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ひとり、舞の部屋に

朝の舞の部屋。

時刻は午前九時。カーテンの隙間から差し込む光が、無防備に散らかった部屋を照らしている。


マットレスから這い出して以来、閉じ込められたシンジの苛立ちは募っていた。

「クソッ……中から鍵が開けられねぇし、ベランダは九階だ……飛び降りたら即死じゃねえか。完全に詰んでるじゃねえか……」


腹が鳴る音が静寂に響く。昨夜の突発的な“任務決行”のせいで、シンジは何も食料を持ってきてはいなかった。

「まさかこんなとこで腹減り地獄になるとはな……。探し回ったら舞が帰ってきた時にバレるし……くそ、どうすりゃいいんだ」


それでも空腹は容赦なく胃を締め付ける。シンジはおそるおそる台所に足を運び、棚を開ける。

そこに鎮座していたのは一つだけのカップラーメン。


「……おぉ……カップ麺……!いや待てよ、これ一個しかねぇじゃねぇか。複数あるなら一つくらい減っても気づかれねえだろうが……一個しかねえもんがなくなったら、そりゃ舞のやつ気づくだろ……」


渇いた喉がごくりと鳴る。だが理性を働かせ、シンジは渋々カップ麺を棚に戻した。


冷蔵庫を開ける。冷気とともに目に入るのは卵、ハム、そして白菜。

「卵と……ハムと……白菜?……こんなんどうやって食えっつーんだよ。火使ったら匂いでバレるだろうしな」


ため息とともに冷蔵庫を閉める。その足で下の棚を探ると、袋に入った米が見つかった。

「……米?……米ならちょっと減ったくらいじゃわかんねえだろ。でも、これ炊かねぇと食えねぇし……炊いたら食器も使うし……片づけまで完璧にやらなきゃ舞に絶対バレるわ」


シンジの脳裏で葛藤が渦を巻く。空腹が勝つか、用心深さが勝つか。

だが次の瞬間、彼は米の袋を開け、手づかみで口に運んでいた。


「……ガリッ……うぇぇ……硬ぇ……!まさか令和の時代に生米かじることになるとは……クソ情けねぇ……」


粉っぽさに顔をしかめながらも、どうにか胃をなだめる。少しだけ満たされた感覚に、シンジは荒い息を吐いた。


部屋に戻り、目を走らせる。

「フレッシュ……さすがにもうねぇよな。ここにあれば2枚目揃うんだけどよ……」


フレッシュ――未洗濯のパンティ。任務を思い出し、タンスを開ける。

中には整然と畳まれた洗濯済みの下着たち。

次々に手に取り匂いを嗅ぐシンジ。

嗅いだだけで洗ったものかどうか判別する能力を持っているかのように。


「……やっぱりな。洗ったやつはオレの欲しいフレッシュじゃねぇ……。洗い立てはただの布だ。フレッシュじゃねぇんだよ……」


残念そうに、しかし几帳面に引き出しを元に戻す。


ベッドに目を移すシンジ。

「ここで舞が寝てたのか……そしてその真下に、オレが一晩中潜んでたってか……知ったら腰抜かすだろうな……ククッ」


思わずベッドに寝転がる。シーツからほのかに漂う舞の残り香。柔らかく女の匂いに包まれ、シンジは目を細めた。

「……クゥ〜……これだよ……これがおなごの匂いだ……たまんねぇな……」


うつ伏せになり、身体をもぞもぞと動かす。鼻先に染みついた香りに、心が熱を帯びる。

「……ははっ……まさかこの下にオレがいたなんてな……笑っちまうぜ……」


昨日から張り詰めていた疲労と空腹が、やがて彼を眠気へと引きずり込む。

舞の匂いが染みついたマットレスに顔を埋めたまま、シンジのまぶたは重く閉じていった。


その時、洗濯機からピーッピーッと電子音。

舞が出かける前に仕掛けていった洗濯が終わったのだ。だがシンジの耳には届かない。彼は深い眠りに落ちていく。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん

「いやぁ〜もうシンジ、完全にアホやろ!舞ちゃんの部屋で腹減ったから言うて、生米かじるんか!?ガリッて音まで言うてしもうて、情けないんよ!」


カナちゃん

「ほんまやで!ラーメンあったのに理性で戻すんはまだええねん。でも次の瞬間には米バリバリいっとるやん!いや観念せえシンジ!そんでタンス荒らすな!」


なっちゃん

「ほんで“フレッシュ”って……何よ!?舞ちゃんのパンティ探すん止めぇや!ほんまにシンジ、観念しろや!!舞が帰ってきてバレるパターンしか残っとらんよ!」


カナちゃん

「そうそう!しかもあれやん、舞ちゃんのシーツに顔うずめて“おなごの匂いだ〜”て。あんた下品通り越してもう妖怪やん!お化けより怖いで!」


なっちゃん

「舞ちゃんも可哀想じゃわ。自分の部屋帰ってきたら、ベッドで知らんおっさんがスヤァ〜寝よるんやけん。これもうホラー映画超えとるけん!」


カナちゃん

「もう視聴者みんな同じ気持ちやと思うわ。“寝たでシンジ!これバレるフラグやろ!”って叫んでるやろな!」


なっちゃん

「ほんでシンジもバレたらどう言い訳するん?『生米が旨かった』って?そんなんで許されるわけないじゃろ!」


カナちゃん

「舞ちゃん戻ってきた瞬間、シンジの人生エンドロールやで!いや〜、これぞドラマやな!」


――ここで番組恒例、視聴者からのはがき・X(旧Twitter)のコメント読み上げタイム


なっちゃん

「はい、一通目!『シンジ、観念しろ!生米かじった時点で人間やめてる!』……ほんまやわ!」


カナちゃん

「次いこ!『ラーメン戻したのに米食べるんかい!そこは逆やろ!』……確かに!矛盾の塊やな」


なっちゃん

「三通目、『舞ちゃんのタンスまで調べるな!フレッシュ言うな!』……これ、全国民の総意じゃけん!」


カナちゃん

「Xのコメントも来とるで。『#寝たでシンジ』『#観念しろ』『#妖怪フレッシュ探し』トレンド入りしとるやん!」


なっちゃん

「ハッシュタグ“妖怪フレッシュ探し”て!笑うわ!ほんまシンジ、ネタキャラ一直線やけん!」


カナちゃん

「いやでも次回、舞ちゃん帰ってきてほんまにバレるんちゃう?ってみんなハラハラしてんのよ。ドキドキやなぁ」


なっちゃん

「次回予告のナレーションも『舞帰宅、シンジ絶体絶命!?』ってなるんやない?」


カナちゃん

「ええなぁ!ほんま続きが気になるで!」


なっちゃん

「ほやけど、わしらは断言するよ!シンジ、もう観念せぇ!!」


カナちゃん

「観念せぇシンジ!舞ちゃんの部屋はお前の実家ちゃうぞ!」


二人同時

「次回も楽しみにしてや〜!!」

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