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凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜  作者: 小林一咲
第2章 テラドラックの怒り

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第56話 法と秩序

 この異世界には、人類共通の法律が存在する。


 そのルセイラ世界連合法によれば、『騎士団が認定する【大災害級魔物】とは、一個体で国、またはそれに準ずる領土を崩壊させる物』と記されている。

 地方によって出現する魔物の種類が異なるため、認定される魔物もその地で変わってくるわけだが――。


 海洋騎士団が認定する【大災害級魔物】は3体存在する。


 1体目はリヴァイアサン。ここ数千年は見た者がいないという、まさに伝説級の魔物。海を支配するほど強力な力を持ち、巨大な体と強力な水の魔法を使い、嵐を引き起こす。


 2体目はクラーケン。稀に目にする者もいるが、通常は海底に住んでいるとされる。見た目はイカのようでタコのような魔物であり、大きな触手で船を襲い、海の底へ引き摺り込む。


 3体目はシレーヌ。鳥と人の女性が融合したような魔物。美しい見た目と歌声で船乗りを魅了し、岩礁に船を誘導して沈める。実は1番恐ろしい魔物。


 さて、ここで考えてみてほしい。この御伽噺とも言えるような3体の大災害級魔物が、同時に現れたら――と。


「そんなことがあり得るのか……」


 あり得ない、あってはならない事だと誰しもが思う。だが、そこには存在していた。

 沖合の水平線上に目を凝らすと、明らかに“レベルの違う”魔物が3体浮かんでいる。他の魔物と同様、こちらを見ているようだが、攻撃をしてくる気配は微塵も感じられない。この場合、殺意が無いと言った方が正しいかもしれない。


「あの3体が静かなうちに雑魚共を蹴散らすぞ!!」


 そもそも、大災害級魔物が3体も揃ってしまっては、僕たちに勝機は無い。諦めてどこかへ逃げるか、騎士らしくこの場で腹を切るかの二択。だが、不幸中の幸いにも奴らはこちらを見ているだけ。もしかすれば、こちらが攻撃を仕掛けなければ、奴らからは攻撃をしてこないかもしれない。


 これも全て楽観的な観測でしかないが。


 指揮系統も皆の士気も落ちてはいない。奴らにその気がないのなら、猛然と迫ってくる有象無象を上陸させなければ良いだけ。

 

「早く来てくれ……奴らの気が変わらぬうちに」


◇◇◇◇◇


 同時刻、インヒター王国王都

宮殿内では――


「魔人はまだ見つからないのですか?!」


 珍しくも王女シュリア・リッチ・インヒターの荒々しい声が響いていた。


 王都中心地で起きた、魔人ゼオス・ビクオーネによる虐殺事件。これは、魔王が勇者に倒された【一万年戦争】以来の大事件であり、歴史書にも類を見ない条約違反であった。


 “一万年戦争”これは魔族が人類を根絶やしにしようと企んだ戦争のこと。今ではすっかり御伽噺として浸透しているが、長寿のエルフ族や精霊族などは魔族を脅威として認め、人族が【魔・人親和条約】を締結する中で、彼らは「一切の油断もならない」として条約には署名をせず自らの聖域へと閉じ籠った。


 そこから獣人族やドワーフ族などを除く長寿の種族と人族の関係は悪化していく。これが教科書にも載った“親和決別”である。


 しかし今日、その親和条約が魔人によって破られた。これはインヒター王国だけでなく、人類世界全てを敵に回したことになる……のだが。


「すぐに隣国へ報告を――」


「なりません!!」

「そうですとも。今こそ我が王国の力を各国に見せるべき時です」

「他国の手を借りずとも、騎士団でなんとかなるでしょう。聞けば、民を虐殺した魔人とやらは騎士団が来るや逃げ出したそうではないか」


 他国への応援要請は、保守派貴族による猛反発により難航を極めた。


◇◇◇◇◇


「シャイン帝国海軍が来たぞ!」


 青空に浮かぶ漆黒の艦隊。

 海上の魔物にも引けを取らないほど禍々しいそれは、海岸上空に浮かんでいた。


 やがて、海洋騎士団本部に魔導通信が入った。


『……聞こえるか?』

「はい、私はインヒター王国海洋騎士団、海将イザベラ・ブラックプリンスだ。この度は――」

『挨拶は良い。全く、貴国の上層は何を考えておる』


 彼女は呆れた様子の声に首を傾げた。


「一体、何のことです……?」

『貴国の王宮から我が国へ通信が入ったのだ。領海、領空侵犯を訴えるとな!』


 まさか、応援を……シャイン帝国からの援軍を拒否したのか?!


 指揮所にいた全ての役人は冷や汗をかき、そして戦慄した。

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