彩香のフレッシュ
新東名高速 岡崎東IC付近 11:15。
突如、道路が止まった。原因は事故でも渋滞でもない。
それは、濃厚にして強烈な“フレッシュエアー”の香りを嗅ぎ込んだ変態ゾンビ達が――ミラVANを四方から取り囲んでいたからだった。
「ちょっと……どうするのよこれ、もう……動けないじゃない!」
すずの声は震えていた。恐怖と焦燥と、そして強烈な芳香に包まれながら。
「そ、そうだ……!」彩香がポンと膝を打つ。
「このフレッシュ! これを投げれば、アイツらこっち見なくなるはず……!」
彼女がポケットから取り出したのは、布地の薄れたレースの愛の織布。そう、これは元々シンジの“保険”として、彩香が“人質”のように持たされていた代物。
しかし、後部座席からシンジの叫びが飛ぶ。
「ダメだ! そいつは任務用のフレッシュなんだよ! 1枚でも足らなきゃ、報酬ゼロになっちまうんだ!」
「じゃあどうすんのよ!?」
彩香がキレ気味に振り返る。フロントガラスの外には、汗ばんだ額をこすりつけるゾンビ男。鼻孔を膨らませ、ガラスに舌を這わせる姿は、もはや理性のかけらもない。
そのとき――。
「……あった!」シンジの目に、どこか薄汚れた輝きが灯る。
「おい彩香。お前のフレッシュを投げるんだよ」
「……は? 私の?」
「そうだよ。お前、さっきから冷房効いてない車内で汗だくだろ? 絶対旨いって、アイツら。ハイエナみてえに食らいつくぜ」
「ふざけんじゃないわよ、なんで私がそんな――」
「すずは運転してんだ。他に誰がいんだよ。な? お前にも報酬分けてやっからさ」
彩香は唇を噛んだ。スカートの中の自分の愛の織布が、ほんのり体温を帯びているのが分かる。確かに“出来立て”だ。
「……いくらよ?」
「え?」
「アンタの報酬、いくらもらうのよ?」
「ひゃ……100万だよ」
「じゃあ全部寄こしなさい。それでやってやるわ」
「お、おい! ちょっと待て! 全部って、お前、それじゃオレ赤字じゃねえか!」
「文句言うならやらないわよ!」
「うう……わ、分かったよ! 50万! 半分! それで頼むよ!」
シンジの顔には冷や汗と、ちょっとした後悔がにじむ。
「チクショウ……最初に20万って言っときゃよかった……」
彩香は大きく息を吐いて覚悟を決めた。
「……分かったわ。50万、約束よ。裏切ったら、ホントに殺すから」
「裏切らねえって! 早くしろよ! ゾンビ、もうドア叩き出してるぞ!」
助手席の彩香は、渋々スカートを持ち上げ、もぞもぞと中で手を動かす。
「……見んなよ。アンタ、1ミリでも見たら殺すわよ」
「見ねえって! 信じろって! 目ぇ閉じてんだよ、ちゃんと!」
数秒後、彩香の手から渡されたそれは――湯気すら感じさせる温もりをまとっていた。
(……おぉ、まだ……ぬくい……)
シンジの心が一瞬、任務を忘れかける。
(ああ……もったいねえ。でも……今はこいつらを撒くのが先だ)
「ほら喰えぇぇええ!!」
後部座席の小窓を一気に開け、彩香のフレッシュを外に投げ捨てる。
ぶわぁっと立ち上がるフレッシュガス。ゾンビたちの鼻孔が一斉に震える。
「来た……!」
一体、二体……いや、五体、十体。全方位から襲っていたゾンビが、彩香の愛の織布に向かって雪崩のように群がる!
「うわあああ! まるで……秋の防波堤で、釣り餌のオキアミに群がるアジじゃねぇか!」
シンジが叫ぶ。
彩香がフロントガラスを見て指差す。
「あそこ! 右側の路肩、抜け出せる!」
「すず! 今だ行け!!」
「分かった! 掴まってて!!」
すずがステアリングを切り、ギリギリのスペースをミラVANが滑り抜ける。ガタガタと縁石を乗り越え、衝突しかけた車をかすめ、加速――
「よっしゃあああああああ!!」
シンジが絶叫する。
「撒いたぞ……やったぞオレたち……!」
後部座席で、息を切らしながら彩香が一言。
「……スースーするわ。責任とれこの変態」
この瞬間、スースー=ノーパンという、このドラマのキラーワードが生まれる。
「え、いや、それは……」
バキィッ!!
拳がシンジの頭に炸裂する。
「イッテェ! グーで殴るか普通!? あぁ、髪の毛抜けたかも……!」
シンジは後部座席の床に転がり、スネるようにうずくまった。
それでも、命拾いはした。ミラVANは事故現場を超え、がら空きの高速を東京へと向かって走り出す。
だが、こんな一件で終わるような運命ではない。
18:00。あの“約束の時間”は、刻一刻と近づいているのだ――。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
【番組タイトル:なっちゃん・カナちゃん】
(今夜もトークスタジオから生放送)
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カナちゃん(大阪弁・可愛い系)
「ちょちょちょ……もう、今回の回、ヤバない!? アホすぎて笑い止まらへんかったでほんま!」
なっちゃん(松山弁・清楚系インフルエンサー)
「ウチ、笑いすぎてお茶吹いたわ……しかもフレッシュのとこで……吹くとこちゃうのに!」
カナちゃん
「もう最初の“おい彩香、お前のフレッシュを投げろ”って……なんやねん!どこ投げんねん!それ!」
なっちゃん
「穿いとるやつやろ……“えーっ?”てことはよ、脱ぎ脱ぎせなアカンのよ!!もう、初手から犯罪スレスレやけん!」
カナちゃん
「やってること、ゾンビよりヤバない!? しかも“激烈プレミアフレッシュ”って……なんやそのブランド名。伊勢丹でも売っとらんぞそんなもん!」
なっちゃん(だんだん松山弁が出てくる)
「しかもな、蒸し風呂の車内で10袋分の“極上フレッシュエアー”吸い込んどんよ? これはもう、天然記念物級やけん!」
カナちゃん
「価値で言うたら、フェルメールの絵の裏に貼ってある札束くらいのレベルやろ!!」
なっちゃん
「シンジもよー値切ったなぁ。“百万円よこせ”言われて“うーん……20万くらい?”って、どの口が言うんよ!」
カナちゃん
「しかも、細〜い隙間から見ようとするの、せっこ!! “見たら殺す”言われてんのに、見ようとしてるやんシンジ!!」
なっちゃん
「見たら殺す、ってセリフがあんなに正義感に溢れとったこと、ある!? 彩香、ジャンヌ・ダルクか思うたわ!」
カナちゃん
「で、とうとう渡すんよな……あの屈辱のフレッシュ。そん時のナレーション、“湯気すら感じさせる温もりをまとっていた”やで!?」
なっちゃん
「やめて!やめてぇ!その一文だけでもう年齢制限かかるけん!!」
カナちゃん
「“おー、まだ……ぬくい”って、シンジお前それ言うなって!言った瞬間、全国の視聴者がチャンネル変えたわ!!(笑)」
なっちゃん
「でもな、嗅がんと投げたのは偉い!嗅いだらほんま人間終わっとるけん」
カナちゃん
「ゾンビが群がるシーン、“秋の防波堤でオキアミにアジが群がる”って! 実況おるんか!?」
なっちゃん(興奮MAXで松山弁)
「アジどころか、海老、鯛、ハモ、全部寄ってくるレベルよ!!あれは爆淫香の力やけん!」
カナちゃん
「で、最後の“スースーする”ってセリフ……なに!?ノーバン始球式なん!?てか、どこがスースーしとるか聞いたらアカンけど!!」
なっちゃん
「うちはな、あのセリフ聞いた瞬間、全ての愛の織布に敬意を持ったけん。地球守っとるであれ!」
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なっちゃん(エンディングトーク)
「ほな、視聴者さんからの反応もドッカーンと紹介していくよ〜!」
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【視聴者コメント①】
「彩香の“おぉ、まだ……ぬくい”で、画面殴りそうになった!シンジお前ほんま、来世は雑巾になれ!」
カナちゃん
「ほんまそれ!来世は脱水かけられて終わってまえ!」
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【視聴者コメント②】
「フレッシュエアー、言い方美しすぎて逆にヤバい。濃密な香りが言葉だけで伝わってくる……」
なっちゃん
「“香りの暴力”って言葉、今日ほど似合う日ないけん!」
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【視聴者コメント③】
「“裏切ったら本当に殺すから”がマジの迫力で怖かった。彩香、たぶん二重人格。」
カナちゃん
「メイン人格が“織布警備隊隊長”やったんやろな!」
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【視聴者コメント④】
「ゾンビがアジって例え最高。今度から釣りのとき思い出して笑ってしまうやん!」
なっちゃん
「堤防で笑ろたら落ちるけん気をつけて〜!」
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【視聴者コメント⑤】
「愛の織布が世界を救う、そんなドラマでした。涙出ました」
カナちゃん
「美しい言葉使ってるのに中身が変態なの、最高やな!!」
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なっちゃん
「ということで、次回も激烈プレミアなトークで攻めていくけんね!」
カナちゃん
「ほなみんな、来週も“ぬくい”夜を楽しみにしといてやー!」
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(提供:爆淫香製造組合)




