両想い
片思いジャンキーの私だけど、今片思いしてない。
息が苦しい。やばい、欠乏症だ。
片思いプリーズ!!
どっかにいい男、落ちてないのか? 私を恋のどん底にたたき落とすような、運命の男はドコ?
大学の帰り道、私は餓えたケモノのようなギラついた目をして歩いていた。
(五感をとぎすませ! ありとあらゆる器官で、いい男を感じ取るんだ!!)
は! 来た!! この脳に差し込む感覚。
見よ、あの後ろ姿。歩き方といい、お尻の形といい、身長、服装、合格♪
さぁて、後はそのご尊顔。
気配を消しながら、その男の横を通り過ぎ、そしてさりげなく!
そう、あたかも……。
あ、そういえば、忘れ物しちゃった、戻らないと、的な自然な振る舞いで、いざ!
振り返った瞬間、自分の五感の全てを呪った。
「あれ? トモミじゃん」
慣れ慣れしく声をかけてきた、この男。先々代の片思い相手。
つきあい始めたものの、その飄々とした軽いノリが気にくわなくなり、三日で別れた。
私の中でも、最短記録を更新したのだが、なぜかその後も普通に会話し合う仲。
「た・け・お・み〜〜〜〜」
恨みの長けをぶつける。ち、こいつ見た目だけはいい男なんだよな。私もそれで騙された。いや、また騙された。私のイイオトコレーダーなんてこんなもんか。
「何だよ? その恨みがましい目は? 会った早々ご機嫌斜めだな。あ、もしかしてセーリ?」
このデリカシーのない男を殴り殺しても、情状酌量されるよね?
「私の貴重なエネルギーを返せ! 今すぐ、耳を揃えて返せ!!」
「なんなんだよ? わっけわかんねー」
タケオミは頭をぽりぽりかきながら、困惑していた。
それを見ていて気がついた。
「あ、タケオミ髪型変えたんだ。ややこしい事しやがって。だかか気づかなかったのか……いや、そうにきまってる、じゃないと私のレーダーが……」
ぶつぶつ言っている私なんてお構いなしに、タケオミが
「暇だから、映画でもいかねー?」
とか言ってくる。
「はぁ? なんで私があんたなんかと……」
「一時期は両想いだった事もある仲なんだし、それぐらいつき合えよ」
ニッコリスマイル。これだ、このスマイルに騙された。何の悪意もないようなスマイル。
二度と同じ過ちは犯すまい。もうこの男にひっかき回されるのは勘弁。
「のーせんきゅー。私はあんたほど暇じゃないんだって」
と言っているのに、むりやり手を引っ張って連れていかれた。
むきーーーー!!!
やっと書くテンションがつかめてきた。
このテンションキープするのむず!
続きを楽しみにして下さい。
たぶん、楽しくなるはず、いや、たぶんだから。