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四面楚歌

「トモミさん、私からもお願いね。タケオミのこと」

 私はなんでそんな事言ってしまったのだろう?

 トモミさんは何か言いかけてから走って行ってしまった。

「ごめんな」

 タケオミが私に謝る。さっきトモミさんと一緒だった時とは全くの別人のような真面目な顔で……。

「ううん。タケオミがトモミさんの事好きなのは本当だし」

 タケオミと付き合い出したのだって、それを分かっていて、それでもいいと、私が言い出したからだし。

「なんかなぁ。お前ばっかり大変な思いしてるよな」

 本当のタケオミをトモミさんは知らない。でも私は知っている。彼が本当は心に大きな傷を持っている事も……。今はそれでいいと思う。私もタケオミもお互い癒されてる。それでいい。

「タケオミってどうしてそうなのかしら?」

「そうって?」

「本当の自分を隠してまで好きな人の側にいようとする」

 私はさっきまでトモミさんが座っていた椅子に座る。

「ん? 誰だってそうなんじゃない?」

「そうかな?」

 私は、私の本当の姿で、全てを彼に知って欲しい。そう思うのは普通じゃないのかな?

「まぁいいけど」

 そして訪れる沈黙。タケオミは私と居るときだけは無口になる。それでもなにか通じ合っている気がするのだ。

 私だって本当はタケオミが自分だけを見て欲しいと思う。

 でもそれ以上にタケオミには自分が好きになった人と一緒になって欲しいと思う。

 三日間だけ訪れたタケオミの幸せ。それは本当に儚く終わってしまった。

 終わってからも彼は彼女だけを追いかけていた。

 そんな姿が痛々しくて私は彼の側にいようと決めた。

 でも、でも……。私の中の黒い部分がうごめき始める。

 トモミさんの、彼女のどこがいいのだろう?

 そこまで、彼が追いかけるまで好きになるのが分からない。

 彼のことを全て理解したいけど、そこだけは分からない。

「サキ、あのさぁ……トモミのこと、悪く思ってるか?」

 見透かされた。私が考える事なんて全部彼には分かっている。

「そんな事ないよ。タケオミが好きになった人だもの、私も好きよ」

 嘘。大嫌いだ。本当はいなくなって欲しい。でもそうなったら、そうなったらタケオミはどうなってしまうんだろう? それが怖かった。

「ん。そうか……」

 タケオミはそう言ってまた何か考えている。何を考えてるのかな? トモミさんの事?

「そんじゃ、行くか」

 彼はそう言って、立ち上がる。

「今日はどこ行くの?」

「そうだなぁ……映画でも見に行くか。『SOBA』面白いらしいよ」

読んでくれてありがとう。

今回の話はコメディから離れて

シリアスに……。

シリアス好きなんでちょっと作者の口直しに

間、間にこういうの挟んでいこうかなっと……。

次からやっと本題に入っていくよ、たぶん。

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