五月蠅い
私は、ついに、片思い欠乏症のために、一人寂しく部屋で野垂れ死んでいくのだった。
ってのは冗談にしても、あまりにも最近恋ができない。
こんなに長い間恋から離れたのは初めてだ。
一ヶ月もよく我慢できたな私。
よしよし、いいこ、いいこ。なでなで。
がはー、きめー、自分。
いや、でもよく考えろ。
世界最強の片思い目指すんだろ?
それってどういう片思い?
アイドルの追っかけ? ストーカー?
んーどれもしっくり来ない。もっと全米が泣くぐらいの超大作、超感動級のせつない恋だろ。
それってどんな恋?
ぐはぁー、わかんねー。あれだ。考えるんじゃない、感じるんだ。
大体、恋ってやつぁ、自分でしようと思ってできるもんじゃないし……。
ん? なんか私の口調オヤジくさくね?
とにかくだ。
出会いの質、量共に不足してるんだ。このままじゃ、ほんとにヤバイって。
明日、ミカに相談してみよう。
「世界最強の片思いってどうしたらいいと思う?」
次の日早速ミカに聞いてみた。
「はぁ? いきなり何よ。もしかして、昨日言ってた事、本気なわけ?」
「本気も本気。マジと書いて本気と読む」
「逆」
冷たい。ミカは最近私に冷たい。
「うわ〜〜ん。ミカは彼氏できてから私のことなんてどうでもよくなったんだ。女の友情はドコに行っちゃったのよ〜〜〜〜〜」
大げさに泣いたフリしてミカに抱きついた。
「はいはい、どうどう。よしよし」
私はフリながら涙ぐんだ目でミカを見上げる。
ミカは優しい目で私を見ていた。
ミカが男だったらマジでこの時惚れた。
「ミカ〜。アイシテル〜〜」
ミカに抱きつく力を倍増。
「ちょ、苦しいって……そうだね〜。最強の片思いかぁ。相手が最強って言うんなら……」
「なになに?」
「神様」
「かみさまー?」
「最強でしょ? 修道院のシスターとか最強の片思いじゃない?」
「えー、うーん。確かに最強だ。よし、私出家する」
私はガッツポーズで世界に誓った。
「マジ?」
言い出したミカが唖然としていた。
「嘘にきまってんじゃん。だいたい私神様とかあんまり興味ないんだよね」
「ほ、安心したよ。あんたのことだから、マジで変な新興宗教とかにはまりそうで怖いよ、わたしゃ」
「出会いの質量が足りないんだよ。絶対」
昨日出した結論。
「私の近くにいる男なんてさ」
私は教室を見渡す。
今は、実は講義中なのだ。
ろくなのがいない。少しましかなぁと思う男も彼女つき。どうなってんだ? いったいこの世の中は。
タケオミと目が合う。隣にはサキさんがいた。タケオミはニッコリ微笑み返す。
げ! なんか気まずいんだよなー。
私は無視してまたミカの方を見る。
「だから、いつも言ってるようにさ、なんかサークルに入るとか、そしたら行動の幅が広がって出逢いも多くなるじゃない」
「そ・れ・だ」
つい私は大声で答えてしまった。
「そこ五月蠅<<うるさ>>い!」
講義をしていた教授に怒られてしまった。
読んでくれてありがとう。
一話の文字数1000文字前後に纏めようとすると
全然話が進まねー。
このままじゃ、100話とかいくぞ、たぶん。