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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第四章・第三話 盗賊と巨漢が決勝戦を戦うんだけど、どいつもこいつも盗賊よりずっと強くて勝ち目がない

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186 痴女は圧倒的優位で決闘を進めてきたんだけど、とどめの一撃による完璧な勝利しか求めてない

『とどめの一撃』


 フィニッシュブローとも呼ばれるとどめの一撃は、一部のボス戦で敵のHPを削り切った後に開始される、必殺技の応酬により決着をつけるゲーム内のシステムだ。

 本来はパーティ全員が攻撃を放つのだが、今は一騎打ち。お互いの必殺技をぶつけあって、相手との力比べとなる。


 それまでの戦闘がどのような状況であれ。

 とどめの一撃に勝った方が、戦闘の勝者となる。


 だからこそ、ゲームでは最後まで気を抜けない、一発逆転負けを招きうるシステムで――

 現実となったこの世界では、逆に一発逆転勝ちを狙える決闘の作法となっていた。




「さあハルトよ、構えるであります。

 相手の全身全霊の攻撃を打ち破ってこそ、騎士として誉れ高き一騎打ちの勝利と言えるというもの」


 なるほど。

 最高の騎士を目指す設定が、リアルだとこういう風に作用してくるわけか。


 ならば、オレは。


「いいだろう。

 オレの全身全霊を持って、ゼブロアーゼ──


 お前を斬る!!」


 愛用の木刀を、腰の鞘に納め。


 失血にふらつく身体を両足で支え。

 痛みさえも握りつぶすほどに、強く鞘と柄を握りしめて。


 オレは、本日二度目の居合の構えを取った。




 冷たく湿った風が舞台を吹き抜け、一瞬の静寂が過ぎた後。



「『裂刃刺騎士(さきゅばさナイト)』ゼブロアーゼ!


 我が一撃を持って、この決闘に決着をつけるであります!」


 ゼブロアーゼの宣言が、圧倒的な力を伴い空間を揺るがす。


「!」


 対するオレには、もはや言葉さえなく。ただ強く、唇を引き結び精神を集中させる。


――とっくの昔に尽きた精神力(MP)の代わりになれと、(HP)よ燃えあがれと念じる!




 地を蹴ったゼブロアーゼの槍付き斧が、空気をねじ切る轟音とともに螺旋を描き。


 地にとどまったオレの両手足に、全ての力が込められ。




咲血螺旋(さきちらせ)命魂(みたま)!」


「肆式・椿!」




 眼前に迫るその切っ先、その一撃を上下に分かつように。

 スキルが発動したのか通常攻撃かも分からぬ木刀の一閃が、光の線となりてぶつかり──




 システムによって保護された、装備品。

 そんな、ゲーム世界の常識を、リアルがねじ伏せるかの如く。



 ゼブロアーゼの槍付き斧と衝突した木刀は、一瞬の拮抗の後に細かい破片へと砕け散り。



「さらばであります」



 螺旋を為す槍の切っ先が、まっすぐにオレの胸を刺し貫いた。




 この大会で胸を貫かれるのも、これで二度目となるが。


 今度は小細工は、ない。




 指輪の割れる音は、どこからも聞こえなかった──


次回は、祝・一周年ということで3/1更新!

いつもと更新日が違いますが、お楽しみに!


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― 新着の感想 ―
更新乙 盗賊!? どうした盗賊!! シリアスは似合わないぞ~ 何かしら小細工あるんだろ~(謎の盗賊への信頼)
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