彩香とすずの作戦
―東名高速・豊田東IC付近 9:45AM―
ミラVANは高速を東へ、東京へと向けて疾走していた。
ドライバーズシートには、すず。無駄な会話を挟まず、キリッとした横顔のまま、アクセルを一定のテンションで踏み続けている。
その横で、助手席の彩香は不機嫌そうに腕を組み、膝の上に載せた大きなポリ袋を睨みつけていた。
その袋の中には、芸能界の極秘レベルで厳選された数十人の“フレッシュ”。
未洗濯、未開封、密封熟成。
その濃厚すぎる「愛の織布」の香りが袋の内部からじわじわと漏れ出し、車内を甘く、淫らに、そしてむせ返るような濃密な空間に変えていた。
助手席の彩香が、ハンドルを握るすずに声をかけた。
「……ねぇ、すず。あいつさ、もうどっかで降ろそうよ。失神したまま転がってるし、どうせ役に立たないじゃん」
彩香の目は鋭く、言葉には刺があった。
彼女にとってシンジは、もはやただの不良債権のような存在。
だが、すずは首を振る。
「ダメよ。アイツ、名古屋港まで私たちを追ってきたのよ?一回逃げた相手に、また捕まったら……今度は命ないかも」
言いながらも目は前方の道路から逸れない。だが、その口調はわずかに震えていた。
すずの想像の中で、あの悪夢のような追跡劇がフラッシュバックしていた。
彩香は眉をひそめた。
「……まぁ、たしかに。あんとき、マジで殺気立ってたし」
口に出すだけで、背筋に冷たい汗がにじむ。
だが、ふと別の不安が胸をよぎり、彼女はすずに詰め寄る。
「でもさ……また襲ってきたらどうすんのよ?神戸からずーっと開けてなかった“ヴァージン爆淫香”も、さっきの一撃で使い果たしちゃったわけでしょ?」
(※ヴァージン爆淫香=神戸を出発してから未開封のポリ袋内で、絶対純度のまま熟成されたフレッシュの禁断の芳香)
すずは少し考え、目を細めて、助手席にある袋の一つに手を伸ばした。
「こうするのよ。この袋の中から、いくらか“フレッシュ”を抜いとくの」
「……抜いとく?」
「そう。で、アイツがまたムラムラして襲ってきたら、“これ窓から捨てるわよ”って脅すの。任務は“全てのフレッシュを届けること”。一枚でも足りなかったら、契約不成立よ」
彩香の表情がぱっと明るくなる。
「……なるほど!それ、いいね!」
すずと彩香は頷き合うと、手早くポリ袋を開封。
中から厳選された“フレッシュ”数枚を指で摘まみ、手際よくポケットへ滑り込ませる。
袋を閉じた瞬間、車内に濃密な甘い香りがふわりと拡散し、二人とも思わず鼻をすんと鳴らす。
「……っく。やっぱ、ヤバい匂いだわ。こんなん吸ってたら頭おかしくなる」
「アイツはそれを、フルチャージで吸い込んだのよね……」
ポリ袋を見つめる二人の視線の先。
後部座席――いや、正確にはその床。
そこに横たわるのは、悶絶と快楽の果てに昏睡した哀れな男、シンジ。
両目を閉じ、白目をうっすらと覗かせながら、口元には涎の痕跡。
その身体が――ピクリと動いた。
「……!」
彩香が身を乗り出し、すずもサイドミラーに視線を走らせる。
「ちょっ……動いた?!」
「起きるかも……」
ごくり、と二人同時に喉を鳴らす。
やがて――シンジがうっすらと目を開け、唇をぺろりと舐める。
彼の表情は、桃源郷の住人そのものだった。
「あぁ……なんて気持ちいい夢だったんだ……」
そして、床に寝転がったまま両手を上げ、背中を弓なりに反らして、ぐーっと伸びをした。
「ふぅあああ~~~……極楽ぅ……」
その顔には満面の笑み。
夢の内容は言わずもがな、爆淫香の中で天女に抱かれる幻覚を見ていたに違いない。
助手席の彩香が、眉間にシワを寄せて囁く。
「……まだ夢見てんじゃないの?」
すずはフッと鼻で笑いながらも、いつでも袋を窓から放り投げる準備を整えた。
戦慄の東京フレッシュ大戦、いよいよ幕が開く――。
(つづく)
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
《テーマ:「爆淫香で目覚めし野獣」回を斬る!》
(オープニングジングルが終わり、スタジオのソファに並んだなっちゃんとカナちゃんが、満面の笑みでカメラに向かってお辞儀する)
カナちゃん「さぁ、ということで始まりました!『なっちゃん・カナちゃん』のフレッシュレビュー!」
なっちゃん「やっとや、ほんまに!みんな待ってくれとったよな?ごめんな、脱線しまくってて」
カナちゃん「ホンマ長かったよな?下手したらフレッシュが発酵しきってスーパーフレッシュなるとこやったで!」
なっちゃん「そしたらもう食卓に出せるレベルよ?“発酵”ちゃうねん、“反抗”やで、話の構造が!」
(バシン!とカナちゃんがなっちゃんの膝を叩いて笑う)
カナちゃん「でもな、ほんまちょっと話ズレとったよな!視聴者のみんなも『え、すずと彩香ってシンジの仲間ちゃうの?』って思ったんちゃう?」
なっちゃん「ちゃうちゃう!そこ重要よ!あれはな、すずと彩香がフレッシュ騙し取って、ブローカーに売りさばこうとしたんよ!」
カナちゃん「で!シンジが『返せワレェ!』ゆうて取り返して、んで今運転させてるだけやねん!」
なっちゃん「そやそや!脅してるっちゅうても『パンティ捨てるぞ!』の一点張りよ!?どこぞの優良企業よりフェアな交渉やろ!」
カナちゃん「それも十分凶悪やけどな!」
なっちゃん「ほんまそれな!“爆淫香使って気絶させて運転奪還”て、もうドラマちゃう、人間型サブウェポンやけん!」
(テンションが上がり、松山弁に突入)
カナちゃん「あー出た出た!なっちゃん松山戻ってもうた!」
なっちゃん「うち興奮したら愛媛帰ってしまうんよ〜!許してつかあさい!」
カナちゃん「でも視聴者混乱しとったもんな〜。途中で『あれ、これ友情ロードムービーちゃうん?』って思った人もおったで」
なっちゃん「せやけど違うんよ、これは“悪人三つ巴ロードファイト with フレッシュ”なんよ!」
(観客笑い)
カナちゃん「さぁ、というわけで!今回もやってまいりました!『視聴者の叫び』コーナー!」
(机の上のタブレットをタップして、SNSの投稿が画面に映し出される)
⸻
なっちゃん「まずはこちら!@panchiforeverさん」
『爆淫香とか言い出した瞬間、もう腹よじれたんやけど!?車内の匂いだけで一話作れるレベルやん!』
カナちゃん「おっしゃる通り!このドラマ、もはや空気が主人公やから!」
なっちゃん「あのミラVAN、旧車のニオイ<<<女神の匂いやけん!」
⸻
カナちゃん「次!@fragrance_addictさん!」
『あのポリ袋、科学的に密閉してもフレッシュエアー漏れるって設定、逆にリアルやん…』
なっちゃん「めっちゃ分かる〜!袋一枚で理性とんだら、それもうテロ兵器やけん!」
カナちゃん「ほんま、シンジ、嗅覚で昇天した男第一号やな」
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なっちゃん「ほな、次いこか!@panpan_obasan」
『シンジ、なんで起きたら第一声が“なんて気持ちいい夢だったんだ”やねん!お前何見とんねん!』
カナちゃん「それや!うち、あの瞬間、完全に下等生物の目してたもん!」
なっちゃん「分かる分かる、目ぇ半開きでニヤァ〜て笑って、なんかこう……“煮過ぎたうなぎ”みたいな顔しとったよな」
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カナちゃん「次!@drive_with_senseさん」
『運転してるすず、意外と冷静でかっこよかった。でも言ってることは完全に人質の管理人やった』
なっちゃん「いやもうすずって、“冷静な爆弾魔”感あるんよ!」
カナちゃん「そう!“次動いたら爆発すんで”みたいなポリ袋握りしめてるとことか、バスジャックの犯人やもん!」
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なっちゃん「最後はこちら、@NaniwaNoPantyLoverさん」
『ヴァージン爆淫香って単語、冷静に考えたら社会的にアウトやけど、語感が気持ちよすぎる』
カナちゃん「ほんまな!うちらも言いたいねん!“爆淫香”!口が勝手に言うてまう!」
なっちゃん「あれやろ?“ヴァージン爆淫香”って、口に出した瞬間、理性が1ミリ減る言葉やけん!」
カナちゃん「シンジにとってはあれが、脳に効く吸うタイプの覚せい剤みたいやったもんな!」
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なっちゃん「ということで!今日も濃かったな〜!次回予告も楽しみすぎるけん、またみんなで語ろや!」
カナちゃん「次も“爆淫香トラップ”炸裂なるか!?それとも“フレッシュ外交”で交渉成立なるんか!?」
なっちゃん&カナちゃん「それではまた来週〜!フレッシュに生きろよー!」
(フェードアウト。BGM「FRESH NIGHT」流れながら次回予告へ)




