久遠の僕と永遠なる君 8話
あれから僕は休みの日になると、お師匠様を積極的に遊びに誘った。お師匠様は僕の隣を歩いてくれる。けど、僕の方は向いてくれない。まだ、素直になってくれないみたいだ。お師匠様と一緒にいられるのは嬉しかった。でも、寂しい。僕だってお師匠様が欲しい。お師匠様に見てもらいたい。だから僕はお師匠様に振り向いてもらうために、お師匠様に過剰に構うようにした。一緒にいる時間が増えれば、僕のことも見てくれると思った。僕はお師匠様に不必要に抱きついたり、わがままを言って困らせた。相変わらず、お師匠様は僕から目を逸らしている。僕はますます寂しさが増していった。何がそんなに気に入らないのだろうか。僕は別に師弟関係でも恋人になったって良いんじゃないかと思っていた。それとも場所が良くないのか?そう思った僕は一度、家に帰ることにした。
家に着いた僕たちはお茶の準備を始めた。いつもなら、家に戻れば夜寝る準備をしているが、今まだお昼なのでお茶でもして時間を潰すことにした。お師匠様は僕に紅茶を出してくれた。いつも通りお師匠様の淹れた紅茶は美味しい…はずなのだが、今は味がしなかった。僕の最も欲しい人は目の前に、もう手が届くところにいるはずなのに、僕にはものすごく遠く感じた。お師匠様と一緒の時間を過ごせば過ごすほどに、僕は寂しくて胸が苦しくなった。お師匠様は今どんな気持ちなんだろう、どんな顔して僕の目の前で紅茶を飲んでいるのだろうか。僕は色んなことを考えているうちに思い出した。失念していた。…僕は勇気が足りてなかったのかもしれない。目の前にいて、手が届くなら手を伸ばせば良いのではないかと、ただそれだけではないかと気づいた。ただそれだけが僕には少し難しかったけど、今こそ勇気を出すべきなんじゃないかと、そう思った。今までも勇気を出して上手くいったのだから、思い切った行動も大切だ。早速、僕はお師匠様を押し倒した。僕が急に押し倒したものだから、お師匠様は手に持っていた紅茶を溢してしまっていた。僕の腕の中にいるお師匠様は驚いた表情をしていた。何を今更…僕はお師匠様のあまりにも白々しい態度に違和感を覚えた。もしかして…お師匠様はまだ勘違いをしているのかもしれない。すると、突然お師匠様は僕を押し倒し返した。僕は驚きを隠せずにいた。そして、ほのかに期待もしてしまっていた。お師匠様は「本気にしてしまいますよ」なんて言った。ほら、やっぱり勘違いしていたんだ。「僕は最初から本気ですよ」僕はずっと思っていたことを口にした。また突き飛ばされるのかななんて思っていた。だが実際は違った。お師匠様は僕を強く抱きしめた。お師匠様は「すみません、今気づきました」と言い、僕を離してくれなかった。あぁ、やったやっとだ。僕はついにお師匠様を手に入れた。僕は嬉しさの中に安堵を覚えていた。僕は「ずっと一緒ですよ、お師匠様」と言い、疲れていたのかそのまま気絶するように眠った。