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21 小部屋、ロリコン教、クランク・イン、絶対防衛ライン

 額に通し番号を付けられた

パンツ一丁の男どもを見下しながら、

俺は考える――


……逝ってしまった☆さやかの

シナリオは理解を超えていたものの、

結果的には効果があったと認めるべきだろう。

ギャングバン・リスクは激減した。

思忍ちゃんが集団で辱めを受けるような

最悪の事態、場外乱交はほぼありえない。


 自分達の腕にフェアリーを乗せて

嬉々としている男どもを眺めながら、

俺は考える――


……疑似Xを撮影するための

環境は整いつつあるといえる。

ここは続行し予定通りあくまで疑似のポルノ

撮影を、思忍ちゃん扮する【SAYAKA】主導で

クランク・インするのだ。


 フェアリーを担いで「「わっしょい」」と

掛け声を上げる男どもを見ながら、

俺は考える――


……ロリコン教の熱心な信者、もといアイドルの

《親衛隊》、程よく消耗した奴らを巧く誘導するのだ。

それには神聖不可侵な少女というイメージはむしろ邪魔になる。

奴らが神聖視するアイドルにも性の悩みがあり、

それを解決できるのは自分達のような熱狂的な信者だけ、

そんな妄想に近い幻想をデッチ上げるのだ。


 和やかなムードの中、フェアリーの右ももに

“玉”の字の最後の一画を書く男を撮りながら、

俺は考える――


……《親衛隊》は、Xに興味アリアリな

HentaIdolのお世話をするのだ。

本来なら絶対にありえない、少女アイドルとのX。

ゲームのルールを守り彼女の意向に沿うならば

Xのリハーサルに参加させてもらえる、

そんな幻想を演出できるといい、

多少の興醒めを伴っても構わない。


 俺は黒子頭巾の中から彼女に指示して台詞を言わせる。

フェアリーテイルはおしまいにして、

少女アイドルの秘めた欲望を告白させるのだ。

その源泉となる事情は……こんなストーリーだ。


 アイドルだって人の子、お年頃ともなれば

フツーの女の娘同様にHやXに興味がある。

とはいえ特別な女の娘であるアイドルには、

HもXも許されていない。

溜まる一方のフラストレーション。

変装してデートしようにも

パパラッチやAIdランナー、

相貌認識AIや声紋認識AIどもが

邪魔をする。


 そこで、

都会を離れて邪魔モノがいない郊外で

シークレット・ライブを夜な夜な催すHentaIdol。

それは、秘密を漏らさない

信用の置ける人間だけを相手にする、

いけないリハーサル。

参加できるのは《親衛隊》だけ。


 夜が明ければアイドルはそしらぬ顔で、

その他大勢のファンに笑顔を振りまき、

眩しいスポットライトの下で

少女は清純なイメージのまま

ステージで唄い舞い踊るのだ。


 正座して彼女の話に耳を傾ける隊員1号から10号ども、

彼女の告白するグレイプ願望を聞いてあからさまに

ショックを受けているのが笑える、ざまぁみろ。

……とはいうものの、擬似とはいえ

彼女の相手を務めるのがこんな奴らとは……ムカツクッ。


 しかし、これが彼女のため、白州家のため……なんだ。

ここは俺も【黒子天狗P】になりきって、

本物よりも本物らしい疑似AV作品を撮り切る。

そして絶対に疑似で済ませることッ、

それが俺のなすべきことであり、

絶対防衛ラインだ。

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