獣も虜にするフレッシュエアー
名阪国道を亀山方面に向かうミラVAN。シンジの手は汗で滑りそうになりながらも、しっかりとハンドルを握りしめていた。助手席には、運命の荷物——フレッシュが入ったポリ袋が転がっている。袋の表面は熟成が進んでほんのり暖かく、まるで生き物のように柔らかく鼓動を感じさせる。
「ありがとうフレッシュ…オレを守ってくれてたんだな。今度はオレが、お前らを守るからな…!」
シンジはポリ袋に手を伸ばし、撫でる。ポリ袋の中のフレッシュが、かすかに香りを放つ。オメガカーブが中間に差し掛かった。
オメガカーブを抜けたミラVANの背後には、地獄のような光景が広がっていた。横転した二台のトレーラーは無残に傾き、鋼鉄の腹を見せて道路を塞いでいる。撒き散らされた荷物が風に煽られ、空中を舞う中、そこへ一匹、また一匹と、何処からともなく猿たちが現れた。興奮の面持ちで鼻をひくひくさせ、狂ったようにあたりを駆け回る。そして、突如始まる、群れを巻き込んだ悦びの舞い。
ミラVANのフェンダーミラーに映るその異様な光景に、シンジの顔が凍りつく。
「……な、なんなんだよ……おい……おいおいおいおい……」
ミラー越しに見える猿たちは、地面を叩き、尻を突き出し、仲間にしがみつき、まるで動物界のサカり祭りだ。車内に立ち込めたフレッシュエアーが、猿の本能に火をつけたのだ。
「おい……このフレッシュエアー、マジでヤバすぎだろ……。猿が……踊って、増えて、挿し込み始めてる……なんだこれ……妖気か?」
思わずハンドルを握る手に汗がにじむ。
「これさ、日本中に撒いたら……少子化、マジで解決すんじゃねえの?つーか、ちょっと怖ぇよ……。」
外では、サルたちの歓喜の咆哮が空に響いている。交差する叫びと鳴き声。そこに、追い打ちをかけるように、突風が吹き抜けた。
山間の谷を越えて、強烈な追い風がシンジの進行方向――亀山方面へと吹き荒れる。フレッシュエアーはその風に乗り、シンジの車よりも先に前方へと運ばれていった。
そして次の瞬間――
「……ん?何か……前に……」
ガードレールの向こうから、地響きが起こる。ゴウッ、ゴウッと、まるで重機の走行音。そして突如、藪を突き破って現れたのは、巨大な野生の大猪だった。
「うわああああああああ!!!」
牙を剥き、興奮で瞳を赤く染め、まっすぐシンジのミラVANに向かって突進してくる。両肩を震わせ、鼻息を白く吹き出しながら――まるでフレッシュエアーに恋をした獣のようだった。
「やめろおおおおおおおおおおおっ!!ぶつかんな!ぶつかんじゃねえよ!!ミラVANなんてひとたまりもねえんだよおお!!」
シンジは必死にハンドルを切る。ミラVANの細いタイヤが悲鳴のような音を上げてスライドする。車内のポリ袋たちがドシャアと崩れ落ち、転がり、舞い、香る。
「うおおおおお!!中身漏れてねえよな!?……だ、大丈夫だ。生きてる、ポリ袋、生きてるぞ!!」
安堵も束の間、次の猪、また次の猪――狂ったようにフレッシュを求めて、山から降りてくる。シンジの周囲を猪たちが駆け抜ける。中には側面に激突してくるものもいる。ミラVANはガタガタと震え、車体が一瞬浮きかける。
「ぎゃああああ!!もうダメだあ!!サファリかここはあ!?おい、ここ、日本だよな!?なんでこんな事になってんだよ!!」
シンジは歯を食いしばりながらも、どこか光悦の表情を浮かべていた。車内に漂う、濃密で、淫らで、官能的な芳香に、脳が蕩けかけている。
「こ、これが……本物の……フレッシュエアー……か……。ああ、もう……何もかも、どうでもよくなってくる……。」
だが、シンジは倒れない。猪ゾーンを抜けなければ、任務は果たせない。東京まで届ける。それが、あの廃墟ビルの野崎との約束であり、琴音に一歩でも近づくための唯一の道なのだ。
「よしっ!まだ行ける!俺はやれる!やれる子だ!やれる男だああああ!!」
エンジンの唸り。フレッシュの香り。猪の唸り声。全てが混ざり合い、名阪国道を揺らしながら、ミラVANは突き進む。
風に舞う落ち葉の隙間を縫い、車体を揺らしながら、シンジは次なる危機へと、アクセルを踏み込んでいった――。
オメガカーブを抜け、少しの安堵を得るシンジ。だが、次の危機はすぐそこにある。
便意を催したシンジは、針テラスにミラVANを停める。駐車場から見える夜景は遠く伊賀盆地の明かりがちらちらと揺れ、風に舞う木々のざわめきが静寂を裂く。屋台の明かりと車のヘッドライトが交錯し、夜の高速道路特有の緊張感が漂っていた。
「…舞の部屋から、全く寝てねえ…流石に眠てえな…マットレスの下で舞と過ごせたのは良かったんだけどよ…くそ…」
個室に入り用を足すと、外がざわつく気配。香ばしい匂いが鼻を突く。
外の声「なんだこれ…オレ、ムラムラしてきた…?」
ふと、シャツに鼻を近づけ嗅ぐと、微かにフレッシュの匂いが残っているのに気付く。
シンジ「ゲッ…ちょっとする気がする…やべえな…」
そのままにしておけば、人々が寄ってくるかもしれない。シンジは決断する。ドアを開け、全速力で個室を飛び出す。中に残るフレッシュの芳香は男たちの鼻腔を刺激し、唖然とした表情と共に夢中で嗅ぎまくる。
トイレ内のドライバーたち
「何やこれ…幸せの極致や…これ、ビニールに入れとこ…」
しかし、再びミラVANに戻ったシンジを待っていたのは、想像を絶する光景だった。大量のオス鹿、オス狸、オス猿、オス熊、オス野犬が車体に群がり、腰を振って興奮している。
「おい…ウソだろ…地獄だろ…こんなの近づけねえよ!」
冷静に考える。野生動物は臭いに敏感だ。ならば、オレのフレッシュを使うしかない。シンジは自らのパンツを振り回し、奇声を上げて野生動物に迫る。
「おいどケェ!この畜生ども!」
臭いパンツが当たると、動物たちは露骨に嫌そうな顔をし、次々と離れていく。
「どけ!どけ!このヤロウ!」
ようやく運転席に到達し、ドアを開ける。しかし解放されたフレッシュエアーが車内に充満し、茂みの向こうから動物たちの叫び声がこだまする。
「やべぇ!飛びかかってきたらひとたまりもねえ!早く発進だ!」
キーを差し込みセルを回すも、エンジンはかかりにくい。茂みから大量の野生動物が迫る。
「おい!ボロ!早くしねえとオメエもスクラップになるぞ!」
ようやくかかるエンジン。シンジはローギアで急発進。一斉に飛びかかってくる野生動物をかろうじてかわす。
「あぁやばかった…1秒遅かったらペシャンコだった…この威力…匂いだけでオスを惹きつけるのか…!」
ミラVANは名阪国道を再び亀山方面へと進んでいく。シンジの手は汗でべたつき、心は昂ぶり、車内は濃厚なフレッシュエアーで満たされていた。これから待ち受ける運命の業務を前に、彼の胸は期待と恐怖で膨らむのだった。
◾️◾️◾️◾️◾️
ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん「いやー、カナちゃん!見た?シンジのこの大パニック!!なんでイノシシ!なんでサルまで出てくるんよ!松山弁で言うたら、もう腰抜けそうやろこれ!!」
カナちゃん「ほんまやで、なっちゃん!見て、この群がり方!オス鹿にオス猿にオス熊って…もはや獣のディスコやんか!シンジ、こんなん絶対耐えられへんやん!!」
なっちゃん「しかも、助手席にフレッシュを抱えてやろ?オレ守ってくれやって、ポリ袋撫でとるし…なんかもう、愛情の一方通行っぽい感じがまた泣かせるんよね…」
カナちゃん「しかもオメガカーブでトレーラーが横転とか、まさに地獄絵図やん!シンジの心臓も跳ね上がるわ!あたし、見てるだけで手汗やばいわ!」
なっちゃん「うわぁ、ほんまや!そして次から次に突進してくる大猪…フェンダーミラーに映る光景が戦慄レベルやもん。日本中にフレッシュエアー撒いたら少子化解消って言うけど…そんな次元ちゃうわ!」
カナちゃん「ほんま、匂いだけでこんなに獣を集めるとか、シンジの運び屋人生、いきなりスリリング過ぎやんか!おい、ちょっと笑うしかないわ、このムンムン具合!」
なっちゃん「猪ゾーン突破してもまだ危機は続くし…便意で針テラスに停めるとか、もう笑いと恐怖が同居しとるわ!夜景も揺れるし、屋台の明かりも光るし、臨場感満点!」
カナちゃん「しかも個室でフレッシュの匂いに気づくとか…シンジ、自分に移ってんの気づかんまま飛び出すとか、ギャグやん!唖然とする男たちを横目に全速力で逃げる姿、もう漫画やで!」
なっちゃん「ほんで戻ったら、オス鹿、オス狸、オス猿、オス熊、オス野犬が群がりまくっとる!腰振りまくっとる!!やばすぎやろ、これ!」
カナちゃん「ここまで来るともう、なんでこんな展開なるん?!シンジ、臭いパンツ振り回すとか…さすがクズやけど、動物たちも露骨に嫌そうにするのがまたおもろいわ!」
なっちゃん「どけどけ言いながら運転席に到達してドア開けたら、フレッシュエアーが茂みから爆発やんか!野生動物の叫び声まで加わって、ホラーとコメディの融合やで!!」
カナちゃん「そしてキーを差し込んでローギアで急発進!ギリギリでかわす!もう手に汗握るわ!匂いだけでオスを惹きつけるパワーが半端ないな!」
なっちゃん「いやー、興奮した!シンジの汗でべたついた手とか心臓のバクバクも全部伝わってくるし、車内のフレッシュエアー濃度まで想像できるわ!」
カナちゃん「ホンマや…これ視聴者も息止めて見とるやろな…いやー、最高にカオスな運搬劇やわ!」
なっちゃん「さて、ここで視聴者はがき読もうか。えーっと…『シンジさん、猪に突っ込まれるの見て吹きました。フレッシュの匂いの威力半端ないですね!』」
カナちゃん「ほんまや!猪がこんなに狂うんはフレッシュのせいやろな!匂いが暴走してるわ!」
なっちゃん「次いこ、Xコメント…『ミラVANで野生動物ディスコやんか、笑い死にそう』」
カナちゃん「ディスコって…まさに正しい表現やん!腰振り狂う動物たち、想像しただけで腹筋死ぬわ!」
なっちゃん「はがき続き…『シンジさん、パンツ振り回すシーンで尊さを感じました』」
カナちゃん「尊さ!?あのクズが!?もう笑いと羞恥が混ざっとるやん、ツッコミどころ多すぎやわ!」
なっちゃん「ほんでさらに…『フレッシュエアーで名阪国道制覇、次はどこ行くんですか!?』」
カナちゃん「次の危機は読めんけど…とにかくフレッシュが全てを支配しとるな!匂いの力、侮れんわ!」
なっちゃん「いやー、今日のシンジは完全に地獄と天国を同時体験やったな!見てるこっちも胃がキュッとなるわ!」
カナちゃん「ほんま!次回も絶対見逃されへんで!フレッシュエアーとシンジの運命、まだまだ目が離せんわ!」
なっちゃん「以上、なっちゃんカナちゃんレビュー、フレッシュエアー地獄編でしたー!」




