ゾンビ化
東名高速 岡崎サービスエリア 10:45
うだるような日差し。蒸し返すような湿度。
空調が死んだミラVANの車内は、もはや人体実験レベルの地獄のサウナと化していた。
ガソリンスタンドの給油レーン。その静寂を破って、ゆっくりと滑り込んできたのは、まさに限界ギリギリのミラVAN。
エンジンは完全に沈黙。タイヤは転がるだけ。
そしてその後部から、目には見えないが、鼻腔を直撃する“それ”が――。
「おーい、どうしました?」
制服姿のガソリンスタンド店員が、ゆるゆると近づく。
彼の鼻孔が、ミラVANから漏れ出る”濃密な芳香”を捉えた、その瞬間だった。
店員(心の声)
な、なんやこれ…!?この…濃厚な甘さとスパイスの暴力…!女の匂いや!汗とフェロモンの合奏やんけ…!え、こっちの姉ちゃんも?…た、たまらん…
「は、はい!押します押します!ハンドルは頼んます!」
すずは蒸し風呂の中から大声で叫ぶ。
すず
「ガス欠なんです!お願いします、早く!」
店員は、興奮と眩暈を覚えながら車体の後ろに回り込む。
そこにはさらなる暴力が待っていた。
店員(心の声)
うおぉぉっ…後ろからも来とる!ムンムンや!車のケツから香りがブーストしとるやんけ!おいおい、これ…なんの罰ゲームや?俺、幻覚見てへんよな?
ミラVANはようやく給油レーンに到着。汗だくのすずと彩香が、車内から放心気味に外を見ていた。
「レ、レギュラー満タンでええっすか?…お、お支払いは?」
床に隠れていたシンジがひょこり顔を出し、すずに小声で指示する。
シンジ
「おい。金はこれだ。窓は開けるな。お前が外に出て払え。ドアはマッハで開けてマッハで閉めろ。窓ほど空気は漏れねえ。だが開けっぱなしにしたら終わりだぞ」
すず
「ちょっと!こんなムンムンで外出たらあの店員に襲われるんじゃない!?責任取ってよね!?」
シンジ
「大丈夫だ。俺が守る。たぶんな…」
すず(叫ぶ)
「現金で!」
給油中、店員はフロントガラスを拭きながら、汗まみれの車内を覗き見る。
視線が明らかに“香りの元”に吸い寄せられていた。
すず
「ちょっと見て!あの店員、フレッシュガスで完全にキマってる!目がトロンとしてる!ウォーキングデッドのゾンビやん!」
シンジ
「ムラムラしてるだけだろ、多分…いや確実に…やべえな」
「5555円です…」
店員がふらふらと戻ってくる。目はうつろ。
涎が一筋、口角から落ち、地面に糸を引く。
店員(三河弁で)
「アリガトウゴザイマス…オツリデス…グフフフ…」
その瞬間、すずの手をガシィッと掴んだ。
すず
「いやーーっ!!」
シンジ
「おい釣りはいい!早く乗れ!!彩香!ドア開けろ!!」
バタンと開いたドアから、爆発的なフレッシュガスが車外に放たれる。
店員はその空気を吸った瞬間、のけ反り、両手を広げて天を仰いだ。
店員(三河弁)
「グオオォォー……オレ…イマ…シアワセ…」
彩香
「すず!!今しかない!!早くっ!!」
すずは店員の手を振り払って、車内に滑り込む。
シンジ
「エンジンかけろ!!全開だ!!」
キーを回すすず。
「プルルルル…プルルルル…プルンッ!」
ようやく目を覚ますエンジン。
彩香
「早く発進して!!アイツ追ってきてるわ!!」
すず
「ロー!入れるわよ!!」
クラッチを踏み、ギアをローへ。
ミラVANが地鳴りとともに急発進!
キキキキキキッ!!!
車体が唸りをあげる!
それでも追ってくる店員!
完全に正気を失っていた!
彩香
「ちょっとちょっと!!アイツ60km/hでも追いついて来るわよ!!」
すず
「うそでしょ!?こっちは全開よ!!」
シンジ
「もっと踏めッ!限界までいけ!!この車ごと天に召されてもいい!!」
――こうして、東名岡崎サービスエリアを舞台にした、フレッシュエアー逃走劇は佳境へ。
シンジたちの運命やいかに……!
(つづく)
◾️◾️◾️◾️◾️
ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
【番組名:なっちゃん・カナちゃん】
~のぞゆうシリーズ特別枠「エロゾンビ回」完全レビューSP!~
(軽快なジングル)
なっちゃん(松山弁交じり)
「みんなーーっ、見たかね!?あの店員よ!最初はフツーの爽やか青年やったのに、フレッシュエアーひと嗅ぎで人格崩壊よ!?目がギラギラしだして、もう“オードトワレでゾンビ化”の瞬間よ!」
カナちゃん(大阪弁)
「いやほんま、あのシーン鳥肌立ったで!もう完全にウォーキングデッドやん!てかゾンビゆうてもアレ、“股間が歩いてくる”タイプのゾンビやろ!?(笑)」
なっちゃん
「でね!でね!あの汗だくのすずちゃん見て、もう店員、焚き火に薪くべられたみたいにボンッ!て火ついてたやん!?」
カナちゃん
「わかるぅ!あの瞬間の店員の目、『これ以上近付いたらあかん』て画面から言うてたもん!でも払わな逃げられへんし、命がけのガソリン代精算劇場やったわ!」
なっちゃん
「でもすずちゃん、よー出たわあ外!あれ見て私三重のリケジョ・すず”って名付けたもん!」
カナちゃん
「なんでやねん(笑)」
なっちゃん
「爆淫香って科学やん?成分出てるやん?あのドア開け閉めのスピード、研究者レベルの精密動作やで!ほいで結局店員に手掴まれてもうて!」
カナちゃん
「もうその瞬間、私『釣りはいらん、身体が大事や!』って叫んでもたわ!!」
なっちゃん
「で、エンジンかからんのもまたお約束やけど!あれ、「エロホラーあるある」選手権で金賞取るやつやけんね!」
カナちゃん
「でもな!走ったら走ったで、60km/hで追いかけて来るって何やねん!?店員、爆淫香ドーピング世界記録保持者やん!」
なっちゃん
「マジで!100m6秒って…ウサイン・ボルト泣いとるでぇ!ほいでもうちょいで追いつく言うた時、彩香ちゃんの顔、冷凍うどんより固かったわ!」
カナちゃん
「ようやく撒いたと思ったら、今度は渋滞やで?あれ、“エロ神様の嫌がらせ詰め合わせセット”や!」
なっちゃん
「もうなぁ…最後の最後まで付き合え言うたシンジ、あの言葉の後にハッとして妄想膨らませるの、“自己中エロ坊主界のポエマー”やけんな!」
カナちゃん
「ギヒヒヒ言うてるのキモいっちゅうねん!(笑)んでな、渋滞の中でまさかの…後ろからまた来るやん、ゾンビ店員!」
なっちゃん
「なぁにぃ!?10kmは走ったやろ!?あれはもう“エロゾンビ界の箱根駅伝”やけんね!」
カナちゃん
「しかも周りのオッサンらまでミラVANに向かって歩いてくるとか、フレッシュエアー版“28日後”や!!」
なっちゃん
「いやほんま。フレッシュエアーって自然物やけど、ドーピング検査対象にせなあかんて!」
カナちゃん
「WADA呼んでこなあかんわ!(笑)」
(BGM:ちょっとしんみりめのBGM)
なっちゃん
「ここで、視聴者からのコメント読もか」
(ピコーンという効果音)
視聴者コメント(なっちゃん読み)
「“フレッシュガスであんなに豹変するとは…うちの旦那もたまに下着干してるだけで様子おかしいです”」
カナちゃん
「わかる!お風呂上がりの洗濯カゴ見て“ハァ…”ってなってたらそれゾンビ一歩手前や!」
視聴者コメント(カナちゃん読み)
「“すずちゃんのドア開け閉め、スパイ映画やった。あの速さでご飯よそってほしい”」
なっちゃん
「それな!お弁当屋さんに就職してもバズるで!」
視聴者コメント(なっちゃん)
「“爆淫香吸った店員が走ってくる時、完全に人間辞めてました”」
カナちゃん
「それや!!あれ“人間卒業式”の瞬間やった!!」
視聴者コメント(カナちゃん)
「“周囲のオッサンもゾンビ化とか、街が丸ごとフレッシュ感染ゾーン…”」
なっちゃん
「いや、もうそのうち『緊急速報・関東一帯が爆淫香汚染区域に!』ってテロップ出てもおかしくないけん!」
カナちゃん
「最後に一言ゆうとくわ…このドラマ、のぞゆうシリーズとは思えんホラーの斜め上いってる!!」
なっちゃん
「うちら、今日で“爆淫香芸人”名乗らせてもらうけんなーっ!!」
(スタジオ笑いと拍手)
(ジングル)
次回予告:
「激突!サービスエリアで待ち受けるアイドルグループのフレッシュとは!?次回、“Perfume香る地獄絵図”!!」
(提供:パンティーム株式会社)




