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Lv09 まずはスクワットから

「まずは健康な体と、それを維持する為の習慣をつけてもらうわね。


この前も説明したけど、体は何をするにも一番の資本よ。

今は大丈夫かも知れないけれど、体に良くない習慣の生活を続けて、50歳60歳になって問題が表面化してからじゃ遅いのよ。

その頃には医学が現在より発達して、今は治療できない病気も治療できるようになってるかも知れない。

治療法だって痛みや苦しみがないものも出てるかも知れない。

でも病院にかかると、お金や時間、手間なんかのコストがかかる。

生活にも制限がかかるかも知れない。

それだったら、今から『体に悪い習慣』を減らして『体に良い習慣』を増やす方が効率的にも良いし、幸せな人生を送ることにも繋がるわ。


という訳でまずは、『健康』のレベルを上げてもらうわね」


特に異論がある訳でもないので太郎は素直に返事する。


「わかった。それでまず何からしたらいい?」


「まずはスクワットね。

とりあえず毎朝10回。

あ、あと貴方は体重が重いんだからあまり深く膝曲げなくていいわ。

それと1回に10秒~20秒ぐらいかけるつもりでゆっくりね」


「え?それだけ?」


もっと厳しい内容を予想していただけに、スクワットのみ、しかもたった10回という少なさに太郎は驚いた。


しかしアリスは太郎のそんな反応を予想していたかのようだ。

不敵に笑いながら


「もっと厳しいのが良かった?

最初から沢山やっても、体もついていかないし、結局続かなくなっちゃうわよ。

とりあえず1週間続けなさい。

ネットで正しいスクワットのやり方を調べてからやりなさいね」



翌朝から朝食の前にスクワットをするというのが太郎の日課に加わった。


たった10回ということで初日こそ物足りなさを感じたが、2日目には普段使わない筋肉を使ったことによる筋肉痛で10回だけでもかなりの精神力を要した。

時間をかけて行うというのも負荷を増やす要因だ。

要は空気椅子みたいなものなのだ。


しかし5日ほども続けていると、やはりなんだかんだ言ってもたったの10回である。

多少の筋肉痛はあるが、それほどの苦もなくこなせるようになった。



スクワットを始めてから一週間が経過した。


「偉いわね。ちゃんとサボらずに続けたわね」


「そりゃ、たった10回だからね。

むしろ途中から回数を増やそうかと思ったよ」


「そうね。じゃあ次回からは15回にしてもいいわよ。

でも急に筋トレして体を痛めても逆効果だから、明日は休みなさい。明後日からね。


さて、スクワットやってみて何か体や気持ちに変化はあった?」


「体を意識するようになったかな。

これまでは全く意識して運動とかしなかったから。

別に大した運動量じゃないっていうのは分かってるけど、それでもせっかく筋トレしてるんだから少しでも効果を出したいっていう気にはなったかも。

夜の発泡酒も1日おきにしたし」


「なるほどね」


アリスはそれを聞いて満足そうに頷いた。


これこそがアリスの狙いだったのだ。


無理なく続けられる程度の運動量。

10回程度のスクワットであれば、大体の人は苦もなく続けることができる。

運動していなかった太郎にとっては、トレーニングを達成したという成功体験を得ることになる。

1週間という期間で区切りを作ったのもその為だ。

回数も少なめなので物足りなさを感じ、せっかくやるんならと、より高い負荷を希望するようなる。

これも最初から例えば100回などという量でやってれば、疲れや筋肉痛が勝りトレーニングとは大変なものだという意識が植え付けられ、今後前向きな気持ちで取り組むのが難しくなっていただろう。

苦手意識があるのとないのでは大きな違いだ。

さらに『朝』というのも良かった。

筋肉痛や疲労を感じることで、『日中ずっとトレーニングをしている』ということを嫌でも意識することになる。

そうなると『せっかくやってるんだから』『無駄にしたくない』という意識が働くようになる。

結果、太郎は毎日の晩酌の発泡酒を半分に減らした訳だ。


人は自分が手をかけたものには愛着をもって接するようになるものだ。

それが今回は太郎にとって、自分の体だったというだけのことだ。


つまり、『たった10回の朝のスクワット』で太郎の意識をこれまでとは根本的に変えたということになる。


「少しでも体を動かすと違うでしょ?

じゃあ次は食生活ね」



太郎が新しく身に付けた習慣

・毎朝のスクワット


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