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誤算

舞の部屋 11:00


ワンルームの静寂に、シンジは息を殺して潜んでいた。

腹の調子の悪い舞が、またしてもトイレへ向かうのを待ち続けている。

その瞬間を狙って、獲物に飛びかかる獣のように。


ガチャ、と小さな金属音。

部屋のドアが開閉する気配がした。


シンジ心の声

「お? 今の音…舞のヤツ、トイレに行ったか?」


全神経が耳に集中する。

だが、次の瞬間から音が消える。気配もない。


シンジ心の声

「……静かすぎる。いや、これは間違いねえだろ? 舞はトイレに行ったんだ。そうに決まってる」


心臓が爆発しそうな鼓動を立てながら、シンジはゆっくりとマットレスを押し上げた。

わずかな隙間から部屋を覗き込む。

――姿はない。舞の影も、気配も。


シンジ心の声

「ヨシ、間違いねえ。今から3分、舞はトイレからは出てこねえ!」


荒ぶる胸を抑えつつ、シンジは計画通りに動く。

慎重に、しかし確実にマットレスを退かし、ベッド下から這い出す。

冷たい床の感触が掌に広がる。

身体を引きずり出したあと、音を立てぬようにマットレスを元に戻した。


シンジ心の声

「よし、痕跡は残してねえ…」


腹ばいの姿勢で、ゆっくりと、ゆっくりと部屋を進む。

鼓動がドクドクと耳の奥で鳴り響く。

視線の先には、舞のプレミアフレッシュが眠っているはずの洗濯カゴ。

それこそが彼の標的、唯一の報酬。


シンジ心の声

「まだ出てくるなよ…舞…」


緊張で呼吸を細く絞り、シンジはワンルームの扉を開けた。

ギギ、と蝶番がかすかに鳴る。

その先は玄関に続く短い廊下。

わずかな明かりが差し込み、薄暗い空間に白い息が浮かぶ。


洗濯カゴを発見――だが。


シンジ心の声

「あれ? 何も…無い?」


目を疑った。

空っぽのカゴ。影すらない。

そこにあるはずの戦利品は消えていた。


次の瞬間、信じられないものが耳を打つ。

ゴウン、ゴウン、と低く唸る音。


シンジ心の声

「う、ウソだろ? なんでだ…?」


視線を巡らせた先、そこには――。

ドラム式洗濯機が回っている。

ガラスの向こう、湿気を帯びて絡み合う布地。

その中に見えたのは、昨夜舞が“お楽しみタイム”に耽った果てに生まれたプレミアフレッシュ。

そして今朝脱いだばかりのパジャマ。

乾燥の熱風に晒され、回転し続けていた。


シンジ心の声

「マジかよ…これは誤算だ…! もう…もうフレッシュじゃなくなっちまった…」


フレッシュ。

それは未洗濯であることが絶対条件。

洗濯機にかけられた瞬間、それはただの布切れに成り果てる。

金にもならない、意味を失った残骸。


絶望が背筋を走った時。


ジャーッ、と水音。

隣のトイレから流れる音が聞こえた。


シンジ心の声

「やべぇ! 舞が出て来る!」


喉が焼けるように乾く。

反射的に身体を翻し、物音を立てないようドアを開けて部屋へ戻る。

だが――致命的なことを思い出す。


シンジ心の声

「しまった! マットレスを元に戻してしまってる…!」


計画通り、マットレスは戻していた。

しかしそれが再び元の場所に戻るまでの時間を奪う。



シンジ心の声

「クソッ! 早くしないと舞が戻るぞ…!」


慌ててマットレスを再びずらし始める。

だが、その時。


カチャリ。

トイレのドアが開いた。

舞が、出てくる。


シンジ心の声

「やべぇやべぇ!!」


心臓が破裂しそうなほど跳ね上がる。

必死にマットレスの下へ潜り込み、強引に引き戻す。

ズズッと鈍い音。


シンジ心の声

「くそっ、完全に戻せなかった…!」


角度がずれている。

ベッドとマットレスの間に、わずかな歪み。


足音が近づく。

舞が部屋に戻ってきた。


影が射し込む。

シンジの視界の隙間に、舞の足の影が現れた。


シンジ心の声

「た、頼む…気づくな舞…!」


舞はベッドを見て首を傾げる。

わずかなズレに違和感を覚えたのだ。


シンジは息を止め、祈るように震えた。


舞は腰を屈め、マットレスをグイッと押す。

ずれを修正する仕草。

――修正が終わった。


そしてそのままベッドに背もたれて、スマホを取り出す。

画面の光が白く舞の頬を照らす。


シンジ心の声

「あー! 危なかった…! もう2秒遅ければ…完全に見つかってた…!」


喉奥で悲鳴を堪えながら、シンジはじっと身を潜める。

だが胸の中は大きく抉られていた。


手を伸ばせば届く距離にあったはずのプレミアフレッシュは――。

洗濯という現実で奪われた。


シンジ心の声

「くそ…! これで残ってるのは…今、舞が穿いてるパンティだけだ…!」


絶望と焦燥が入り混じる。

それを奪うには、舞が自ら脱いで洗濯カゴに入れるのを待つしかない。


シンジ心の声

「無理やり剥ぎ取る…? そんなのは出来るわけねえ…。となりゃ…舞が脱いで洗濯するまでを狙うしかねえ」


野崎に届けるリミットは残り12時間。

フレッシュ2枚。

そのうちの1枚はもう洗濯機の中で失われた。


シンジ心の声

「もう後がねえ…残りは…残りはあれだけだ…!」


暗闇の中、震える手で額の汗を拭いながら、シンジは必死に次の一手を描こうとしていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん

「ひぃ~~~~っ!シンジ、マジでギリッギリやんか!あのマットレスずらして、舞がトイレから出てくる直前に潜り込む瞬間!わし息止めてしもたわ!」


カナちゃん

「ほんまにな!もう“火サス”の断崖絶壁シーン並みにヒヤヒヤやったで!あんなん心臓止まるわ!」


なっちゃん

「しかもやで?フレッシュ狙うて、洗濯カゴに手ぇ伸ばしたら……空っぽ!もうそこは“志村ーっ!”やろ!」


カナちゃん

「フレッシュが!フレッシュじゃなくなった!って逆やん!?なんで洗われたら価値なくなるねん!?普通はピッカピカになって“フレッシュ”やろ!」


なっちゃん

「ほんまそれ!“フレッシュ”いう言葉の定義、ぐちゃぐちゃよ!もう“市場の朝採れ野菜”かと思ったら、“昨日の残りもんを冷蔵庫に突っ込んだまま”みたいな逆転現象やん!」


カナちゃん

「てか、シンジもやで。フレッシュが洗濯されてもーた時の顔よ!“宝くじの当たりくじやと思って開けたら、期限切れの割引券やった”ぐらいの落差あったで!」


なっちゃん

「なぁ。しかも隣でゴウンゴウン回ってる洗濯機見て、“あー!乾燥中ぅぅぅ!”って。もう漫才のボケとツッコミ完結しとるやん!」


カナちゃん

「ほんで舞がトイレから出てくるタイミングも最悪やし!マットレスずらして元に戻すか戻さんかの賭けに出て、焦って歪んでんの、バレかけとったやん!」


なっちゃん

「危なかったよなぁ…。舞がスマホ取り出してベッドにもたれた瞬間、わしも“よっしゃ助かった!”って声出そうになったわ!」


カナちゃん

「でもな、結局残ったフレッシュは“今舞が穿いとるやつ”だけ。これ…もう高難易度のゲームクリアせなあかんステージに突入やで!」


なっちゃん

「ラスボスが“舞の洗濯タイミング”ってのが渋すぎるわ。もう『勇者シンジ、最後のチャンス!』やん」


カナちゃん

「残り12時間のカウントダウンって、完全にリアル脱出ゲームやし!次の一手、ほんまに間違えたら詰むなぁ」


なっちゃん

「視聴者も絶対震えとるよ、これ。ほな、来とるはがきとかXのコメント読もか!」


カナちゃん

「よっしゃいこ!」


なっちゃん(読み上げる)

「“シンジのマットレス作戦、心臓に悪すぎ!わたし、思わずリモコン握りしめすぎて手汗で滑った!”」


カナちゃん

「わかるわ~!もう観てるこっちも隠れてる気分なるから、体ごと緊張するんやて!」


なっちゃん(次のコメント)

「“洗濯された瞬間に価値ゼロって、株価暴落よりエグい!日経平均よりも乱高下してる!”」


カナちゃん

「せやな!パンティの価値がNYダウ並みに動くドラマ、前代未聞や!」


なっちゃん(さらに読む)

「“マットレスずれたとこで舞に見つかるんちゃうかって時、息するの忘れた。呼吸アプリやと思った”」


カナちゃん

「呼吸アプリ!ほんまや!あのシーン、みんな肺活量試されとったで!」


なっちゃん(続けて)

「“プレミアフレッシュって言葉の響き、カタログギフトに入ってそうで草”」


カナちゃん

「たしかに!“お中元・お歳暮に!プレミアフレッシュ2枚セット”ってやめぇ!」


なっちゃん(最後のコメントを読む)

「“シンジ、がんばれ!残されたフレッシュは1枚だけ!これぞサドンデス延長戦や!”」


カナちゃん

「まさにPK戦やな。ゴールキーパーが舞、シュート打つんがシンジ。外したら終わり!」


なっちゃん

「うわ~!これ次回もハラハラやねぇ!」


カナちゃん

「もう視聴者全員、洗濯機見るたびにシンジ思い出す生活始まってるで!」

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