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「クズだったオレ」との別れ

――ホテル フェロモン 23:30


明かりはほの暗く、ベッドの上には乱れたシーツと、まだ熱のこもった吐息。

冷房が静かに回る音の中、シンジは天井を仰いでいた。肩が小刻みに上下している。興奮が、まだ抜けきっていない。


琴音の体がその隣で微かに震えている。汗に濡れた髪が頬に張りついているのが、妙に色っぽい。

二人の間に言葉はなかった。いや、言葉にできるものなど、なかったのだ。


終わったのだ。

ついに、あの夢が。

あの、どんなに金を積んでも叶わなかった「目標」が、今、ここで。


シンジ 「……こ、琴音。なんだよ、今日は……。オレなんかに、ついてきてくれるなんてよ」


琴音は微笑みながら、シンジの肩にそっと頭をのせた。

その表情は、いつもの「客あしらい」のそれではない。静かな余韻を慈しむ、女の顔。


琴音 「うーん……わかんない。でもね、今日はシンジさんといたかったの。なんか……すごく、よかった」


シンジの喉が、ごくりと鳴った。あれほど手が届かなかった女が、今、ぴたりと自分に寄り添っている。

その重みと温もりに、現実味を感じられないままだ。


シンジ 「オ、オレも……。なんか、夢みてえだった……」


琴音 「ねえ、また来てくれる?」


シンジ 「あ、ああ……また行くさ。絶対、また……」


言葉に詰まりながらも、精一杯の笑顔を見せようとするシンジ。その目尻から、一筋の涙が静かに滑り落ちた。

琴音がふっと表情を変え、体を起こす。


琴音 「えっ……シンジさん? なに、泣いてるの……?」


シンジは慌てて顔をそむける。


シンジ 「い、いや……オレ、泣いてるか?」


琴音 「うん、流れてるよ……ぽろって。どうしたの?」


シンジ 「……わかんねぇ。なんだろな……」


琴音 「私とできて、嬉しかったから?」


シンジはゆっくりと頷いた。だが、そこには単なる喜びだけではない何かが宿っている。


シンジ 「……そうだろうな。オレ、ずっとお前を抱くのが夢だったんだ。ずーっと、心ん中にあった……。

 ……なんか、ほんとに夢見てるみたいだった」


琴音が赤くなる。布団を口元まで引き上げて、シンジの横顔をのぞく。


琴音 「ふふ……やだ、恥ずかしい。シンジさんって、意外とロマンチスト。私もなんか、雲の上泳いでるみたいだった……」


シンジ 「それに……」


琴音 「それに?」


そのとき、ふっと浮かんできたのは――あの二人の顔だった。

一緒にミラVANで走った、バチバチに反発しあっていたはずの女たち。

だが、ある時から少しずつ、互いの顔色を気にするようになり、

そしていつしか――頼り合うようになった。


彩香と、すず。


今のこの涙は、琴音との行為による興奮の果てだけではない。

夢が叶った喜びとともに、胸を締めつけるような「罪悪感」。

そして、決別。

過去の「クズだったオレ」との別れ。


――これが、自分の中での、ケジメなんだ。


シンジ(心の声)

『彩香……すず……頼むから、オレを軽蔑しねぇでくれ。

これは、お前らと前に進むために必要な、オレなりの清算なんだ……。

夢を果たした上で、ちゃんと区切りをつけて、次へ行くための夜なんだ……』


少し俯きながら、シンジは琴音に目をやった。


シンジ 「……いや、お前は本当に、可愛いよな」


シンジ(心の声)

『琴音……お前はケジメをつけるためだけの女じゃねぇ。

オレがずっとずっと、夜中に目を開けて夢見てた、

――あこがれ、だったんだよ』


琴音 「……もうっ、なにそれ。嬉しいじゃん。なんか今日のシンジさん、すごく優しい……」


琴音の瞳が、わずかに潤んでいた。

彼女は気づいていた。

シンジが、以前とは違う何かを纏っていることに。


琴音(心の声)

『シンジ……なんか、変わったよ。

前はただのクズで、金にもならない客だったのに……

今のあんた、少し……別人みたい』


琴音はシンジの胸に頬を寄せる。

彼の体温に、ほんの少し安心を感じながら。


琴音 「……シンジさん……」


静かに、シンジは琴音を抱き寄せた。

腕の中にある柔らかさと温もりに、

彼は、長い夜の果てにひとつの幕を閉じようとしていた。


◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん

「ちょっと!!シンジの夢、成就やんか!!」


カナちゃん

「マジで!!ちょ、これ、ガチやん!?琴音ちゃんと、ついに!?ついに……!!」


なっちゃん

「落ち着けやカナちゃん!もう無理やけん!そのシーン映せんけん!R15でもできんけん!」


カナちゃん

「いやいや、シンジってあんなクズ男みたいに見えて、最後ちょっと泣くとかズルない?

しかもあの涙、“成就の涙”ちゃうで、あれ“清算の涙”やん……」


なっちゃん

「そうそう!“夢叶ってしもうた男の、次の朝を迎える直前の顔”みたいなな。

なんか、あの一滴に“これでええんかオレ”が全部詰まっとる感じするわ」


カナちゃん

「でもさ、琴音ちゃんもすごかったやん。“今日のシンジさん優しい”って……あそこ、あたし鳥肌立ったもん!」


なっちゃん

「わかる!あれもう、“人として見えた瞬間”やけんね。

男と女っちゅうより、“ちゃんと心と心が触れた”感じがした」


カナちゃん

「いやほんま。これでちょうどエピソード100話目やろ?

こんなキリのええとこで夢叶うとか、脚本の神様働きすぎやで!」


なっちゃん

「奇跡的なバランスやね。ギリギリで破滅せんとこが、ほんまシンジっぽい」


カナちゃん

「しかも最後、“彩香とすず”のこと思い出すやん?

あれ、完全に伏線回収やで。“三人で生き直す”前の、けじめの夜。泣くわ」


なっちゃん

「うん……夢の成就って、必ずしも幸せとちゃうけんな。

“叶った瞬間に終わる夢”ってあるんよね」


カナちゃん

「深いなぁ……なっちゃん詩人やん」


なっちゃん

「ほやけん、“のぞみちゃんとゆう君”もこの回見たら震えると思うわ。

夢って、叶えたあとどうするかがほんま大事なんよ」


カナちゃん

「せやせや!ほんで今日の視聴者さんからのコメント、これ読もか!」


なっちゃん

「おっ、じゃあまずはがきの方から!」


(封筒を開ける音)


なっちゃん

「愛知県の“えみこ”さんから。

『シンジの涙、まるで線香花火の最後の光みたいでした。

消える前が一番美しいって、こういうことなんですね』」


カナちゃん

「うわぁ~うまいこと言うなぁ!ほんまそれやで。

シンジの涙、あれもう“線香花火のポトッ”や!」


なっちゃん

「ポトッ、ね。落ちた瞬間、静けさだけ残る感じね。

琴音ちゃんのまつげの影が、まるで花火の煙みたいやったもん」


カナちゃん

「うんうん、夏の夜の終わり感すごかったわ」


なっちゃん

「ほな次、X(旧Twitter)からいくで!」


カナちゃん

「えっと、ハンドルネーム“ボロボロのぞみ推し”さんから!」


カナちゃん

「『のぞみちゃんとゆう君も、スノボ旅行で結ばれた時は、

“抱く”じゃなくて“支える”を選んだんだなと、シンジ見ててそう思いました』」


なっちゃん

「うわ……ええコメントやなぁ……」


カナちゃん

「ほんまやで。“支える夜”って、ええ言葉やな。

なんか、“快楽よりも祈り”みたいなもの感じるわ」


なっちゃん

「そうそう。あの夜は、罪と赦しと、もうちょっとだけ希望の匂いがしとったね」


カナちゃん

「次回どうなるんやろなぁ……。100話超えて、シンジどんな顔で朝を迎えるんやろ」


なっちゃん

「次は“夜明けのケジメ編”やけん。みんな、ティッシュ多めで見てや!」


カナちゃん

「ほんであたしらは、また泣き笑いでレビューするんやな!」


なっちゃん

「そやね。今日も最高やった!」


カナちゃん

「ほなまた次回、“なっちゃんカナちゃん”で会おな~!」


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