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Lv07 5つの要素の解説

「健康

 生活

 仕事

 余暇

 人との関係


この5つについて順番に説明していくわよ。


まず健康。

何をするにしても体が資本だからね。

これは特に必要性の説明は無いわよね。


生活。

これは、衣食住の生活全般ね。

親兄弟とか、夫婦とか、子供とかとの生活もそうね。

もちろん食事も。

生きる上でベースになる部分を疎かにしてはいけないということ。

家が掃除してなくて汚かったりとか、家族の仲が悪かったりとかで、家に帰っても落ち着けないわよね。

逆に、家が快適で、家族とも良い関係でいられるなら、それだけで幸せだと思うわ。

自分のライフステージに合わせて、生活のスタイル等計画を立てる必要があるわね。


仕事。

給料が良いかとか、熱意をもって取り組める仕事かとかね。

キャリアアップに繋がるものかとか、休みとか残業とか福利厚生も大事よね。

要はいかに自分のライフスタイルと希望に合わせた仕事ができるかということね。


余暇。

趣味の時間て言い換えてもいいわね。

仕事して家族サービスしてってだけの生活じゃなくて、自分が楽しめる時間ていうのも幸せな生活の為には重要よ。

それとスキルアップの為の勉強なんかも必要ね。

遊び呆けてるだけじゃなくて、少しでも外国語の勉強したりセミナーに参加したりとかね。

要は自分の人生をより充実させる為の活動って言えば分かりやすいかも知れないわね。


人との関係。

これが一番幸せになる上で重要な要素かもね。

ハーバード大学の研究で、病気になった人でお見舞いに来る人数が多い方が長生きするっていうのもあったわ。

例えばコンビニでの買い物でも、もし『いつもご苦労様です』の一言があればそれだけも嬉しくなるでしょ。

別に高級じゃないご飯でも、一人で食べるより気心の知れた人とワイワイ食べればそれだけで幸せな気分になれる。

家族や友達、仕事の付き合いの人、常に人と接するんだから、人との関係を良くするように努めるのが実は一番幸せへの近道なのよ。


これらはあくまで要素に分解しただけで、実際に何か活動するにあたっては、これらの要素が密接に結びついてるわ。

仕事一つ取っても、仕事の出来っぷりに加えて、職場の人間関係、家庭の充実度とかも関係してくるでしょ。


これまでのところで何か質問は?」


アリスは一息に(とは言ってもプログラムで動くAIなので実際に息をしている訳ではないが)説明し、太郎に内容が理解できているか尋ねる。

その太郎は浮かない顔をしている。


「5つの要素っていうのはよく分かったし、納得もできた。

でも、何でこれまで誰もそんなこと教えてくれなかったんだ。

学校だって、両親だって。

言われてきたのは、しっかり勉強して良い大学に入れば幸せになれるってことだけだ。

今更そんなこと言われても、これまでの人生で無駄にした分はどうやって取り返せばいいんだよ」


太郎はアリスの話を聞いて、学生時代を思い出していた。

クラスのリーダー的なグループに属していた人達のことを。


運動部に入っていて、明るく社交的で誰とでも仲良く話す。

スポーツやテレビの話題だけでなく、アニメや漫画と言ったオタク的な話もそういったグループと話してるのを見たことがある。

確か成績も良かったはずだ。

分からないところは素直に分からないと言って、塾に通ってて成績の良い子に教えてもらっていた。

教える方も頼ってもらって嬉しそうにしていた記憶がある。

そして自分は決してそんな要領良く生きていくことはできないとも思った。


アリスの話を聞くと、彼らの行動は幸せな人生の為の要素を全て満たしている。


連絡を取ることもないから彼らの近況は分からないが、きっと良い会社に入って家庭も持ったりして幸せな人生を築いてるんだろうと思う。

彼らは小学生の時分から、そういう生き方をしている。


6歳の頃から30歳の今までで計算すると、24年間の差がついてるということになる。

今から幸せになろうとして、本当になれるのか、やはり手遅れではないのか。

太郎はそう考えて絶望にも似た卑屈な表情を見せる。


すると、アリスが


「甘ったれんじゃないわよ」


と言いながら、太郎の顔に張り手をかます。

立体映像みたいなものなのでもちろんすり抜けるのだが、アリスはそんなことは気にしてないようだ。


「確かに学校では教えてくれなかったかも知れない。

でもあんたの周りにまったくヒントが無かった訳でもないでしょ。

充実した生活をしているクラスメイトはいたはずだし、同じグループに入れるよう努力するとか、少なくとも良い部分を少しでも真似するとかは出来たはずよ。

そうじゃなくても、勉強しろって言われてたにも関わらず一流大学に入るだけの努力もしてなかった訳でしょ。

結局あんたの現状は、あんたの行動の帰結でしかないのよ。

それなのに人のせいにしてウジウジ言ってんじゃないわよ!」


全くの正論に太郎は何も言えず下を向いて俯くだけだ。


「私は、そんなのは分かった上で貴方を幸せにするって言ってるのよ」


アリスのその言葉に太郎は顔を上げる。


「当然でしょ。別に幸せになるのに年齢制限なんかある訳ないでしょ。

もちろんスタートが早いに越したことはないけど、太郎は今30歳でしょ。

今をスタートラインだとしても、80歳まで生きると考えるとまだ50年もあるのよ。

今からだって十分時間はあるわ。90歳まで生きると考えると60年よ。

ちゃんと情報を集めて分析して戦略を練って努力すればきっと幸せになれるわ。

その為に私がいるのよ」

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