与悦の業
廃墟ビルの小部屋 午前二時十分。
空気はどこかぬるく、埃と鉄の錆びた臭いが鼻を突く。
シンジはパイプ椅子に座ったまま、足を小刻みに震わせていた。男の沈黙が、やけに重い。
男「あなたは、何でもできる方ですか?」
唐突な問いかけに、シンジは思わず体をこわばらせた。
シンジ心の声(な、何でもって……やっぱそういうヤバいやつなのか? 人殺しとか、放火とか……?)
シンジ「ちょ、ちょっと待てよ。合法の仕事だって話だったじゃねえか。オレ、犯罪とか、絶対ムリだからな?」
男は表情を変えず、静かに首を横に振った。
男「何でもとは、違法行為も含めて、とは言っていません」
シンジ「……そ、そうかよ。それなら……まぁ、オレにも出来ることはあるぜ。
東大受かれとか、五輪で金メダル獲れとか、そういう無茶じゃなきゃよ。オレなりに出来ることはやる」
男は口元に微かな笑みを浮かべ、机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
そこには墨で大きく「与悦の業」とだけ書かれていた。
シンジ「よ……与悦の業?」
男「あなたは、精力はお強い方ですか?」
シンジ心の声(は、はぁぁぁ!? なんだその質問……って、オレの得意分野来たじゃねぇか……)
シンジ「ま、まぁな。弱くはねえけど……何だよ、その"与悦の業"ってよ?」
喉が渇き、思わずゴクリと唾を飲み込む。
男は、変わらぬ口調で説明を続けた。
男「これは、ある未亡人からの依頼です。"悦びを与えてほしい"とのことです」
シンジ心の声(よ、悦びを……未亡人に……? いやいやいや、そんな美味い話あるかよ!?)
シンジ「それって、つまり……その……未亡人と……って事か? それ、違法じゃねえよな?」
男「未亡人からは、悦びを与えてほしいとだけ伺っています。具体的な手段については、我々もお聞きしておりません」
シンジ心の声(ぐ、具体的に聞いてねえって……いや、普通考えたらあれだろ?これ、ご褒美じゃねえか!!)
シンジ「で、報酬は?」
男「成功すれば、三十万円です」
シンジ心の声(ま、マジかよ……三十万!? おいおい、夢みたいじゃねえか……。金もらえて、未亡人と……オレの人生、始まったかも知れねえ……!)
男は、さらに淡々と続けた。
男「……ただし」
シンジ「ん?」
男「失敗した場合は、五十万円のペナルティが発生します」
シンジ心の声(……あ?)
一瞬にして、血の気が引くシンジ。しかし、すぐに自分に言い聞かせた。
シンジ心の声(だ、大丈夫だろ……未亡人を悦ばせりゃいいだけだ。オレの得意分野じゃねえかよ……)
シンジ「……やるよ。やらせてもらう」
男は無言で頷き、机の上に封筒を置いた。中身は現金。
バラリと封筒から出すと、男はそれをきっちり半分に分けた。
男「前金として、十五万円をお渡しします。残りは、成功の後に」
シンジ心の声(ヤベェ、本当にカネが目の前に……。持ち逃げ?いや、コイツ……絶対そういうの見逃さないタイプだろ。逃げたら、オレ消されるわ)
シンジは震える指先で、封筒を受け取った。
手にした瞬間、確かな重みが心に沁みた。
シンジ「で……でさ……いつやるんだ?その……与悦の業ってやつ」
男はにっこりと微笑んだ。
その笑顔が、妙に冷たく見えた。
男「今からでも結構ですよ」
シンジ心の声(今ぁぁぁ!?マジかよ!?オレ今、琴音とのアフターすっぽかされて、ムラムラ最高潮だっての!今から?いま?いまでしょ!?)
シンジは大きく息を吸い込んだ。
シンジ「……オレは今からでも大丈夫だぜ!」
男は「かしこまりました」と言い、すぐに電話を取り出した。
低い声で何やら話し始める。
シンジは、破裂しそうな胸の鼓動を押さえ込みながら、想像を膨らませていた。
三十万、未亡人、悦び、報酬……オレの人生、ここから変わる……!
──高鳴る期待と、不穏な空気の中、シンジは運命の扉が開く音を確かに聞いた。
(つづく)
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
【スタジオセット:「なっちゃん・カナちゃん」トーク番組。背景はポップなピンクと黄色。】
(オープニングジングルが流れたあと)
カナちゃん「いや〜、みなさん!今日も観た!?ドラマ!!」
なっちゃん「ヤバすぎやったなあ!!(笑)」
カナちゃん「ちょっと、あのシンジ!!アンタ、"なんでもできますか"って聞かれて、最初に人殺しと放火って、どういう想像やねん!!(爆笑)」
なっちゃん「いやもうな、完全にアウトやろ!犯罪!アンタ近づくだけで黒くなるからなぁ!(笑)」
カナちゃん「ほんで、『能力の範囲内なら』って……何その小学生の言い訳みたいなん!!」
なっちゃん「いやいや!フリーザに勝てとか言われたら、できませーん!(笑)」
カナちゃん「できへんできへん!!シンジの見た目で金メダル獲れって、絶対無理やろ!!(爆笑)」
(効果音:ボヨヨ〜ン)
なっちゃん「出たーー!!与悦の業!!(笑)」
カナちゃん「精力強いかって!?いや、そらコイツの唯一の取り柄ですから!!(爆笑)」
なっちゃん「毒マムシやって!!いやいや、赤マムシやから!!毒やったら死んでまうがな!!(爆笑)」
(スタジオ爆笑)
カナちゃん「未亡人に悦びって、言葉だけ聞いたらめっちゃ官能的やねん!」
なっちゃん「言葉だけならな!(笑)でもこれ、絶対フラグ立ってるやつやんか!!」
カナちゃん「具体的には申し上げられませんって……要はアレやろ!?」
なっちゃん「優勝な!!」
カナちゃん「それAREや!!(爆笑)」
(効果音:ピンポンパンポン♪)
なっちゃん「でもな、シンジめっちゃ喜んでたな(笑)」
カナちゃん「内心、SLみたいになっとるで、ポォーーーーッ!!!(笑)」
(汽笛の効果音)
なっちゃん「ほんでさ、報酬30万円やろ!?」
カナちゃん「琴音ちゃんに10万注ぎ込んで、全額回収してさらに20万の儲け!!シンジ、目が\$\$になっとったな(笑)」
なっちゃん「でもでも、失敗したら50万のペナルティやからな!」
カナちゃん「シンジ絶対失敗せぇへんって思ってるけど……」
なっちゃん「もうな、フラグのニオイがプンプンしとるよなぁ!!(笑)」
カナちゃん「手付金で半額ゲットやで!」
なっちゃん「テテテテッテッテッテー♪しんじは15まんえんをうけとったぁぁぁ!」
カナちゃん「ドラクエか!!!(爆笑)」
(効果音:レベルアップ♪)
なっちゃん「ほんで、即派遣!!」
カナちゃん「風雲たけし城や!!」
なっちゃん「いや!風雲急を告げる、やから!!(笑)」
カナちゃん「もう琴音ちゃんのアフター取られへんで、破裂寸前やからなシンジ!!」
なっちゃん「ちょっと、お言葉が……」
カナちゃん「ごめん(笑)」
なっちゃん「ボーナスまで期待しとんねんコイツ!!(笑)さてどうなるやらなぁ〜」
(効果音:ドキドキドキ)
カナちゃん「でもな、シンジが想像しとる未亡人って、多分こんなんやろ?」
(モニターに、美人熟女タレントの画像がドーン)
なっちゃん「そーやそーや!!AV見過ぎやねん!未亡人って言ったら、こんな美形出すやろ?アホちゃうか!?(爆笑)」
カナちゃん「実際は、こんなんやろ?」
(モニターに、超ぽっちゃり初老オバハンの画像がドーン)
なっちゃん「うわぁぁぁぁ!!」
カナちゃん「いや、現実見よ!?未亡人て、"旦那さんを亡くした人"ってだけやからな!!美人の熟女って意味ちゃうからな!!」
なっちゃん「シンジ……ご愁傷様やで……(笑)」
カナちゃん「合掌〜〜(笑)」
(効果音:チーン)
(場面切り替え)
なっちゃん「ほな、ここで!今日の視聴者のみんなのリアクション、紹介していこかー!」
カナちゃん「きたきた!!」
【視聴者コメント】
<視聴者A>
「シンジ、絶対罠やろ(笑)!」
なっちゃん「ほんまな!!もう落とし穴掘られとる感じや!」
カナちゃん「忍者屋敷やで、シンジ!(笑)」
<視聴者B>
「未亡人=美人やと思ってるの草」
なっちゃん「松山帰ったら、そんな未亡人だらけやったら町中天国やわ!」
カナちゃん「ほんまやな!(爆笑)現実はな、スーパーのレジ並んどるオバチャンやで!」
<視聴者C>
「30万もらって50万払う未来しか見えないwww」
なっちゃん「借金増えて帰ってくるシンジ想像できるもん!」
カナちゃん「レベルアップした思ったら、呪われた装備やったってやつやな!!(爆笑)」
<視聴者D>
「ポォーーーーーッ!!が今日イチ笑った」
なっちゃん「ポォーーーーーッ!!(また叫ぶ)」
カナちゃん「汽車か!!(笑)」
(スタジオ大爆笑)
<視聴者E>
「与悦の業って聞いた瞬間、R18案件だと思った」
なっちゃん「いやもう、タイトルからアウトやろ(笑)」
カナちゃん「地上波ギリギリやな!(笑)」
(効果音:アウト〜〜)
なっちゃん「みんな、コメントありがとーーー!!」
カナちゃん「これからもどんどん送ってな〜!」
なっちゃん「以上、なっちゃんと!」
カナちゃん「カナちゃんでしたーー!!」




