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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第一章・第一話 盗賊Aはヒロイン達が大好きなんだけど、メインヒロインは勇者の旅に同行させなきゃならない
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04 えらい人の話が長いんだけど、スキップで飛ばせない

短編の内容と同じプロローグは終了。

今話から、連載版の物語がスタートです!

 冒険を通じてヒロインと絆を結び、愛と勇気をもって魔王を打ち倒す。

 ディバイン・セイバーはそんな王道RPGロールプレイングゲームである。


 では、世に多数あるゲームの中で、このゲームの特徴は何かと聞かれたら、どう答えるか。

 おそらく一番大きな特徴は、主人公が二人いて、それぞれに女性との関わり方があって、好きなように遊べることだと思う。



「……探索チームを組んでミリリアの捜索にあたった騎士達の中で、騎士オスティンは……」



 白の勇者オスティンと、黒の魔剣士カーロン。

 それぞれ聖剣と魔剣を握る二人は、同じヒロインに対してもそれぞれの立場により違った関係性や結末を迎える場合もある。

 どちらの主人公で、どのような道を、誰と歩むのか。全てはプレイヤーの選択次第だ。


 だが、二人の主人公が居て、それぞれの目的や想いがあるからこそ。

 この二人は互いの道に影響をおよぼし、時にぶつかることになる。


 ある時は、仲間に加えるヒロインの選択で。

 ある時は、依頼されたクエストの達成をめぐり。

 またある時は、殺すものと護るものとして、真っ向から戦うことになる。



「……古来より我が国に残る伝承を紐解けば、建国の頃より我が国の歴史は常に……」



 そんな、二人の主人公と二本の剣、そして12人のヒロインが生きるこの世界で。

 本来は《既に死んでいる》盗賊Aとしては、さてこれからどう過ごして行けばいいだろうか?

 もう何度も、何パターンも考えた内容について、気づけばまた懲りずに考え続けている自分がいて。


 ちらりと窓の外に視線を向ければ、そこにはゲーム以上に鮮やかで澄んだ美しい空。



「……聖剣を貸し与え、騎士オスティン=リードベルクをこれより勇者と認める!

 次に、勇者となったオスティンの今後について……」



 この謁見の間に入室した時は真っ青だった空も、たなびく雲も。窓の外の景色全てが赤く染まった夕暮れ。

 スキップボタンひとつで終わっていた『勇者任命の儀』は、いまだ終わりを見せず現実となったゲームの厳しさを思い知らせてくるのであった。


 というかずっと立ってるだけなのに長すぎて足が痺れてるんです……早く終わらねぇかなぁぁ!



 心の中で『ステータス!』『ステータスオープン!』とか色々叫ぶのももう飽きたんです、コマンドウインドウの開き方誰か教えてください。

 ステータスの確認やスキル振りとか、これどうやんだ。ゲームコントローラを下さい、Xボタン押したいです!



    ★ ★ ★



(はー、疲れたぁぁ……)


 いやほんと、一体何時間やってたんですかね?

 窓の外を染め上げた夕焼けも、すでにその領域を西の空半分だけに狭め。東半分はもうすっかり夜空だ。

 謁見の間の端、兵士の列の一番末尾で借り物の鎧を着て騎士のフリをしていたオレは、誰にも聞こえないように小さく息を吐いた。


 王族と偉い方々は皆退室し、今もここに残っているのは警備とスタッフ、それにいまだ跪いたままのオスティンだけ。

……あ、係員から声掛けられてる。オスティンも帰るみたいだ。


 ミリリアの無茶ぶりで騎士のフリをして参加することになったオレだが、勇者任命の儀はゲームで何度も見た……もといスキップしたイベント。

 ゲームではしょられてた部分がどれほど多いか実感できたのは参考になるが、それはそれとしてテキストファイルにまとめたログだけ見せてくれませんかね?

 あ、駄目ですか。やっぱりそうですよね、はい。


 騎士達がまとまって移動し始める中、取り残されていたオレの元にやってきたのは一人のメイド。

 昨日、今日と行動を共にしていた、ミリリア付きのメイド、ユティナである。


「ユティナさん、お疲れ様でした」

「預言者様も、ご参加いただきありがとうございました。

 まずは鎧を脱ぎ着替えていただきますので、ついてきて下さい」


 ユティナさんの先導で、式典前にも通された客間の一つへ。

 待っていた他の侍女にも手伝ってもらい鎧を脱いでほっと一安心だ。


 いやぁ、鎧って重たいんだよね。本当に、びっくりするぐらい重たかった。

 こんなの着てたら、戦闘どころか長時間歩く事も出来ないと思う。あと肩凝ったわぁ。


 軽く肩を回してから、畳んで置かれていた服を手に取る。


「あれ?

 これ、オレの服じゃないよね?」

「預言者様にはそちらに着替えていただきます。

 城内を薄汚い盗賊のような格好で歩いていただくわけには参りませんので」

「うへぇ……」

「何かご質問でも?」

「いいえ、ありませんー」


 薄汚い盗賊ですみませんね、好きで盗賊やってんじゃねーよと内心で愚痴りつつ。

 無言で手伝ってくれる侍女の手を借り、置いてあった服を身に着けてみれば。


「なんか、さっき式典に出ていた人達の服っぽくない?」

「城内であれば、このくらいの正装は当然のことです」


 豪華なボタンに紐飾りのついた、どこか儀礼的なスーツを思わせる礼服。

 軽くて動きやすいし、きっと丈夫で高級なんだとは思う。

 だけどやっぱり肩は凝りそうだなぁなんて思うと、またため息が漏れるのだった。



 着替えが済んだ後は、再びユティナさんに連れられて廊下を歩く。

 控えめだが細やかな装飾が施され、綺麗に磨き上げられた廊下は国や城の凄さと働く人の努力を感じさせるね。


 廊下に芸術品やツボが飾ってないのは残念だが……いやいや、物色なんてしてませんよ?

 だからそこの騎士さん、なんだこの薄汚い盗賊はって目でこっち見ないで下さい!

 あと目の前のメイドさん、あなたも同じような目でこっち見るのやめて下さい! 早くおうち帰して!


 そんな願いが通じたのかどうか。

 幾人もの騎士の間を通り過ぎ、ユティナさんは一室の扉の前でようやく足を止めた。


……どう見ても、城の入り口や出口ではない。

 雰囲気としては、先ほど着替えで利用した客間をもっとゴージャスにした感じ……と言えば伝わるだろうか?

 そんな部屋の前で、警備の騎士と2、3言葉を交わすとユティナさんはこちらを振り向いた。


「預言者様」

「なんでしょうか?」

「ご無礼なきよう、お願い致します」

「ど、どういうこと?」


 ご無礼なきよう、お願い致します。

 誰に?

 どんな?

 あと、もしご無礼あったら、どうなっちゃう、のかなぁ……?


 そんな疑問のことごとくを無視し、まるで『何かあれば()る』と言わんばかりの眼差しでこちらを黙らせた後。

 ユティナさんは騎士に頷くと、開かれた扉の前で部屋の中へ声を発した。


「預言者殿をお連れ致しました」

「ご苦労。入りなさい」

 新連載記念の4話投稿、今日はこれにて終了です。

 明日以降、第一章・第一話の間については、毎日2話投稿を予定しています(あと4日間、8話で終了予定。最終日はおまけつき)


 第一話以降、その後どれだけ続くかは……読者様の応援次第です!

 プロローグ&今話を読んで、ちょっとでも面白かった! 続き読みたい! と思っていただけたなら、是非とも下の評価『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』の ☆☆☆☆☆ をクリックしてご声援をお願いします!

 ★の数で、直接的に作者のやる気メーターが溜まります!


 それからブックマークも大感謝、涙を流して喜びます! 気軽によろしくお願いしまーす!!

 どうぞ、これからもよろしくお願いしますね。

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