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ディバイン・セイバー ~ゲーム開始時点で既に死んでいる盗賊Aだけど、ヒロイン達だけは不幸にさせない~  作者: 岸野 遙
第四章・第三話 盗賊と巨漢が決勝戦を戦うんだけど、どいつもこいつも盗賊よりずっと強くて勝ち目がない
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182 盗賊と痴女は戦いの条件を示すんだけど、魔法使いに手を出すことは盗賊が絶対に許さない

「分かったであります。

 その条件、飲みましょう」


 果たして、オレの条件はゼブロアーゼによって受け入れられた。


「ただし、先のド貧乳(・・・)の不義の落とし前はつけさせてもらうであります」


……なるほどなぁ、そうきたか。


「もし自分が勝ったら、魔法使いの首を刎ねるであります。

 それが済んだら、大人しく立ち去り向こう2ヶ月はこの地を訪れぬと誓いましょう」


 後方に居るので、ベルの顔は見えない。

 だけどきっと、恐怖に小さく震えているんだろう。


「一対一の戦いに、余人を巻き込むのは無粋じゃないか?」

「決闘に何かを賭けるのは、むしろ当然の事であります。


 あなたは、安全と時間を望んだ。

 自分は、不義への制裁を望んだ。

――ただ、それだけの事でありましょう?」


 そう言われると、何となく釣り合って見えてしまう。

 だが――



「だが、それは絶対に受け入れられない!」


 メイデン(ヒロイン達)の命を賭けるなど、何があろうとそれだけは絶対に受け入れられない!


「ベルはうちの子なんでね。

 保護者として、オレが責任を取るさ」


 保護者!?って聞こえた気がしたが、今はベルの不満は置いておきます。

 不満だったのかな? まあ何でもいいや、置いておきます。


「一騎打ちなんだから、当事者同士で話をつけようや。

 もっとも、オレは例え勝ってもゼブロアーゼの命を奪う気はないけどな」

「随分と余裕な発言でありますね。

 負ける気はありませんが、その言葉は後悔するでありますよ?」

「後悔などしない。オレはオレのやり方を貫くだけだ」


 勝てるとは思えないが、例え勝ってもオレはゼブロアーゼの命は奪わない。

 ゼブロアーゼだって、守るべき、救うべきこの世界のキャラクターなのだから。


「……ふう、分かったであります。

 気持ちよく全力で戦ってもらうために、自分の望む条件を変更してあげましょう」

「それはありがたい。

 して、どのように?」


 ゼブロアーゼは、腰の斧を取り外して構えると、大上段から大きく地面に一撃を叩き込んだ。

 飛び散る舞台の破片から、顔だけを腕で覆ってゼブロアーゼを見返す。


「停戦期間は1ヶ月。

 それと、命を賭けた決闘に無粋な横やりを入れる、この結界。

 こいつを使わずに、決闘をするであります」

「わかった、その条件であれば飲もう」


 即答する。


 ベルの命を守るためならば、迷いはない。

――迷っては、いけない。


「結界なしで、オレとゼブロアーゼの一対一の決闘を行う。


 決闘後は、戦いの結果にかかわらず、それ以上の戦闘行為は行わずにゼブロアーゼはこの地を去る。

 そして、向こう1ヶ月は本人も配下も、雇った相手など関係者の誰もこの地を訪れない。


 これでいいな?」


「ああ、良いであります。

 もちろん、決闘後、他の連中が自分を攻撃するのも無しでありますよ?」

「もちろんだ。

 そんな卑怯な真似はしないし、させない」


 どんな結果であれ、ゼブロアーゼが大人しく帰って引きこもってくれるんだ。

 それを邪魔するというのであれば、ハルトさんが怒っちゃいますよ!


「わかったであります。


 では、互いに命を賭けて死合おうであります!」




――おそらく、この一騎打ちの結末は、良いものとは言えない結果に終わるだろう。


 それでも。

 ベルの、メイデンの命を守り。

 最終的にオスティンがゼブロアーゼを倒す、そのための時間を稼ぐことは、オレでもできるはずだ。


 いや、今のこの状況では、オレにしかできないことだ。


 だから、これは。

 オレが、ゲーマー 春山 悠斗としての生き方を貫く上で、絶対に必要なことなのだ。




「自分の名は、ゼブロアーゼ。


 魔王軍四天王(・・・・・・)『裂刃刺騎士』ゼブロアーゼ!」


 おそらく、これまでは身分を名乗っていなかったのだろう。

 それに騎士モードのゼブロアーゼは、外見が人間と差がない。いや、えろ過ぎるとか痴女とかそういうのは置いておいてね?

 だから、四天王うんぬん以前に、魔族である事さえ理解されていなかったのだろう。


 ゼブロアーゼの名乗りに、辺りでざわめきや悲鳴が上がった。

 魔王軍、しかも四天王。

 それが、昼日中、衆人環視の街中に姿を現したのだ。

 ざわめきは留まらず、一部の観客は我先に客席から逃げ出そうとしていた。


 だが、最初から知っていたオレには関係ない。こんな特徴的な痴女……んんっ、ごほんっ。

 特徴的な外見の女騎士など、見間違えるわけがないのだ。


 ちらっと見た貴賓席には、王様と騎士数名しか居なかった。

 どうやらミリリアとおばちゃんは、いつの間にか逃がされていたようだ。

 ミリリアが安全で嬉しい反面、最後に姿を見られずに少しだけ残念だ。


 そんな気持ちを飲み込んで。

 静かに、木刀を構えてゼブロアーゼへ名乗り返す。


「武闘大会 準優勝、『いまだかつて見た事ないほど弱そう』な盗賊A、ハルトだ。

 及ばずながら、四天王殿のお相手つかまつる!」



「盗賊ハルトよ、いざ尋常に。


──勝負であります!!」


ストックが……尽きました!!(かはぁっ)



に、にがつちゅうは、なんとかしゅう2こうしんをししゅしたいです……したいです……!

おうえんもとむ!


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― 新着の感想 ―
更新乙 盗賊がシリアスな雰囲気を出してるだと・・・
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