお返事した方が良いのでしょう?」


「そうねぇ。ユーリがもし、エドワードの気持ちを受け入れて王太子妃候補になったら縁談の申し入れはすぐにでも来なくなるわね」


ユーリは騒動が治まるまでずっと王宮へ行く事になるとエドワードに迷惑をかけてしまうのではと考えた。

しかし、エドワードの本音はすぐにでも婚約者になって欲しいというもの。

気持ちを受け入れた後にやっぱり候補を降りますとは絶対に言えない。


「とりあえずエド兄様へのお返事はよく考えてからにします・・・」

ユーリは問題の解決を先延ばしにした。

翌日から隣国の王子からの猛アプローチが始まるとも知らずに

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