表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/101

まだ見ぬ彩香とすず

神戸ソープ街の廃墟ビル、午前0時20分。鉄筋の壁がひび割れ、剥き出しの蛍光灯が陰惨な光を落としている。シンジは額から汗を流し、肩を上下させながら立ち尽くしていた。


「そ、それは……後出しだろ!最初に言っといてくれりゃよぉ……オレだってジップロックに入れて持って来たぜ!!」

唇が乾ききり、声がかすれる。それでも必死に抗うように叫ぶ。


対する野崎は、背筋を伸ばしたまま揺るがない。冷え切った双眸がシンジを射抜く。

「しかし、もうそれは商品ではありません。あなたは愛の織布ゲットに失敗した。罰金五十万が追加されます。つまり……あなたの借金は百万円になった。さらに前金の五万も返していただく……合計で百五万。――支払い、お願いします」


その声音には同情も怒りもない。ただ冷徹に事実を告げる刃のような響きだけがあった。


シンジは唇を噛み切りそうになりながら、両手を振った。

「ちょ、ちょっと待てよ……!オレが無一文だって知ってんだろ!?今さら“百五万払え”とか鬼かよ……なんか、救済措置があんだろ!?……でもな、あの蝋燭ババアを悦ばすのは……あれは絶対ムリだ……!」


その名を口にした瞬間、シンジの顔は青ざめる。暗闇の奥に巣食う恐怖の存在を思い出し、背筋に冷たい汗が伝った。


野崎は無言のまま、机の上に分厚いファイルを広げる。パラリとページがめくられるたび、蛍光灯の下に浮かび上がる文字。


「……愛の織布以外に用意された任務、三件。改めて提示しましょう」


ページに並ぶ文字をシンジは凝視する。

ひとつ、米国大統領暗殺。

ふたつ、国会への不審物設置。

みっつ、シンガポールへの謎の届け物。


シンジの喉が詰まり、声が裏返った。

「ま、待て待て待て!!なんだよこれ!?……だからこんなの完全にアウトじゃねぇか!こんなの引き受けたら……オレ、終わっちまう!」


だが野崎は眉ひとつ動かさない。

「法に触れる触れないは、あなた次第です。法に触れずにやればいいのです」


その冷淡な響きに、シンジは絶望的な笑みを浮かべた。

心の声が胸を叩く。

(どうやって……こんなの法に触れずに済むんだよ……畜生……!)


頭を抱え、足元の埃を蹴り上げながら呻く。

「ほ、他には……他にはねぇのか!?オレがやれるのを……他に!」


野崎はそこで初めて、わずかに思案するように目を細めた。そして内ポケットに手を伸ばし、静かに三つ折りの紙を取り出す。


「……他に、ですか」


その紙は薄暗い光を浴びて、不気味に輝いて見えた。野崎は無言のままテーブルに置き、シンジに押しやった。


――それこそが、このシンジが成り上がるためのきっかけ。

まだ見ぬ彩香とすずと出会うための、運命に直結する任務であった。


シンジはごくりと唾を飲み込み、紙に手を伸ばそうとした。その指先は震え、運命を掴むのか、それとも奈落へ落ちるのか、刹那の境界で揺れていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん 「ちょ、ちょ、ちょ待ってや……最後に出てきたその“彩香とすず”って誰なん!?うちら、今までシンジの借金地獄にハラハラしよったんに、急に名前だけポーン出してきて……気になって眠れんがね!」


カナちゃん 「ほんまそれや!なんやろ、カレー食べてる途中でいきなり“デザートにパフェあります”って耳打ちされたみたいな……そら気になってしゃーないやん!彩香とすずって何者!?いつ登場すんの!?早よ出してぇな!」


なっちゃん 「しかも野崎が紙をスッ……て出した瞬間に、“運命”とか言われるやん?ほやけん、絶対その二人と絡む大任務が待っとるんよ!シンジ、次どんな無茶振りされるん!?まさか、彩香とすずをめぐって地獄の三角関係とかなるんかもしれん!」


カナちゃん 「うわー!そんなんあったら視聴者全員ザワザワやで!?借金よりラブロマンスで転落してくんちゃうん!?てか彩香とすず、名前からしてめっちゃ気になるわ。彩香ってなんか清楚系?すずは小悪魔系?いや、逆パターンもあるで!」


なっちゃん 「わかるー!すずって聞いたら、ほんま夏祭りの鈴みたいにちりんちりん可愛い感じもするけど、逆に“心に鈴つけて歩く猛獣”みたいなイメージも湧くんよな……あぁー!想像が止まらん!」


カナちゃん 「ほんで、視聴者のみんなも気になってるんよ。実は、今日いっぱいはがき来てんねん!」


なっちゃん 「おお、読も読も!」


カナちゃん 「ラジオネーム“夜更かしトンビ”さん。『野崎が出した三つ折りの紙、何が書かれとんのか気になって寝られません。仕事に支障出そうです』……いや、それシンジの借金と同じぐらいヤバいやん!寝不足で罰金とられるで!」


なっちゃん 「次はXから。“#シンジまた転落”でトレンド入りしとるけんね!コメント読むよ。“彩香とすず、もはやポケモン新作の御三家みたいなワクワク感ある。どっち選ぶか悩む”……いや、御三家言うなや!シンジにそんな余裕ないんよ!」


カナちゃん 「こっちもおもろいで。“彩香とすずって新しい推し候補!?急に出すなよ製作陣!”……ほんま、マクドでポテト頼んだのにシェイク勝手についてきた感じや!」


なっちゃん 「ははっ!でもその嬉しい裏切りがたまらんのよな!次回まで待たされるこの焦らしプレイ、ほんま視聴者いじめよ!」


カナちゃん 「いやー、これもう早よ次の任務知りたいな!彩香とすず出てくるまでワイら、たこ焼き鉄板みたいにアツアツ状態で待たなアカンわ!」


なっちゃん 「ほんま、焦げるで!……制作さん、次の展開を早よ頼むわ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました! ブクマ・ポイント評価お願いしまします!

私の作っている他の作品もお読みください!

のぞみとゆうの物語 ~ちょっとだけ本当の甘酸っぱい恋。こんな恋ができる学生の頃に戻りたい。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ