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未亡人の正体

――カチャリ。


乱暴にドアを開けたシンジの視線が、部屋の中をすばやく走る。

いたのは、さっき見た「家政婦」のオバハン。


シンジ(心の声)

あれ?まだいるじゃん…もう支度とか終わって、退室してるはずだろ。

早くどいてくれよ…。オレの未亡人ちゃん、どこ行ったんだよ?


渋い顔を作りながら、シンジは女に声をかけた。


シンジ

「あのー、もういいっすよ。オレ一人で待っときますから。もう、準備できてるって伝えといてもらえます?」


女はきょとんとした顔をして首をかしげた。


「え?何が?」


シンジは、顔にあからさまな「めんどくせえ」色を浮かべながら答える。


シンジ

「いや、あんた家政婦っしょ?オレ、未亡人に悦びを与える、与悦の業ってことで派遣されてるんすよ」


女の顔色が変わった。唇が軽く吊り上がる。


「私がその未亡人だけど?」


……時間が止まった。


シンジ(心の声)

……え?

うっそだろ。こいつが?この、チャーシューみたいにテカテカして、肉厚で、脂の乗ったオバハンが?!

未亡人どころか用心棒だろこれ!!

今までソープで引いたどの地雷よりも、ダントツで最悪やんけ!!


シンジは目を見開き、顔を強張らせたまま、カクカクとロボットみたいに動き出す。


シンジ

「あ、あぁ……そ、そうだったんすね……。そ、それは失礼したっす……て、てっきり喪服着てる思ったもんで……」


女――いや、未亡人はふふんと笑った。


未亡人

「喪服?もう満中陰も終わったから、着ないわよ。喪服を着てる方が良かったの?」


シンジは、何とか作り笑いを引きつらせた。


シンジ

「い、いやいやいや!ぜんっぜん!そのままでバッチリっす!」


シンジ(心の声)

くっそ!くっそくっそ!!あの斡旋した野郎、オレをハメやがったな!

しかも今からこの妖怪を悦ばせないと、報酬どころか罰金50万だろ?

金なんてねぇっつーの!詰んだ!これ完全に詰みだぁ!!


未亡人は、ふわりと、しかしどこか生々しい動きで近づいて来る。

香るのは、うっすらと甘ったるい、そしてどこか油っぽい体臭混じりの香水の匂い。


未亡人

「主人ね、5年も寝たきりだったの。ずっとご無沙汰でね。

もう満中陰も済んだから、これから私、女として取り戻したいの」


その言葉は、まるで錆びた剣のように、シンジの心に突き刺さった。


シンジ(心の声)

や、やめろ!来るな!!マジで無理だ!!

こんなんでナニがHARDになるわけないだろ!?

百歩譲って我慢できたとしても、こっちはもう、精神がHARD BREAKするっつーの!!


必死に顔を保ちながら、シンジは後ずさりする。


シンジ

「そ、そうっすか……それはほんと、ご愁傷様っす……。

でも、あの、ご主人も成仏されたばっかじゃないっすか。

無理せず、体調気ぃつけた方が……いやホント、休んだ方がいいっすって!」


しかし未亡人は一歩、また一歩とシンジににじり寄る。

その体から発せられる圧迫感。熱気。重力すら歪みそうな質量感。


シンジ(心の声)

無理だ!この距離!

目を閉じたら最後、何されるかわかったもんじゃねえ!!

けど逃げたら罰金50万確定!!

前門の妖怪、後門の借金地獄!!!


シンジの背中に、じっとりと冷たい汗が流れ落ちる。

部屋の空気は、もはやサウナのように重く、逃げ場はない。

進んでも地獄、戻っても地獄――。


シンジの選択は――

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


(オープニングSE、スタジオは爆笑ムード)


カナ

「いやー、始まったね、運命のシンジの回が!」


なつ

「ドア開けました!そしたらいたのは美熟女ではなく!」


二人

「オバハーーン!!」


(スタジオにどよめきと笑い)


カナ

「これすごいよな!?シンジ、まだ気付いてへんねんで!」


なつ

「そうそう!んでな、オバハンに向かって、オレ一人で待っときますからって!」


(爆笑)


カナ

「誰を待つつもりやねん!?(笑)妖精か?シンデレラか!?(笑)」


なつ

「与悦の業を依頼したのは〜」


二人

「そのオバハーーン!!」


(ドカン!スタジオさらに爆笑)


カナ

「さあさあ、シンジ、いよいよ現実にご対面や!」


なつ

「チャーシューって!!」


カナ

「シンジも比喩出してきよったなぁ!」


なつ

「未亡人どころか用心棒って!」


カナ

「おもろいやん!ウチらも負けてられへんで!」


なつ

「これ地雷記録、確定更新や!」


カナ

「もう向こう100年は誰も塗り替えられんわ!」


なつ(松山弁ぽく)

「ジョイナーや!ジョイナーの記録越えたけん!」


カナ

「ドーピングなしでこれやからな!(笑)」


(少し落ち着きながら)


カナ

「ナレーションも今まで"女"表記やったのに、こっから"未亡人"にチェンジや!(笑)」


なつ

「はい正体バレた〜!(笑)」


カナ

「満中陰も済んだってよ!なんか妙にリアルやな!」


なつ

「エグい(笑) 喪服やなくてもバッチリて!?」


カナ

「バッチリなわけあるかーーい!」


なつ

「いやもうバッチリって何基準なん?!(笑)」


カナ

「さて問題、オバハンを悦ばせなかったら罰金50万円」


なつ

「そんな金、シンジにはございませーーん!!」


カナ

「かと言ってこのオバハンとできるかと言うと?」


二人

「できませーーん!!」


(スタジオ爆笑)


なつ

「もう詰んどるわ!」


カナ

「うわ、オバハン少しずつ近寄ってきよる!」


なつ

「ナウシカのオームみたいや!」


カナ

「まだ、目の色は青やな!」


なつ

「不能ってバレたら赤くなるんやろ!」


カナ

「オームの怒りは大地の怒りじゃ!」


なつ(ババ様風に)

「ババ様ぁぁぁ!!」


(スタジオ総崩れ)


カナ

「ナニがHARDって言うなや!」


なつ

「ナニって何?HARDって何?(にやにや)」


カナ

「聞くなーー!!(爆笑)」


なつ

「シンジ、比喩攻めやるやん!」


カナ

「ウチらも負けてられへんな!」


なつ

「その前にシンジ、もう終わりそうやけどな!(笑)」


カナ

「オバハンに気遣うシンジ!(爆笑)」


なつ

「無理せず休んだ方がええって(笑)」


カナ

「いや絶対、心から思ってへんやろ!(笑)」


なつ

「これさー、選択肢バグってるで?」


カナ

「オバハンか、罰金か!」


なつ

「どっちも地獄じゃ!」


カナ

「ドラマ序盤でミスったのが、ここまで響くとはな!」


なつ

「あの時ソープ行っとけばな!」


カナ

「歴史に"たられば"はないんやで!」


(スタジオ拍手と笑い)


――ここで、なっちゃんがスマホを取り出して、X(旧Twitter)の視聴者コメントを読み上げ!


なつ

「ほなここで、みんなの反応、紹介していくで〜!」


(タブレットを覗き込みながら)


なつ

「@未亡人怖い民 『シンジ、完全に詰み将棋!指す手がない!』」


カナ

「ほんまやな、もう王手どころか詰みや!(笑)」


なつ

「@チャーシュー食べたい勢 『チャーシューは草www』」


カナ

「いや食うな食うな!(笑)」


なつ

「@オーム好き 『目が赤くなるオバハン想像して泣いた』」


カナ

「オームじゃなくてオバハンや!(笑)」


なつ

「@破産寸前 『50万罰金なら、オバハン抱くしかない…って思えない自分に安堵』」


カナ

「正常な感覚持ってるで!(笑)むしろ褒めたい!」


なつ

「@ハードな夜希望 『ナニがHARDか教えて』」


カナ

「やめなさい!!(爆笑)」


なつ

「@罰ゲーム担当 『シンジ、これバラエティなら完走賞もらえるやろ』」


カナ

「完走しても何も嬉しない!(笑)」


なつ

「@未亡人推し 『オバハン、もっと攻めてくれ!』」


カナ

「推すな推すな!!(笑)推し間違えてる!」


なつ

「@選択肢間違い探し 『最初の一歩から全部間違ってた説』」


カナ

「いやホンマこれ、"ミスったら死ぬ"ゲームやったな(笑)」


なつ

「@ギロチンドロップ希望 『ブル中野のギロチンの方がマシってどんだけやねん』」


カナ

「ブル中野、巻き添え食らってて草!」


なつ

「みんなツッコミどころ大渋滞やったなあ(笑)」


カナ

「次回、シンジは生きて帰れるのか!?って感じやけど」


なつ

「もはや帰れたところで、心はボロ雑巾やけん!」


カナ

「次回予告、震えて待て!」


(スタジオ爆笑と拍手、エンディングSE)

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