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未亡人の定義

5時10分、東の空がようやく明るくなりはじめた頃。

灰色の空気に沈むソープ街の裏手。

雑居ビルの中でも特に目立つ、廃墟と化した五階建てのコンクリート建築。壁はひび割れ、窓はベニヤ板で塞がれ、正面には「貸しビル」の朽ちた看板がぶら下がっている。


ハイエースがその前に停まる。ブレーキの音がやけに響く。


運転席の男が振り返るや否や、後部座席のシンジに肘を入れるようにして揺さぶった。


運転手「着いたぞ、さっさと降りろや」


シンジ「…うぅ、なんだよ……もう着いたのかよ。

もっとこう、丁重に扱えねぇのかよ……客だぞ、こっちは……」


ふらつきながら車を降りる。顔は寝起きでむくんでおり、髪はぺったりと額に張りついている。シャツのボタンはひとつ飛んでいて、靴下も左右で色が違う。


ビルの入り口は錆びた鉄扉。取っ手に触れると「ギギィ」と悲鳴を上げるように軋んだ。中はまるで肺に埃が刺さるような臭い。明かりはない。


エレベーターのボタンを押してみるが、当然のように無反応。壁の貼り紙に「故障中・使用不可」の手書き文字。落書きとカビが混在した階段を、ため息まじりに見上げる。


シンジ(小声)「くそ……オレ失敗したからボコられんのか?

でもな……オレにも言いたいことがあるんだよ……!」


ギシッ、ギシッと鳴く階段を慎重に上り、5階の一番奥の部屋へとたどり着く。

そこだけ鉄製の扉。無骨で、塗装は剥げかけている。シンジは手汗を拭き、ゆっくりとノブを回した。


扉の向こうは、思いのほか静かだった。


電球が一つ、天井からぶら下がり、うっすらと灯っている。その先に、人影。


黒いスーツに背筋を伸ばした男。――野崎。


机に背を向けたまま、ピクリとも動かない。


シンジ(心の声)「うわ、なんだこの背中……処刑人かよ……

この無言、逆に怖ぇ……!」


シンジは黙って、ゆっくり近づいた。


野崎「不成立だと、連絡が入りました。合ってますか?」


シンジ「……あ、ああ、合ってるよ……」


シンジ(心の声)「冗談じゃねぇよ……あの依頼成功させられるヤツいたら、

旭日大綬章だよマジで……」


野崎はゆっくり振り返ると、冷たい目をシンジに向けた。


野崎「契約時に申し上げましたが、不成立の際は手付金15万円の返金。

加えて、契約違反のペナルティとして50万円の支払いが発生します。

ご理解いただけますか?」


シンジ「ちょ、ちょっと待ってくれよ!

“与悦の業”って、未亡人に悦びを与える仕事なんだろ?!


で、オレが行った先にいたのは、60過ぎの肥満体でよ……

背中から汗が滲んでるロウソクみてぇなババアだったんだぞ!?

話が違ぇだろ!!」


野崎は目を細める。


野崎「……どう違うのでしょう?」


シンジ「えっ……未亡人ってのは、喪服着て楚々としてて、

なんかこう……エロティックで清楚な……

今で言えば、葵つかさちゃんとか、三宮つばきちゃんとかさ!

あんな化け物の何が未亡人なんだよ!」


野崎は一瞬、沈黙。そして、机の上から画用紙を一枚取り出す。

丁寧な楷書体で、こう書かれていた。


『未亡人』


野崎「未亡人というのは、“夫を亡くした妻”のことです。

年齢、体型、容姿……そういったものは一切、関係ありません。

――あなた、FANZAの見過ぎでは?」


シンジ「え……そ、そりゃ……月額会員だし……

でも、もう金なくて解約しなきゃなんねえぞ……!」


野崎「依頼人は、3ヶ月前にご主人を亡くされました。

ですので、確かに未亡人です」


シンジ(ぽつりと)「……え、それって……

あの溶けかけロウソクババァも?」


野崎(静かに)「ええ。間違いなく未亡人です」


沈黙。


シンジの肩がぐらりと落ちる。視線が定まらない。


シンジ「……ってことは……

オレ、誰にも騙されてなかった……ってことか?」


野崎「そうです」


シンジ「うわーーっ!!なんてこったーーー!!

パンナコッタァァァァァーーー!!」


床にへたり込む。


シンジ「ば、罰金は……本当に、払わないといけねぇのか?」


野崎「当然です。あなたのせいで、私たちは信用を失いました。

今後の契約にも大きな影響が出ます」


シンジ「で、でも……オレ、もう……金、ねえんだよ……

マジで、許してくれよぉ……」


野崎は何も言わず、部屋の奥へ歩き出す。


そこには、黒い布がかけられた古びた木箱。

野崎は、その前に立ち、静かに手をかける。


シンジ(心の声)「……や、やべぇ……!

これ……拳銃とかナイフとか……

まさか……オレ、ここで……殺される……?!」


額に玉のような汗が浮かぶ。喉がからからに乾く。

背中に冷たい汗が伝い、足が震える。


次の瞬間、箱の中から何が出てくるのか――

シンジは、息を止めた。


(つづく)


◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん


(♪オープニングジングル)

なっちゃん「さぁ始まりましたー! なっちゃんカナちゃんのお時間ですーっ!」

カナちゃん「いや〜今夜もすごいもん観てもうたやん! アレやろアレ!」

なっちゃん「もうタイトルから気になっとったけど…シンジ、未亡人を美女の熟女と思っとったらしいで!」

カナちゃん「ほんまアホやシンジ!FANZA見すぎやねん!60過ぎのロウソクみてぇなババアやったってのに!」

なっちゃん「わははっ! しかも背中から汗が滲んどるって…エロティックとか清楚とか想像してもうたんやろな〜!」

カナちゃん「葵つかさちゃんとか、三宮つばきちゃんとか思い浮かべてもうたんやろ! アホやなぁ〜!」


なっちゃん「でな、契約の話やけど、手付金15万、ペナルティ50万やて!」

カナちゃん「こらもう、心臓止まるわ。金ないって言うてんのに、さらに50万とか…シンジ可哀想やん!」

なっちゃん「床にへたり込むシンジの姿が目に浮かぶわ…。パンナコッタァァァ!とか言うて泣き叫んどったんやろな〜!」


カナちゃん「いやぁ、でも結局未亡人ってのは“夫を亡くした妻”のことやもんな。年齢とか体型とか関係ないっちゅう話やで!」

なっちゃん「そやそや、FANZA見過ぎて幻想抱いたのがアカンかっただけやね!」

カナちゃん「ほんま、アホやシンジ!目ぇ覚ませって話やな!」


なっちゃん「ここで視聴者の声、いってみよー!」


投稿:大阪府・ラジオネーム「たこ焼きロボ」さん

「シンジ、完全にFANZA沼やん!アホすぎて笑いました!」

カナちゃん「わかるわ〜!ウチらも爆笑したもん!」

なっちゃん「松山でも同じ感想届いとるで!『未亡人=美女の熟女』とか思うのはおかしいって!」


投稿:京都府・「八つ橋プリン」さん

「60過ぎのババアが未亡人って…シンジ可哀想だけど笑った」

カナちゃん「もう家庭教師つけて教育し直さなアカンレベルやな!」

なっちゃん「うちも心の底から笑ったわ〜!」


投稿:福岡県・「博多ラーメン魂」さん

「未亡人ってそういうもんなんやな。シンジの妄想力に脱帽」

カナちゃん「脱帽いうか、呆れたわ!シンジの頭の中、FANZAでいっぱいや!」

なっちゃん「ほやほや、みんな共感しとるなぁ!」


投稿:東京都・「煮卵スナイパー」さん

「もうシンジの背中想像しただけで腹痛いです…」

カナちゃん「想像するだけで笑えるやん!」

なっちゃん「背中から汗が滲むロウソクとか…アホすぎるわ!」


投稿:愛知県・「味噌カツ番長」さん

「50万払うとか、もうシンジ死ぬやん!せめて妄想で助けてあげて!」

カナちゃん「ほんま、助けてあげたいけど…本人がFANZA漬けやから無理やな!」

なっちゃん「ほやほや、現実と妄想のギャップに耐えられんわ!」


カナちゃん「いやぁ〜今夜も大笑いできましたわ!」

なっちゃん「松山弁でも言うけど、ほんまアホやなシンジ!FANZA見すぎやで!」

カナちゃん「次回もシンジのドタバタ、楽しみにしとくわ!」

なっちゃん「みんなも気ぃつけぇよ〜!妄想はほどほどにな!」

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