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嵐のお茶会・その2

今回は短めです。

ユージーンとジェラルが令嬢達の相手をしている頃、セリスは婦人達のお相手に忙しい様子だった。

そんな兄弟と母の様子をボンヤリと眺めていたユーリは不意にミレイ王妃から声をかけられる。


「ユーリ、本当に久しぶりね。」


「はい。7年ぶりでしょうか・・・」


そのやり取りをエドワード王太子は居た堪れない気持ちで聞いていた。

前日の夜、両親である国王と王妃からユーリ達が縁談騒動が治まるまで毎日王宮へ訪れる事とその間は公務を減らし同席するよう言われた時は喜んだ。

しかし、実際にユーリと再会したは良いが何を話せば良いのかわからなくなってしまっていたのだ。

結果、想いを寄せる従妹が隣にいるのに話しかける事もできずに、ただ笑顔で座っているだけになってしまっているのである。

そんな不甲斐無い様子の息子を見てミレイ王妃はそっと溜息をついた。

(ここで話しかける事はできないかしら?・・・不甲斐無いわねぇ・・・)


ユージーン達とにこやかに話している令嬢達は、この機会にエドワード王太子とお近づきになりたいと思い、ちらちらとエドワードに視線を送っているが、隣に座るユーリが視界に入るととたんに自然と目付きが厳しいモノとなった。

令嬢達のきつい視線に耐えられなくなったユーリは席を立つ。


「王妃様。申し訳ございませんが、少々気分が優れないので少し席を外してもよろしいでしょうか?」


「まぁ。大丈夫?エドワード、あなたユーリを客室へご案内して休ませてあげてちょうだい。」


エドワードが返事をする前にユーリは慌ててミレイ王妃に断りを入れる。

ここでエドワードがユーリと一緒に席を外すとご令嬢達からいらぬ恨みを買ってしまいそうだと思ったからだ。

「お気遣いなく。私の侍女もおりますし、客室まで王宮の侍女か侍従の方に案内して頂ければ結構ですわ」


「遠慮しないで。エドワードもそろそろ公務に戻らなければならない時間なのよ。」


令嬢達の視線に気づいている王妃は、ユーリが一刻も早くエドワードから離れたいと思っている事を感じ取ると同時に、エドワードとユーリに2人で話しができる様にしようと考えた。

王妃からの申し出に、これ以上は断る事ができないと思ったユーリはエドワードにそっと視線を送る。

その視線に気づいたエドワードは笑顔のままで客室までの案内を引き受けた。


「えぇ。ユーリ遠慮しないで下さい。母上の仰る通りそろそろ公務に戻る時間なのです。」


「左様でございますか。ではお願いしてもよろしいですか?」


「もちろんです。では、ご案内します。どうぞ」


エドワードはユーリに手を差し出す。

遠慮気味にユーリはエドワードの手を取る。

その瞬間、令嬢達の視線が一層厳しいモノとなった。

ユーリはエドワードにエスコートされて王宮の建物へとミーナを連れて移動していった。

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