命懸けの買い出し
新東名高速・浜松サービスエリア。時刻は12時半。
車は多いが、人の流れはまばら。昼食時で売店の中は賑わっているが、建物の裏手、駐車場を挟んだ自販機コーナーは人影がまばらだった。
その場所に、彩香の姿がある。
自販機の前に立ち、食料を調達中だ。
彼女は一人。シンジとすずはミラVANの中で待機している。
彩香は手にポリ袋をぶら下げながら、眉をひそめる。
彩香「パンに、アイスに、お菓子…ちょっと、まともなもんないの?ていうか、なんで私が買いに来るのよ…!」
ぶつぶつ言いながらも、それぞれの自販機を巡ってポチポチと購入ボタンを押していく。
風が吹き抜ける。春の風はまだ涼しく、軽くノーパンのスカートの中に忍び込むような感覚が走る。
彩香「…あー、スースーする。ちょっと、これ、いつまでこの状態でいなきゃいけないのよ…」
彼女の太ももから腰、下腹部をなぞるように風が流れ、その風は彼女に染み込んだ“いい匂い”を乗せて浜松サービスエリアの敷地内へと運んでいった。
すると――。
売店の前で立ち話をしていた男達の表情が、一変する。
男A「おいおい、なんだこのエロってる匂いはよ!」
男B「え、今俺だけ?なんか…甘いっていうか…ムラムラする匂いしてね?」
男C「おい見ろよ、自販機の方から風が来てるぞ。あそこに…あのねえちゃんだ!」
男たちは、その匂いの出どころに視線を走らせる。
見つめる先には、スカートの裾を抑えながら、飲み物の自販機に手を伸ばしている彩香の後ろ姿。
男A「間違いねえ、あれだ…あの女から出てんだよ!」
3人の男は、まるで嗅覚に引き寄せられた野犬のように、彩香へと近づいていく。
手にお菓子とパンの袋を抱えたまま、彩香は不意に気配を感じて振り返る。
男B「こんにちは、お姉さん。いっぱい買ったな〜?それ、持ってやろうか?」
彩香「……けっこうです。自分で持てますんで。」
男C「いやいや、遠慮すんなって。つーか、俺らさぁ…もう我慢できねえくらい、ムラムラしてんのよ!」
彩香「……何言ってんの?変な匂いなんて知らないし、私じゃないってば」
だが、男たちは彩香の言葉など聞いていない。
男Aはぐっと接近し、彩香の身体のすぐ横に鼻を近づけ――。
男A「くんくん…スゲェ!!何だこの甘くてエロい匂い!!どう考えてもあんたからだよ!間違いねえ!!」
男B「マジかよ、どれどれ…うぉぉぉ!!うひょーー!!もはや合法ドラッグだなこれは!!」
男C「この匂い…このミニスカの中から出てんのか?!中に何か仕込んでんのかおい!」
彩香の心に緊張が走る。
彩香(心の声)「ちょっと…そこだけはダメ…!絶対ダメ!!」
彩香「や、やめてよ!警察呼ぶわよ!」
男A「サツを呼んだらサツまで勃っちまうかもなぁ!はははっ!」
そのやり取りを、駐車場の端にいたシンジが見ていた。
ミラVANの影から、顔を半分だけ覗かせる。
シンジ「やべぇ……こんなことになるとは、誤算だ。すずは助手席に座っちまったし、俺、席後ろだから運転できねぇし…。頼む、戻ってきてくれ…!」
その頃、彩香は抱えきれないほどの袋を持ちながら、自販機のエリアからミラVANへと急ぎ足で戻ろうとしていた。
だが、足元からパンがポトンと落ち、さらにお菓子が転げる。
男A「おっと、落とし物だぞ〜。この中に俺の欲望も詰め込んでやろうか?」
彩香「触んないでってば!!触ったら殺すわよ!」
男A「殺されるなら本望だわ〜!あんたに絞め殺されんなら、今日死んでも悔いなし!!」
男B「なあ、そんなに冷たくすんなって。ちょっとだけ嗅がせてくれよ!な?マジでお願い!」
男C「そうだよ〜!もうちょっと、なぁ!?あとちょっとでいいからよ!」
ミラVANまではあと十数メートル。
その瞬間だった。
バンッ!!
助手席のドアが突然開き、すずが車内から勢いよく飛び出してきた。
その手にはパンパンに膨らんだポリ袋がある。
すず「喰らえっ!!爆淫香ーーッ!!!」
袋の結び目を一気に引きちぎり、渦巻く中身を男たちに向かって思い切り押しつぶす――!
ブオォッ!!
中から噴き出す、濃厚で粘性のある爆淫香。
フレッシュが熟成され、ポリ袋内で100%の濃度に濃縮された空気。それが三人に直撃した。
男A「うわもあ〜〜〜〜〜っっっ!!」
男B「あひゃ〜〜〜〜んっっ!!」
男C「ぬぽおぉぉぉ〜〜〜〜んっ!!」
3人は目を剥き、身体をくねらせながら、言語として成立しない声を発し、地面に崩れ落ちた。
シンジ「よしっ!今だ!乗れ!!」
彩香は運転席に滑り込む。
シンジ「行け行け!彩香!!」
彩香「MT車って…やっぱり慣れないわ!!」
クラッチとギアがうまく噛まず、エンスト。
グルルル… ウシャシャシャ…
地面に倒れていたはずの男たちが、体を起こしていた。
目は虚ろで、よだれを垂らし、身体が痙攣している。
シンジ「やべえぞ……完全にゾンビ化した……!」
彩香「わかってる!!今度こそエンジンかけるわよ!!」
ミラVANのボンネットに、ゾンビの手が伸びる。
シンジ「急げええええええ!!!」
エンジンがようやくかかり、ホイルスピンを起こして走り出す。
タイヤが鳴き、ゾンビが滑り落ちる。
シンジ「40km/hくらいしか出ねえな、あいつら……よかった、撒ける!」
後方でゾンビたちが手を伸ばしながら、徐々に遠ざかっていく。
車内に、安堵と緊張が入り混じる沈黙が流れた。
彩香「……報酬、5万上乗せよ……」
唇を震わせながらも、彩香は気丈に前を向いていた。
だけどその目は、少し潤んでいた。
シンジ「あ、ああ……悪かった。怖かったよな。ほんと、悪かったよ……」
後部座席のフレッシュ袋に身を沈めながら、シンジが申し訳なさそうに言う。
すず「……ごめん、彩香……」
彩香「いいのよ……無事だったんだから。それより、食料は買ってきたわよ……」
彩香の手の中には、しっかりとパンとアイスとお菓子の袋。
その脚の奥はまだ、スースーしていた。
シンジ「もう……もう二度と、危ない目には遭わせねえよ。ほんとに、ごめん……」
彩香「……暗くならないでよ。私は平気だから。ただ、ちょっとスースーするだけよ」
前方には、静かな高速道路が続いている。
シンジはその横顔を見て、これからの道のりに、責任というものを感じていた。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
(スタジオセットには、ピンクとミントグリーンのソファ。カメラが回ると、なっちゃんとカナちゃんが拍手しながら登場)
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カナちゃん(大阪弁)
はーい皆さんこんにちは〜!今回も始まりました、「なっちゃん・カナちゃん」のアフタートーク!
なっちゃん(大阪弁)
今夜のドラマ、もうさぁ……泣いたやんな!?叫んだやんな!?笑ったやんな!?
情緒が、えらいことやでホンマ。
カナちゃん
なっちゃん!あのな、彩香ひとりで買い出し行ったくだり、もう最初からフラグ立ってたやん?
自販機しかない!って、何買うねん!
なっちゃん
あれもう、買い出しちゃうよね、「運命とのチキンレース」やけん!(松山弁出た)
カナちゃん
出とる出とる〜松山弁、早いって!
てか「スースーする…」って発言、はい出ました名言タイム〜!!
なっちゃん
あれ男性視聴者、正座して聞いてたらしいけん!ネットで「スースー警察」が出動しとったで!
カナちゃん
風がな、男らのほう行くやろ?この流れ、もうホラー映画でいうとBGM変わるやつや。
そっから出たやろ?ガラ悪い連中。完全に「北斗の拳」のモブキャラ!
なっちゃん
一人ずつに名前つけたいくらいクセ強かったけん。「男A」なんてシンプルすぎるやろ、「地獄のタッチ職人A」とかにしてほしかった!
カナちゃん
「ちょっと触らないで!」のセリフ、彩香めっちゃ強かったよな。でも怖かったんやと思うわ…
スカートの下ノーガードで、もうヒヤヒヤやったわ!!
なっちゃん
そのときの男Aの台詞、ほんまゲスの極み乙女やけん!いや、「乙女」は要らんのよ、君らに花は咲いてへんのよ!
カナちゃん
あとな、「俺の欲望も落とし物に混ぜたるか」って、もうそれ拾ったら警察呼ぶわ!!
なっちゃん
拾得物ちゃう、心のゴミやけん!
カナちゃん
ほんでさ、彩香の「殺すわよ」も出たやろ!?あれカッコよかったな〜!
でも男らには効いてない!むしろ喜んでる風あった!
なっちゃん
「殺されるなら本望」って、人生の方向間違いすぎやけん!どこで育ったらそうなるん?
カナちゃん
もうちょっとでミラVAN戻れる!てとこで出ました、すず姉さん!!
なっちゃん
あの袋な、核兵器よりも強力って紹介、笑ったんやけど、マジで威力あったわ。
爆淫香噴射ーーーッ!!かめはめ波か!てなったけん!!
カナちゃん
直撃やで。男たち、一瞬で魂抜けてたもん。
でもさ、「終わった」やなくて「始まった」って、ゾンビなって戻ってきたの草すぎたわ!
なっちゃん
あれもう、「生き恥アップグレード」やけん!!
カナちゃん
そのあとの彩香よ。泣けるやろ…?
あんな怖い思いしたのに、報酬5万上乗せってジョーク飛ばすって、プロの芸人でも難しいで?
なっちゃん(松山弁強め)
身を挺したギャグよ!ギャグのためにスースーしとったんよ!もう泣けるけん!!
カナちゃん
シンジもなぁ、ちょっとクズから「ちょっとマシ」にランクアップしてたな。
なっちゃん
「Eランクのクズ」から「Dランクのちょっとクズ」に昇格やけん、ほんま少しやけど進歩よ!
カナちゃん
彩香がちょっと泣いとるの見て、シンジが「悪かった」言うた時、
なんやろ、ちょっとだけ心動いたで…
なっちゃん
ケンカしてても、命張ったら仲間になる法則!バトル漫画の友情回か思うたけん!
カナちゃん
泣けるし笑えるし、感情めっちゃ詰め込まれた神回やったわ〜!
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(ここで「視聴者リアクション特集」コーナーへ)
なっちゃん
ほなここで!視聴者のみんなの反応、読み上げていこか〜!
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視聴者:@susu_fanboy01
「彩香ちゃんのスースー発言、8回巻き戻して聞いた。神の一言。」
カナちゃん
巻き戻しすぎや!それもうスースー中毒やで!
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視聴者:@nekopan_z
「シンジ、クズ界のダークホースから、人間に進化してて草。」
なっちゃん
それ褒めてる?けんど進化は進化よな!ポケモンで言うたら、コイキングからギャラドスの0.1歩手前やけん!
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視聴者:@pekopeko1129
「すずの爆淫香、商品化してくれ。寝不足の日に使いたい。」
カナちゃん
使ったら会社クビやで!?電車で使ったら人生終わるで!?
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視聴者:@ayaka_love4ever
「彩香ちゃん、泣いてたのにスースーで笑わせてくれてありがとう。あんた強すぎるよ…」
なっちゃん(松山弁)
ほんまそれなんよ…泣きながらスースーて言える女、世界中探しても彩香しかおらんけん!
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視聴者:@shinji_yurusana
「シンジが変わりかけてて悔しいけどちょっと嬉しい。なんなんそれ。」
カナちゃん
視聴者まで葛藤してる!シンジの罪深さよな!
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視聴者:@ayakaism_best
「彩香が“殺すわよ”って言った瞬間、うちの心臓が止まった。惚れてまうやろ!」
なっちゃん
それもう恋やけん!殺意=愛情の時代、来とる!?
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カナちゃん
いや〜視聴者の感想もおもろかったなぁ!
なっちゃん
笑って泣いて、情緒ジェットコースターやったね!
カナちゃん
次回はどうなるんやろな〜?シンジ、もっとええやつになるんかな?
それともまた裏切るんかな?!
なっちゃん
どっちでもええけん、彩香はもうスースーせんでええようにしてあげてや〜!!
(エンディングテーマと共に、二人が手を振って締め)




