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王太子の告白

貴族の令嬢達が夫人達から叱責を受けている頃、お茶会の席を外したユーリとエドワードは別の庭園に来ていた。

休むために客室へ案内してもらうはずなのに何故?と思いつつも花の咲き乱れる庭園を2人で歩く。

東屋に到着するとエドワードはユーリに向き直る。


「ユーリ久しぶりだね。7年ぶりだ」


「・・・」


急に声を掛けられたユーリはどう反応して良いのか分からなかった。

しかも、甘い雰囲気になってしまっている事も返事ができない原因の1つだった。

7年ぶりに会った従兄を眩しいものでも見るようにユーリはただじっと見つめていた。


「・・・7年前のあの日、ユーリにそっけない態度をとってしまってごめん。本当はとても嬉しかった。でも、あの日以降ユーリが王宮に来なくなって・・・ずっと後悔していたんだ。なんであの時自分の気持ちを素直に伝えられなかったんだろうって・・・」


「エド兄様・・・」


エドワードはそっとユーリを抱き寄せた。

ユーリはエドワードの突然の告白に内心とても焦っていた。

(エド兄様、急にどうしちゃったのかしら?そして私は何でエド兄様に抱きしめられているの?)


内心アワアワとしているユーリを強く抱きしめてエドワードを自分の気持ちを伝える。


「・・・ユーリ好きだよ。僕はユーリを妃に迎えたい・・・7年前、そう伝えていればずっと僕の傍に居てくれたのかな?」


ユーリはただ黙ってエドワードの言葉を聞いていた。

7年前のあの日に散ってしまった初恋が続いているのかわからないまま。

ユーリは自分の今の気持ちを素直に伝えようと思った。


「・・・エド兄様。私は7年前に自分の気持ちを伝えたわ・・・その後すぐに王宮への出入りを差し控えるよう父様から言われたあの時に私の恋は終わったと思っていたのよ?7年かけて諦めたの。今、エド兄様の気持ちを聞いても困ってしまうの・・・」


「その事については本当に申し訳ないと思っているよ。父上がそんな指示を出していたなんて僕は知らなかったんだ・・・ユーリに対してそっけない態度を取って後悔した。次に会った時に自分の気持ちを素直に伝えようと思っていたのに・・・あの日から今日までユーリは王宮へ来ることが出来なかった・・・ここ数年は周りの貴族達からは早く妃を娶れと言われていたけど、僕にはユーリしか考えられなかったんだ。だから母上に僕に来る縁談は全て断ってくれるよう頼んでいたんだよ」


エドワードの気持ちを聞いたユーリは更に混乱した。

自分を王太子妃にしたいとエドワードは言っている。

しかも、そのために寄せられる縁談を全て断っていたというのだから。


「・・・エド兄様のお気持ちは嬉しいわ。でも、今はまだ自分の変化に手一杯で他の事を考える余裕がないの・・・だから・・・エド兄様の気持ちに対するお返事を待って欲しいの」


「・・・わかった。でも、僕の気持ちは昔も今も変わらない。本当ならすぐにでも王太子妃候補に復帰して欲しい。・・・本音を言えばすぐにでも婚約者になって欲しいと思っている。昨日、父上から公爵へユーリの王太子妃候補復帰について話しがあったのは聞いてる?」


「えぇ。昨日、父様と母様が王宮からお戻りになった後に・・・エド兄様は昨日からの公爵家の騒動をご存知かしら?」


「あぁ聞いているよ。ユーリに対する縁談の申し入れの使者が殺到していると。その騒動が治まるまで毎日王宮へ来る事も聞いてる。父上からは騒動が治まるまで僕の公務はなしにするって言われているよ」


「えっ!?そうなのですか?・・・でも、さっきお茶会の席で公務の時間だからって・・・」


「あれは母上が気をきかせてくれたんだよ。ユーリと2人っきりで話せるようにね。ユーリが盗賊に襲われて、魔法が使えるようになった時に、セリス叔母上から母上に手紙が来ていたんだよ。手紙が来た日に僕の気持ちは父上と母上に伝えてある。あとはユーリの気持ち次第だ」


「・・・」

ユーリはすぐに反応する事ができなかった。

エドワードの気持ちは嬉しいが、お茶会に出席していた令嬢達の視線を思い出すと震えが止まらなくなりそうだった。

だからユーリはその気持ちにすぐに応える事ができそうに無いと思った。


「・・・エド兄様。兄様のお気持ちは本当に嬉しい。だから今日屋敷に戻ってからゆっくりとお返事を考えさせて欲しいの・・・」


「わかった。あまり無理を言ってユーリに嫌われたくないからね。今日の所は7年前の誤解が解ければ良いかな・・・」


「エド兄様が私の王宮への出入りを差し控えるよう陛下にお願いしたんじゃないって分かったわ。候補の復帰についてはよく考えて父様と母様へ相談します。」


7年前の誤解が解けた事にエドワードはホッと胸を撫で下ろした。

自分の気持ちもユーリに伝えた。

後はユーリが自分の妃になってくれる事を切に願った。

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