片思い
初めて携帯からでも、サクッと読める小説を意識して書いてます。本人コメディータッチは苦手なので、面白く書けるかどうか……。
「片思いジャンキー?」
「そうそう、私ね。片思いじゃないと気が済まないらしいの。両想いになった途端、もう次の片思いを探してるって感じ」
長い夏休みが終わり、冷房がないこの教室もだいぶ居心地がよくなった。
今時、大学の教室に冷房がないなんて、全国探してもここだけのような気がする。
今日最後の講義も終わって、みんなそれぞれ教室を出ていく中、私とミカはしっかり座り込んでおしゃべりを始めた。
二人とも部活やサークルにも入ってないし、バイトもしてない。
放課後は暇で暇でしょうがない。
いつしか、こうやって講義が終わった後、二人でおしゃべりするのが日課になっていた。
「あー、分かる気がする。トモミっていっつも付き合いだして一週間もたたずに別れちゃうしね」
ミカはやれやれといった顔で私を見る。
「なんかね、満たされないの。片思いの時のあのキューって苦しくなる感じ? あれがないと生きてる気がしない」
「なんかさー、もっと恋愛以外に情熱を燃やすもの見つけたら?」
ミカはいつもこうやって私になにか部活かサークルに入るのを勧めてくる。今しかできないことってあるじゃない? ミカの口癖の一つだ。
「んー、情熱を燃やすモノかぁ……」
私は色々考えを巡らせる。しかし思い浮かぶのはやっぱり、
「やっぱり、片思いだよ。あれだけ自分の全てを燃焼できるものってなくない? ミカは今彼氏がいるから分からないだろうけど……」
「彼氏がいたって、色々大変なんだよ。トモミはその辺経験する前に別れちゃうじゃない? もっと長続きする恋愛しなさいよ」
話をしながらミカは携帯を取り出し、何か見てる。
「よし、分かった。もっと長続きする片思いを見つける。どうせ片思いジャンキーならさ、世界最強の片思いってやつを目指す!」
ガッツポーズをとりながら、私は世界に誓った。
「はいはい……私、彼氏から呼び出しかかったから、もう行くね。ジャネー、がんばって世界最強の片思いでも見つけてね」
「えー、彼氏できてから付き合いわるー」
ぶーぶーと言う私を置いて、親友のミカが去っていく。女の友情なんてこんなもんか。やっぱり私を満たしてくれるのは、甘く切ない片思いだけ。
読んでくれてありがとう。
ささ、次の話へお進み下さい。