フレッシュガスの川辺とシンジの変化
新東名高速、静岡県藤枝市を走行中──午後2時。
ミラVANのハンドルを握っているのは彩香。助手席にはすず。後席の床には、体育座りでポリ袋に囲まれてうずくまるシンジ。
彩香がつぶやいた。
「ねえ、ちょっとさ……トイレ行きたいんだけど」
「私も」とすず。「もう何時間も行ってないし……」
「そ、そうだな……だが……さっきみたいな目に遭ったらヤバいぞ……」シンジが不安そうに目を泳がせる。
「じゃあ何? このまま漏らしていいってこと? フレッシュの袋にぶち込んで、新たな爆淫香でも生成しろっての?」
「いや、それはダメだ!」シンジが即座に否定した。「あれは中から自然発生するもんで、外から加えたら事故なんだよ……濃度が!」
「もう限界なのよ、どうすんの? 漏らす気満々なの?」
「だ、大なのか? 小なのか? どっちだ?」
「どっちでもいいでしょ!? バカなの!?」
追い詰められたシンジは、グローブボックスをゴソゴソ探りながら決断を下す。
「……仕方ねぇ、高速を降りるぞ。サービスエリアは危険すぎる……下道で探すしかねぇ!」
──ミラVAN、藤枝岡部ICで高速を降りる。
しばらく住宅街を抜け、細い山道を走るも、公衆トイレはおろかコンビニすらない。
「ちょっともうヤバい……もう無理……」と彩香がハンドルを握りながら体をくねらせる。
「私、あと一滴も我慢できない……」すずの声も震えている。
「わ、分かった! もうトイレは無理だ! どっか人気のないとこで済ますしかねえ!」
「育ちが良いのよ私! そんなことできるわけないでしょ!」
「なら漏らせ! オレが見張っててやるから!」
「彩香、あそこ! 車停めれるわ!」すずが前方を指差す。
「もう……背に腹はかえられないわ……!」
彩香はミラVANを急停車させ、すずとともに勢いよく飛び出す。
ドアが開いた瞬間──爆淫香を含んだフレッシュエアーが一気に車内から解放される。山間に響く鳥たちの不穏な羽ばたき。爆風のような濃厚な女の匂いに、山の生き物たちが騒ぎ出す。
「おい、あの川のとこでできんじゃねえか?」とシンジ。道から少し下ったところに、苔むした石が並ぶ清流がある。
「ちょっとあんた、覗いたら殺すわよ」
「覗かねえって! 誠意で見張ってんだよ!」
「彩香、行こ」すずが彩香の手を引く。
「……紙はあるのかよ?」
彩香は赤面しながら車に戻ってくる。無言で手を伸ばす。
「あいよ。足りるのか? 多めに持ってけよ」
「足りるっての!!」
二人は川の方へ消えていく。シンジはその隙に草むらで自分も用を足す。
──10分後。
「……遅ぇな。女子のアレってこんなかかるか? いや、もしや……」不安に駆られ、シンジは川の方へ足を進めた。
「おーい! 覗きに来たんじゃねえぞ! ただの見張り確認だぞー! 匂いの残り香がこっちに流れてるから、多分この辺──」
──キャーーーッ!!
「ちょっとあっち行けぇーーーっ!!!」
叫び声。すずと彩香の悲鳴が森に反響する。
「な、なんだと!? 強姦魔か!? まさかこんな所に変質者が潜んでたってのか!? 冗談じゃねえぞ……!」
シンジが飛び出した先には──
猿の群れ。
しかも、10匹以上。全てオス。興奮状態。目は血走り、鼻息が荒く、キバをむいて、すずと彩香の周囲を取り囲んでいた。
「てめぇらッ! フレッシュガスに反応してんじゃねえよこのエテ公どもォォ!!」
シンジ、飛び蹴り一閃! 手にした枝をブン回しながら、猿どもに突撃する!
「さっさと失せろ! 女の命がかかってんだよッ!」
逃げ散る猿たち。山へ消えていく。
ガタガタ震えるすず。腰が抜けて座り込む彩香。2人の顔は青ざめ、涙で濡れていた。
「……大丈夫か? 見てねぇからな……」
「……ありがとう……」彩香が震えた声で呟いた。
「怖かった……猿……ホントに来ると思わなかった……」すずも泣きじゃくる。
「もう大丈夫だ。だが……用は済んだのか?」
「……まだ……」とすず。
「チッ……仕方ねえな。オレがここで見張ってるから、今度こそさっさと済ませちまえ」
数メートル離れて腰を下ろすシンジ。後ろを向いたまま、猿の気配を警戒する。
「終わったか?」
「……まだよ!」
「分かった分かった、早くしろ!」
──そして15分後。
「終わったわよ!」と、すず。
2人がようやく戻ってくる。衣服を整えながら、まだ泣き顔のまま。
「……さあ、行こうか」
ミラVANに戻る3人。道端に残る猿の足跡が、さっきの出来事の生々しさを物語っていた。
「もう……泣くなって……オレが運転するからさ」シンジが言う。「通報リスクは爆上がりだけどな」
後席に彩香を座らせる。彼女はポリ袋を抱え、そっと身を沈める。爆淫香がぷぅ……と漏れ出す。結び目が甘い。
「すず、助手席頼むわ」
すずも同様にポリ袋を抱え、疲れ切った顔で座る。爆淫香に顔を背けもせず、ぼーっとしている。
「……じゃ、行くからな」
シンジはキーを回し、再びエンジンを唸らせる。VANはゆっくりと山道を抜け、再び新東名高速へと合流する。
──走行中。
ちらりと助手席を見ると、すずはポリ袋を抱いたまま眠っていた。後席の彩香は、袋に顔を埋めたまま小さく寝息を立てている。
「おいおい……爆淫香をモロ吸いで爆睡かよ……大丈夫かお前ら……」
言葉にはしないが、シンジの目はどこか優しく、どこか切なげだった。
──東京まで、残り4時間。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
(オープニングテーマが終わって、スポットライトがふわっと灯る。ステージに立つのは、大阪弁可愛い系コメンテイターのカナちゃん、そして松山弁清楚系インフルエンサーのなっちゃん。ふたり並んで満面の笑み)
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カナちゃん「皆さん見てくれました?今夜のドラマ『爆淫ドライブ』!もうな、ウチらもリアルタイムで絶叫しながら観てたわ!」
なっちゃん「ほんまやで〜!彩香とすず、トイレ行きたいって…ほやけど、そりゃそーよ!生き物やけん!」
カナちゃん「ドラマで“尿意”とここまで向き合うとはな!まさかの感情移入ポイントやったで。ウチらも収録前とか、ちゃんと行っとるしな?」
なっちゃん「行っとる行っとる〜。ギリまでコーヒー飲んでまうんよ。胃腸緩なるんわかっとんのに〜!」
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カナちゃん「でた!フレッシュポリ袋!非常用トイレやないのに、使い方合ってるんかいな!」
なっちゃん「いや、“爆淫香”をそこに生成したら、そりゃ新たなステージやろ!進化系やん!もはやメガ爆淫香やわ!」
カナちゃん「しかもシンジが“どっちか”って聞くのやめぇや!興味本位やん、100パーセント好奇心の顔やったで」
なっちゃん「ほんで、高速降りて下道行くやろ?藤枝岡部やって!静岡もびっくりやわ〜!」
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カナちゃん「彩香とすずがギリギリ状態で車降りたとき、ウチはほんまに胃がキューッてなったわ」
なっちゃん「ほやけん、アスワンハイダムよ!?決壊一歩手前の緊迫感!それでもフレッシュは離さんのよ、この子ら!」
カナちゃん「猿出てくるねん!もう、あれホラーやで!鳥が“ギャアッ!”って飛び立った瞬間、心臓止まるか思たわ!」
なっちゃん「鳴き真似完璧やったわ、カナちゃん(笑)そのまま動物番組いけるわ!」
カナちゃん「彩香の“殺すわよ”出たー!あれ、今回3回目やったやろ?もう持ちネタやで」
なっちゃん「シンジ、トイレットペーパー一巻き持ってるのも笑うけど、それ渡して“足りるか?”って!どんだけ拭くねん!」
カナちゃん「爆笑やったわ〜」
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なっちゃん「でもさぁ、ここからちょっと感動してもうたんよね…」
カナちゃん「うん。彩香もすずも、泣いとったやん。サルにまで狙われて、精神的にもギリやってんな…」
なっちゃん「それを、シンジが静かに迎えに来るんよ。あの人、ほんまはエグい奴やのに、なんでか時々だけ…優しいんよなあ」
カナちゃん「“見てへんから早くスカート上げなよ”がほんまシンジすぎて…そこが逆にリアルやねんな」
なっちゃん「優しいな、シンジ…てなってもて…」
カナちゃん「絶対、通報フラグ立ってたけどな!」
なっちゃん「それな!!(笑)」
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カナちゃん「で、ふたりを車に乗せたら、もう爆睡よ!」
なっちゃん「爆淫香のポリ袋抱えたまんま!シンナー遊びか言うて!」
カナちゃん「爆睡と爆淫が重なって、爆×2やからな(笑)」
なっちゃん「ハリウッドでも撮られへんて、こんな情緒!」
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カナちゃん「さて、最後に!視聴者のリアクションも、どーんと紹介してこか〜!」
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【視聴者の反応コーナー】
「彩香とすずがフレッシュ持って森に消えてくシーン、笑い死ぬかと思った」
→ カナちゃん「それな!あれ、某ジブリのラストやないねんから!」
→ なっちゃん「“フレッシュの墓”やったなぁ…」
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「爆淫香がサルにまで効くとは思わんかった」
→ カナちゃん「さすが!ナチュラルボーン発情誘導香!」
→ なっちゃん「もうバナナの皮も寄り付かんかもしれんけん(笑)」
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「彩香の“殺すわよ”が回を追うごとに味出てきて好き」
→ カナちゃん「あれ中毒性あるねん!」
→ なっちゃん「“殺すわよ”Tシャツ作ったら売れそうやわ〜!」
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「最後の寝顔が可愛くて泣いた」
→ カナちゃん「わかるー!ええ子らやねん!」
→ なっちゃん「その分、次回の地獄に震えるけどな…!」
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(照明がフェードアウトし、ラストにカメラが二人の笑顔をゆっくりズーム)
カナちゃん「ということで、このスレッドでのトークはここまでやけど…」
なっちゃん「次のスレッドでも、ウチら暴れまくるけん、また見てや〜!」
ふたり揃って「ほな、またねー!!」
(エンディングテーマが流れる)




