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凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜  作者: 小林一咲
第2章 テラドラックの怒り

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第57話 臨機応変

『他国の問題にまで首を突っ込む気は無いが、これは親和条約違反ではないのか?』


 魔・人親和条約は、必ずしも人族と魔族だけの条約というわけではない。


 条文の一説には、


〈この条約をどちらかが破棄し、戦争行為に及んだ場合、速やかに多国籍軍を設置してその対応をするべし。〉


と明記されている。即ち、これを拒否した場合、いかなる理由があろうとも条約違反ということになる。


「しかし、私には現場の指揮責任しか……」


 海将は憤りを拳に抑えた。


 ここまで艦隊を引き連れて来てくれたシャイン帝国海軍。なのに、勝機が見えた途端にこの始末。王宮は目前で起こっている事にしか目を向けられないのか!


◇◇◇◇◇


 数時間前、インヒター王国王都、王国憲兵団本部内。


「何故、王宮は応援要請を出さないのです?!」

「落ち着けダリオン。まだ協議中というだけで、要請しないとは言っていないだろう」

「しかし、協議の必要性が分かりません。要請しないのなら条約違反になります!」

「知らん!! お前は少し頭を冷やせ!」


 騎士団も憲兵団も、所詮は王宮の手下。

 何をしようにも手段も人脈も、今のボクには足りないものが多過ぎる。


「バルト……無事でいてくれ」


◇◇◇◇◇


『残念だが、我々は貴国の手助けをすることはできない』

「はい……」


 なんだ、何なのだこの屈辱は。差し伸べられた手を振り払ってまで守りたいのは、国の民でも領地でもなく尊厳なのか。


「ここでは危険です。すぐに撤退を……」


『ああ、よく聞こえんな』

「ですから、撤退――」

『燃料が無い。つまり帰れないのだ』


「そんなはず……」


 まさか、彼はそういうテイで?


「よろしいのですか?」

『何のことだかサッパリだな。それよりも、先程から我が鑑に魔物共が攻撃をしていてな。結界があるから屁でもないんだが』


 そうか、自国の軍艦への直接攻撃なら反撃しても文句は言われない。

 この男は偏屈だが、かなりの策士だ。


「……貴殿の名を聞いても?」

『儂か? ワシの名はクレルド・エルドリス艦長である』

「クレルド殿、よろしく頼む」

『何を頼んだのかは知らんが。うむ、そうさな……頼まれた』


 その瞬間、帝国海軍の艦隊は、あろうことか魔物の蠢く海面に勢いよく着水。いや、どちらかといえば落下だ。


「「うわああああ!!」」


 その勢いのおかげで魔物の大半は潰されたのだが、起こった波で海洋騎士団の船は湯船に浮かぶ羽虫の如く上下に飛んだ。


「「ウウェエエエエエエ!!」」

 

 何とは言わないが……まあ、沈没しなかったのが幸いと思っておこう。


 あらかたの魔物は殲滅された。残りは、大災害級魔物の始末をどう着けるか。


『あらまあ、こんな適当な戦術で負けちゃうなんて』


 声が聞こえているわけではない。これは、耳で聞くというより、頭の中で誰かが喋っているような感覚。


「なんだこれは!?」

「わからねえが、とても気持ちが悪い」


 船酔いも増して気分が悪い。どうやら声が聞こえているのは僕だけではなかったようだ。

 この状況でこんな芸当ができるのは――


「シレーヌか」

『あらあ、ワタシのこと知ってくれてるのね坊や』


 魔導通信に近いようだけれど、違う。理屈は分からないが会話ができるのなら早い。


「帰ってくれないでしょうか?」

『あら、どうして?』

「理由は聞きません。でも、僕たちは争いたくないんです」


 こんな子ども騙しのような文句で引いてくれるとは思えないが。


『良いわよ、ワタシは』

「え、本当に?!」

『ええ。だって無理矢理ここに召喚されたんですもの。最初からあなた達を襲う気はなかったのよ』


「ええっと……あとのお2人も?」

『うふふ、お2人ですって。問題ないわ彼らも特に用は――』


『待て』


 この一声で威圧感が全身を巡る。

 優しく誘うようなシレーヌとは真逆の、全てを支配するような……まるで神のような威圧感。


「リヴァイアサン、ですか?」

『その通り。貴殿にひとつ尋ねたい』

「僕……に答えられることなら」


『その力はどこで得たモノだ』


 ああ、やはり《《普通じゃない》》。

 

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